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第24回朝日オープン将棋選手権・本戦トーナメント展望世代間対決に妙味
羽生善治選手権者への挑戦権を争う第24回朝日オープン将棋選手権(朝日新聞社主催)の本戦組み合わせが決まった。前回のベスト4やタイトル保持者らシード棋士16人と、予選を勝ち抜いた16人の計32人による戦いが26日から始まる。アマチュアの活躍など最近の将棋界の話題を交え、本戦の見どころを、田中寅彦九段、渡辺明竜王、千葉涼子女流王将に語り合ってもらった。(司会・村上耕司) * * *
◇アマ棋士活躍―山崎、深浦、堀口に注目 ――まず、この1年の話題から。 田中 最初はなんと言っても瀬川晶司さん。61年ぶりのプロ試験で話題になった。吉田正和さんの奨励会入りもそうですが、プロを負かしたアマがプロになろうとする逆転現象が見られた。それから「激指(げきさし)」。将棋ソフトがアマ全国大会のベスト16に勝ち進んだ。 千葉 それから渡辺竜王の誕生も。 渡辺 それはもう古い話題だから。 田中 2年前の羽生―渡辺の王座戦最終局の立会人をやった時、この男はすぐにタイトルを取ると思った。亡くなった囲碁の加藤正夫九段が言っていたけど、一つの世代で傑出した人が出ると世代全体が底上げされる。だから後輩との対決には必死になったそうです。 千葉 瀬川さんは羽生世代、吉田さんは渡辺世代ですね。 渡辺 男性棋界もそうだけど、女流棋界は世代間の空白がありすぎ。 田中 そこに千葉さんが女流王将を取って風穴を開けたわけだ。 千葉 風穴なんか開いていませんよ。2強の清水(市代)さん、中井(広恵)さんにとっては、チクッと刺されたようなもので……。 ――瀬川さんのプロ試験の反響はありますか。 田中 将棋連盟のホームページのヒット数が増えた。将棋のことをなんとなく知っている人がのぞきに来ている。ネット中継のアクセス数は10万単位。そうした方たちにどうファンとして定着してもらうかが課題です。 渡辺 ネットやテレビの影響は大きい。 田中 テレビといえば千葉さんの聞き手は人気がありますね。 千葉 しゃべりすぎてうるさがられています。 渡辺 ハイとかウンだけの人は聞き手にはいらないんですよ。 田中 ほめられるの3割、悪口7割で一流なんです。私はどれだけ悪口を言われてきたことか。 渡辺 無難に終始していると仕事がなくなりますよ。 田中 心強い発言だなあ(笑)。 ――ネットといえば、渡辺さんのブログは人気がありますね。 渡辺 2年間、ほぼ毎日更新しています。ほとんど宿題ですね。2日間書き込みをしないと病気かと心配される。 田中 まめだねえ。 ――吉田さんもネットで話題になりました。 千葉 矢倉六段との予選決勝はネット中継で見てました。 渡辺 僕も吉田君を応援していた。 田中 本戦に入ったら自分と当たるんじゃないかと中原先生が心配してましたね。将棋界は肩書ではなく、強いことが絶対条件。それが認められる時代になってきた。 渡辺 彼は今現在、奨励会三段の上のクラスの実力があると思う。 ――「激指」の強さも話題になりました。 田中 コンピューターの世界と将棋界がどうつきあっていくか、今検討中です。 渡辺 僕自身はコンピューターはデータベースとしてしか使いません。詰みの部分に関しては人間とは計算能力が違うからしょうがない。プロが「詰む」と言っても、取材記者の人は念のためにコンピューターにかける時代だから(笑)。 ◇好カード満載―楽しみな森内―宮田戦 ――そろそろ本戦の話題に入りましょう。ベテランの石田九段が勝浦九段を破って本戦に進出しました。 田中 僕が奨励会にいた頃、一番強かったのがこの2人と森さん。その上に中原、米長がいて、さらに大山先生がいた。昔の人は力さえ出せれば強いんだ。予選は全体的に若手よりベテランの活躍が目立ったね。 ――組み合わせを見てみましょう。 千葉 羽生さんはどこにいるんですか。 渡辺 ぼけてるなあ。羽生さんはチャンピオンでしょうが。 千葉 あ、そうか、バカですね(笑)。山崎―阿久津は好カード。若手実力者対決です。 渡辺 山崎君は相変わらず勝っている。阿久津君は仲間内の評価も高い。 田中 森―郷田は兄弟弟子対決。これも注目です。 渡辺 所司師匠は高橋九段とか。同じタイプだから苦しいかなあ。勝つと宮田君と師弟対決になる可能性があるから頑張ってほしい。 田中 森内―宮田戦は面白いね。名人と、天才タイプの宮田君。 千葉 佐藤棋聖と佐藤紳哉五段、それに鈴木八段と小林五段は異色の顔合わせですね。 渡辺 佐藤棋聖は最近力将棋を好んでいる。腕力が生きるように指してますね。 田中 羽生世代ももうベテランになってきたんだ。中原―高野は師弟対決。師匠の引退前にいい記念にしたい(笑)。 渡辺 中原先生は真剣にやれば強い。ただ普通に指すことに飽きているんです。隣で指していると「こんな仕掛けどうだい」って、こっちを向いて楽しんでいる。 千葉 三浦―矢倉戦は2年前にも当たった組み合わせです。 渡辺 三浦さんは若手棋士を戦法別に呼び出して特訓しているらしい。珍しいやり方です。 千葉 深浦さんはこの棋戦と相性がいい。 渡辺 深浦―杉本戦は独自のスタイルを持つ人同士の対戦です。 ◇さて本命は?―谷川の頑張りにも期待 ――久保―北島戦は? 田中 北島君は結構強いよ。2回ほどひどい負かされ方をしたけど、相手のミスを捕らえるのがうまいという気がした。 渡辺 藤井さんは最近それほど激しい攻めをしなくなった。 田中 ローンが終わって、モチベーションが下がったのかな(笑)。 千葉 渡辺さんは石田先生とですね。 渡辺 前回対戦したときは負けそうになったので、今回はしっかり勝ちたい。 千葉 堀口さんはこの前、5時間24分の長考で話題になった。 田中 森下君は理事になって勝ち出した。いろんなことをすべてプラスにしている感じです。 渡辺 仕事の合間にたまに指す将棋が楽しいんでしょう。 田中 本当にそう思うよ。君も楽しいだろう。 渡辺 いいえ、対局は苦しいだけです。 千葉 私もタイトル戦など大きな対局は緊張しすぎて楽しくない。 田中 その緊張感が楽しいんですよ。 渡辺 電撃結婚した丸山さんは、どの棋戦でもある程度勝っている。 田中 神秘の人だね。あの筋肉もすごい。 渡辺 村田君は若手には珍しく型にはまらない将棋を指します。 千葉 今期15連勝の記録を作っている。 田中 谷川さんは僕の世代の実力者。まだまだ頑張ってもらいたい。 ――では最後に、活躍しそうだという人の名前を挙げてください。 田中 山崎、渡辺、佐藤康光、谷川。これなら将棋連盟としても売り出しやすい(笑)。 千葉 山崎、深浦、堀口。調子を上げてくれば阿久津君も。 渡辺 若手で山崎君。それに森内―宮田戦の勝者。谷川さんにも頑張ってほしい。もちろん、私も羽生さんと五番勝負を戦うつもり。20代が頑張らないと将棋界が盛り上がらないから。 ――今日はどうもありがとうございました。 (2005年9月20日朝日新聞朝刊紙面) 関連情報 |
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