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第24回朝日オープン将棋選手権 五番勝負第4局

 【5月15日 鬼の栖】 
▲藤井猛九段  対  △羽生善治選手権者

別ウインドウで開きます指し手再現 | 使い方

日程 |  見どころ |  両対局者の声

五番勝負第4局フォトギャラリー

棋譜

終了図

棋譜

途中図

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感想戦終了後、インタビューを受ける羽生選手権者=5月15日

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感想戦、羽生善治選手権者は中空を見上げて考える=5月15日

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現棋界最高峰の名勝負にカエルも満足げ=5月15日

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熱戦続きのシリーズも、いよいよ終幕=5月15日

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終局後、熱戦を振り返る羽生善治選手権者=5月15日

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「力は出せました」とシリーズを振り返る藤井猛九段=5月15日

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終盤の戦況を検討する、田中寅彦九段(右)と行方尚史七段(左)=5月15日

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複雑な局面に検討を行う青野照市九段(右)、検討室で=5月15日

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39手目、藤井九段の▲7四歩で午後の戦い開始=5月15日

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羽生選手権者は少し遅れて対局室に=5月15日

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昼食休憩が終わり、対局室に戻る藤井九段=5月15日

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昼食は天麩羅と蕎麦を中心とした御膳。小鉢(左下)の黒米豆腐は古代黒米を用いた薬膳豆腐=5月15日

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午前の進行は38手目、羽生選手権者の△8八角まで=5月15日

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藤井猛九段の初手は▲7六歩=5月15日

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対局開始前、王将を据える羽生善治選手権者=5月15日

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駒を確かめる羽生善治選手権者(右)と挑戦者の藤井猛九段(左)。中央は立会人の青野照市九段=5月14日

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将棋・囲碁の名局を特等席で観戦してきたカエル=5月14日

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修善寺温泉の外れにひっそりとたたずむ、対局場の旅館「鬼の 栖」=5月14日

羽生、光った勝負術

 第24回朝日オープン将棋選手権五番勝負で15日、3連覇を果たした羽生善治選手権者(35)は、新たな振り飛車戦法「藤井システム」を携えた挑戦者、藤井猛九段(35)を相手に終始、意欲的な指し回しを見せた。

 羽生選手権者の2勝1敗で迎えた第4局は、藤井九段が先手。カド番の藤井九段が得意の四間飛車に構えたのに対し、1局ごとに戦法を変え、すべて急戦策をとってきた羽生選手権者はこの日も、後手9九角成から50手目の後手1五歩(途中図)と工夫した。これでペースを握り、難解な終盤戦でも、粘り強さを発揮した藤井九段を押し切った。

 持ち時間各3時間のうち、残りは羽生選手権者3分、藤井九段1分だった。

 解説の行方尚史七段は「羽生さんの勢いのある指し方が目立った。藤井さんにもチャンスはあったが羽生さんの勝負術が上回った。お互いに持ち味を出し切った好局でした」と話した。

 〈羽生選手権者の話〉 端攻めする展開になってまずまずかと思ったが、後手4四角からわけが分からない将棋になった。(シリーズを通して)きわどい将棋を勝てたのがよかった。

 〈藤井九段の話〉 形勢判断の分からない将棋で、先手1四歩と伸ばした手がどうだったか。短手数で負けた第3局は悔いが残るが、それ以外は力を出せた。結果は仕方ない。

(05/16)

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羽生の勢いと勝負術

 本局は「振り飛車よし」が定説の変化にあえて飛び込んだ羽生の、勢いあふれる指し回しが終始光った。

 56手目、羽生が△8九馬と桂を取ったのに対して藤井は(1)▲9一龍と香を取った。いつでも入る△1六歩▲同香の打ち捨てが直前に入っていたため、藤井は△2四桂に対して▲1九香と打ち、局面を長引かせてとがめようとしたのだ。実戦心理の微妙なところで、羽生が巧みな勝負術を駆使した結果とも言える。

 ▲9一龍では(2)▲8四銀と2枚目の飛車筋を通す手が優ったか。感想戦では以下の変化が長い時間をかけて調べられた。一例は△2四桂▲7二飛成△6三角▲5三桂△4二金上▲6三龍△同金▲4一角△2二玉▲2三角成△同玉▲3一龍△1六桂▲3九玉△1八飛▲2一龍△3三玉▲3六桂△2八桂成▲4八玉△4四歩▲2四銀△4三玉▲4一桂成。最終手は▲4二成桂△同玉▲3三銀成△同玉▲3二金以下の詰めろになっている。

 58手目△8八馬からは大熱戦ながら、半歩ずつ羽生がリードを保っていたようだ。行方七段は両者の持ち味がよく出た一局と振り返っていた。

(20:27)

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羽生、震える手で勝利をつかむ

 藤井は105手目▲3七金で桂を補充して羽生玉を寄せに出る。しかし詰みはない。

 いよいよ終局かと思われたところで、113手目、藤井は▲3八香と受けた。まだこんな勝負手が残っていたとは。羽生の残り時間はみるみるうちに減っていく。そして残り時間が3分となったとき、羽生は△6七角と打った。誰の目にも羽生の手が震えているのがはっきりとわかった。羽生の手は、なおも震え続けていた。122手目に△5三銀と合駒をしたとき、羽生はようやく勝ちを確信したという。

 126手目△7一玉を見て、藤井は駒を投じた。投了図では羽生玉は詰まず、一方藤井玉は受けがない。

(18:34)

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羽生選手権者が3連覇

 第24回朝日オープン将棋選手権五番勝負(朝日新聞社主催)の第4局は、15日午前10時から静岡県伊豆市の「鬼の栖(すみか)」で指され、午後6時17分、羽生善治選手権者(35)が126手で挑戦者の藤井猛九段(35)を破り、対戦成績3勝1敗で防衛、3連覇を果たした。賞金は2000万円。

 現行の朝日オープン将棋選手権となった第20回以降で3連覇は初めて。羽生選手権者は前身の全日本プロ将棋トーナメントでは8、10、16回に優勝している。就位式は6月13日、東京・丸の内の東京会館で。

 羽生選手権者は現在、王位、王座、王将の三冠を保持している。

(18:22)

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藤井、最後の勝負手

 藤井は105手目▲3七金で桂を補充して羽生玉を寄せに出るが、詰みはない。

 いよいよ終局かと思われたところで、113手目、藤井は▲3八香と受けた。まだこんな勝負手が残っていたとは。羽生の残り時間はみるみるうちに減っていく。そして残り時間が3分となったとき、羽生は少し震える手で△6七角と打った。

(18:13)

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大熱戦

 100手目△4一玉に対して(1)▲3三桂成は△2八角(!)以下先手玉は詰む。

 本譜、藤井は(2)▲2九金と打って粘りに出た。以下△3七桂成▲1八金と進んで、先手玉はまだ詰まない。手に汗握る終盤戦だ。

(18:00)

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羽生勝勢か

 96手目△3二玉に対して藤井は最後の1分を使い、以下は一分将棋。▲2一角と追いすがったが、藤井の攻めは少し足りないか。「羽生さんが勝ちになっているのではないかと思います」(行方七段)。

(17:52)

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藤井、残り時間切迫

 89手目▲3八金に藤井は5分を使って、残り5分。先手はこの手を省略しては、駒を渡して攻められない。

 92手目△4五桂は厳しい一手。藤井はまた1分を使って、▲2一角成と攻め合った。

(17:46)

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羽生のため息

 86手目、羽生は△1八飛とは攻めず、△5一香と龍の利きを止めて受けた。残り時間は16分。

 藤井はノータイムで▲1二角と打つ。残りは8分。じっとプレッシャーをかけて、羽生の攻めをけん制した。「これはだんだん藤井さんの方がいい感じになってきた気がします。羽生さんの守りの金銀がやや無力化されました」。控え室の行方七段の解説に呼応したかのように、「うーん」という羽生のため息が聞こえた。羽生の手番では、まだ秒読みの声は聞こえない。

(17:35)

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難解な終盤戦

 82手目△2四香は行方七段指摘通りの攻防の一手。以下進行の一例は▲1三歩成△同香▲2五桂打△1八飛▲1二角。「難解な終盤戦です」(行方七段)

 藤井はなかなか次の手を指さない。藤井が▲1三歩成と指したとき、残り時間は8分となっていた。羽生にはもう少し、余裕がある。

(17:21)

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いよいよ終盤戦

 76手目△2四桂に対して▲1三歩成は△3六桂▲3七玉△3三桂で受けが難しい。

 藤井は▲3七銀と立って桂跳ねを受ける。そこへ△1七角成(!)。羽生の攻めは速度を増してきた。

 (1)▲1七同桂は△1六桂▲3九玉に△2四香が攻防の一手か。△2七香成を見せつつ、先手の狙いである▲2四桂△同歩▲2三角を防いでいる。

 (2)▲1七同玉△1六桂ならば寄せにくいとされる「桂頭の玉」で、これも考えられる。

 本譜、藤井は(1)▲同桂と取った。羽生はノータイムで△1六桂。次々と王手がかかって、いよいよ終盤戦である。藤井が次の手を考えている間、修善寺の街では午後5時を告げる「ムーンリバー」のメロディーが流れた。

(17:08)

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羽生、決めに出る

 70手目、羽生は5分考えて△1八歩と打った。

 残り時間は藤井31分。羽生15分。

 以下、羽生は決めに出る。しかし検討陣には端の打ち捨ての意味や、飛車を取るタイミングなど、意味がよくわからない。青野九段の見解は「後手が悪いということはないと思います」。

 藤井が次の手を考えているうちに、「残り30分です」の声が聞こえた。

(16:51)

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藤井、端を逆襲

 63手目▲3六桂は不思議な感覚の一手。△同桂▲同歩に再度(1)△2四桂ならば▲4七金と上がり、先手玉はふところが広がりつつ高美濃の堅陣が完成する。

 それは許さじと、羽生は(2)△4六銀。以下▲4七歩△5五銀と進んで、互いに手の渡し合いが続いた。

 69手目、藤井はついに▲1四歩。端の逆襲に打って出た。

(16:41)

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局面、さらに複雑化

 62手目、羽生は△4四角と打った。「打たれてみればなるほど、局面をより複雑化させようという手でしょう。手番の方は困るでしょうね。先手は早く質駒の飛車を取ってもらいたい。後手は取るぞ取るぞと見せかけて、少しずつポイントを稼ぎたい。とりあえず△1七歩からの殺到を防ぐ意味で▲2六歩と突いてみたいですね。それで先手が少し指せるのではないかと私は見ています」(行方七段)

(16:12)

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形勢不明

 60手目、羽生は△2四桂と香取りに打つ。藤井は検討陣の予想通り▲1九香とつないだ。  残り時間は藤井58分。羽生57分。

 「いい将棋ですね。本当に癒されます。ちょっと角度を変えてみただけで見方が変わってしまうほど難しい局面です」(行方七段)

(15:59)

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羽生、残り1時間を切る

 57手目、藤井は▲9一龍と香を取った。△2四桂、あるいは△1七歩の攻めには▲1九香と受け、場合によっては端から逆襲する狙いもある。

 羽生は△8八馬と飛車取りに引く。藤井はすぐに▲7八歩。これで藤井の飛車は完全に質駒となった。「1筋の攻防が焦点となってきました。桂香歩と、小駒の価値が高くなっていますね。形勢は本当に難しいです。振り飛車が少しいいかも知れません。羽生さんはここでうまく端で手を作れないと、逆襲されてしまう。△2四桂はいったん打つんでしょうけど、▲1九香に△4六銀と出るんでしょうか」(行方七段)。

 羽生はいったん席を立つ。戻ってきたときには、記録係の及川三段に「残り59分です」と告げられていた。

(15:45)

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中盤戦たけなわ

 52手目△1七歩までで、消費時間は藤井1時間33分。羽生1時間19分。(持ち時間各3時間)

 羽生の垂らしに対して、藤井は▲同香と取るよりない。ここで羽生はすぐに△8九馬、かと思いきや手が止まっている。しばし茫然としていた検討陣も、羽生が考えている間に検討を再開した。

 △8九馬には▲8四銀とそっぽに出て、二枚飛車の形を作ってどうか。以下△1六歩▲同香△2四桂▲7一飛成△1六桂▲3九玉△5一香▲6三歩が変化の一例。「めぐりめぐってよくわからないのですが、こうして一本道で攻め合えば振り飛車もやれそうです」(行方七段)

 15時を過ぎた。午後のおやつは、羽生は抹茶とようかん。藤井はミルクティーとバームクーヘンだった。

(15:17)

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おそるべき羽生の大局観

 49手目、藤井の▲8一飛成に代えて▲7四銀ならば、先ほど示した△7七馬ではなく△4二銀と落ち着かれてたいしたことがないようだ。

 52手目△1七歩まで、藤井陣は急に心もとない形となった。▲同香ならば△8九馬と桂を補充され、△1六歩▲同香△2四桂の筋がある。

 検討陣は事態の推移に愕然としていた。もうすでに振り飛車が勝ちにくいのではないか。検討はいったん打ち切られ、藤井のどこがおかしかったのかと局面はさかのぼり始める。しかしよくわからない。「うーん、設定がおかしかったのでしょうか。ということは私がこれまでしゃべっていたことは、まるっきりウソだったわけですね」。行方七段は頭を抱えた。しかし47手目▲8二飛の局面で振り飛車よしと思わない棋士はほとんどいないのではないか。

 羽生の大局観おそるべしと言うよりない。

(14:48)

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羽生、端攻めを敢行

 行方七段が予想した(A)▲7四銀は次に▲6三銀成を見た手。7七飛の侵入を防ぐのであればここで△7七馬▲同桂と飛角交換をするよりない。以下△4六銀▲6三角△4二金寄▲8一飛成が進行の一例で、次に先手からの▲5三桂が厳しい。

 本譜、藤井は小考の末に、単に(B)▲8一飛成と桂を取った。「藤井さんの手も当たらないのか」と行方七段は再度苦笑。

 50手目、羽生は△1五歩。美濃囲いの堅陣に収まった藤井玉のからめ手、端に手をつけた。

(14:23)

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わからぬ羽生の真意

 行方七段は一連の手順を見て、「大胆ですね。羽生さんはもう保険の効かない流れになっています。振り飛車としては全部の駒がさばけているので、これで悪かったらたまったもんじゃないですね」と語っていた。

 飛車角交換の後、藤井は▲8二飛と下ろす。ここで前例の▲7一飛から離れた。この次、控え室では(1)△9二角という手が検討されていた。「なるほど、だんだん謎が解けてきました」(行方七段)。▲7一飛でも羽生はこう打つつもりではなかったか、というのが検討陣の推測。8一桂取りを防ぎつつ、遠く敵陣をにらんでいる。古来この位置に打つ角は名角となることが多い。

 午後2時を過ぎた頃、熟慮に沈んでいた羽生の手が動いた。そして(2)△9九角成。「うーん、当たらない」と行方七段は苦笑。「▲7四銀でどうするつもりなんでしょう」。

(14:11)

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依然実戦例通り

 昼食休憩時、及川三段に見解を問うと「藤井先生持ちです」。やはり現局面は振り飛車よしと見る向きが多いようだ。

 午後1時、対局再開。羽生が少し遅れて対局室に戻ってきた後、藤井は▲7四歩と打った。以下△同飛▲7五銀△9四飛まで、藤井快勝に終わった▲藤井−△丸山戦と依然同様の進行である。羽生に秘策はあるのか?

(13:19)

*   *   *

早くも藤井よし?

 27手目、藤井は▲7八飛と寄る。戦いが起こった筋に飛車を移動するのは振り飛車のセオリーだ。以下は激しくも前例通りの進行。35手目▲8三角は小阪(昇七段)流と呼ばれる指し方。△7三飛に▲6一角成と成り込む。「この馬の存在は大きいです」(行方七段)。

 38手目、羽生も△8八角と敵陣に打ち込んだ後18分して、修善寺の温泉街に「恋は水色」のメロディーが流れる。定刻12時、対局は昼食休憩に入った。

 ここまでの消費時間は藤井58分。羽生39分。

 控え室の行方七段は「僕は居飛車党ですけれども、この形は振り飛車を持ちたいと思います。次に▲8五銀でも▲7四歩でも、先手が指せるのではないでしょうか。まともに大さばきになったら陣形の差が出ます。藤井さんにとっては考えるのが楽しいところでしょうね。羽生さんも冒険をしてまれに拙戦となることはありますが、この形は藤井さんがどんなカードを持っているかわかっているわけですので……。何かこの後の斬新な着想がないと腑に落ちないですね」と首を傾げていた。

(12:17)

*   *   *

羽生、急戦に出る

 20手目、羽生は△1四歩と端を突いた。穴熊にはしないという意思表示か。対して藤井は▲4八玉と上がる。「この手はセットですね」(行方七段)。相手が穴熊でない以上、居玉に固執して攻撃態勢を作り続ける必要はない。

 羽生は△7四歩〜△6四銀と急戦策に出た。「かなり先の先まで研究されている形なので、羽生さんは成算がないと指さないですね」(行方七段)。最近の代表局は昨年10月の日本シリーズ準決勝▲藤井−△丸山戦で、結果は藤井勝ち。藤井は同世代の丸山九段、郷田真隆九段を連破して優勝を飾っている。

(11:25)

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藤井システム模様

 対局前夜、両対局者はともに娯楽室を訪れていた。羽生は記録係の及川拓馬三段(19歳、伊藤果七段門下)が並べた難解な詰将棋をしばらくにらみ、見事に詰まし上げていた。二十数手で詰むらしいのだが、及川三段も含めて誰も他に解けないので確認はできない。羽生が部屋に引き上げた後、やはり解けないという藤井は「本当ですかね」と苦笑していた。藤井もいなくなった後の深夜、行方七段による女性記者への将棋のレクチャーが始まった。駒の動かし方からスタートしたはずが、いつしか深遠な藤井システム論へ。行方七段は藤井システムを「革新的で美しい」と語っていた。レクチャーを受けた女性記者は「行方さんが藤井さんを好きなことだけはよくわかりました」。

 17手目、藤井は▲4六歩と突く。藤井システム骨子の一手。「▲1五歩を急がないあたりが、ここ2年ぐらいの形ですね」(行方七段)

(10:57)

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藤井・四間飛車VS羽生・居飛車

 藤井の初手▲7六歩に対して、羽生は△8四歩と突いた。「相振り飛車の確率は50%ぐらいあります」と行方尚史七段は語っていたが、羽生は本局も居飛車を選択した。藤井はいつも通り、▲6六歩と角道を止める。この次、羽生は角道を開けずに△6二銀と上がった。第2局で羽生が見せた△3二銀〜△3一角という引き角の作戦が再び現れるのかとも思われたが、8手目に△3四歩と突いて、オーソドックスな形に戻った。

 11手目、藤井は▲6八飛。十八番の四間飛車に振った。

(10:29)

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先手番、藤井九段の初手は7六歩

 羽生善治選手権者に藤井猛九段が挑戦する第24回朝日オープン将棋選手権五番勝負の第4局が15日午前10時、静岡県伊豆市の「鬼の栖(すみか)」で始まった。持ち時間は各3時間。先手番、藤井九段の初手は7六歩。

 第1局、第3局は羽生選手権者が、第2局は藤井九段が勝ち、通算成績は羽生選手権者の2勝1敗となっている。

(10:10)

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「和敬清寂」 対局室検分は数分で終了

 第24回朝日オープン将棋選手権五番勝負第4局を翌日に控えた14日午後5時半、対局会場となる静岡県伊豆市の「鬼の栖」で、羽生善治選手権者と藤井猛九段による対局室検分が行われた。

 対局室の「山科」には、定刻の5分ほど前に羽生選手権者、続いて藤井九段の順で入室。立会人の青野照市九段とともに、盤や照明、空調の状態などを確かめた。検分は、数分で滞りなく終わった。

 対局室の掛け軸には「和敬清寂(わけいせいじゃく)」の文字。千利休の茶道精神をあらわした禅語で、「和の心で敬いあい、清らかな心で何ものにも動じない信念をもちなさい」という意味をもつ。

(05/15)

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現し世の鬼たちの隠れ家

 第24回朝日オープン将棋選手権五番勝負第4局が行われている静岡県伊豆市の「鬼の栖(すみか)」は、修善寺温泉街の奥まった一角にある。

 昨年の囲碁名人戦七番勝負、3連勝3連敗で迎えた最終第7局で、張栩名人が小林覚九段を破り名人位を防衛した舞台でもあった。

 それぞれの道をきわめた鬼才たちが、現し世を離れてしばし骨を休める休息の場。瀬戸内晴美(現在は寂聴)の小説のタイトルからとられた「鬼の栖」という旅館名には、そんな思いが込められているという。

 対局者にとっては厳しい戦いの舞台であるが、鬼才同士の決戦の場にふさわしい、静寂に包まれた環境である。

(05/15)

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