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< 第25回朝日オープン将棋選手権五番勝負第1局 >
先手 ▲ 羽生善治  選手権者   対   後手 △ 阿久津主税  挑戦者

「崩れ矢倉」

2007年07月16日

 羽生城の金矢倉は△7六歩と打たれる傷を持つだけで、原型のまま。現状では穴熊と変わらないほどの堅さである。

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▲3五歩まで 棋譜

56〜64手

  1. △8五桂3
  2. ▲8六銀2 
  3. △7七歩21
  4. ▲同 桂8 
  5. △7六歩3
  6. ▲8五桂5 
  7. △同 歩
  8. ▲同 銀  
  9. △5五桂

指了図・△5五桂まで

棋譜

 急げ! と跳んだ△8五桂の斬(き)り込み隊長。▲8六銀に、阿久津五段が席を外す。たばこを吸いに行ったのだろうか。対局室は禁煙になっていないが、彼はいつでもそうする。「目は心の窓」というから、優しい目の阿久津は、心優しい人に違いないと思う。

 21分の考慮時間を記録して△7七歩。▲同桂に△7六歩は、敵の城も「崩れ矢倉」にしてしまえ、という手だ。

 ▲8五桂△同歩▲同銀と桂交換になり、後手側から桂を打つ好点が7五と5五にでき、予定通りの△5五桂だった。

 羽生選手権者ほか多数の棋士、女流棋士を育てたことで知られる東京の八王子将棋クラブの席主、八木下征男さんに阿久津の少年時代のエピソードを聞いた。

 小学5年の夏に初めて来た時は1級。夏休み中は毎日来て一気に四段に昇り、1年後には五段で、八木下さんより強くなった。明るい活発な少年で、よくクラブの開場前に八木下さん宅へ来て待っていた。一緒に歩きながらも将棋の本を読んでいたという。天才とは努力家のことを言うのだろう。

(東公平)

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