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第25回朝日オープン将棋選手権 五番勝負第2局

【4月19日 名古屋東急ホテル(愛知県名古屋市)】
先手 ▲ 阿久津主税  五段   対   後手 △ 羽生善治  選手権者

写真 感想戦にて、笑みがこぼれる阿久津挑戦者
写真 勝負は1勝1敗。次局は再び羽生選手権者先手となる
写真 終局後、両対局者は大盤解説会場に姿を見せた
写真 終了時刻は午後4時54分
写真 阿久津挑戦者はうれしい1勝
写真 控え室に戸辺四段と橋本七段も登場
写真 鈴木女流初段による指導対局
写真 対局再開。頬に手をあて考える羽生選手権者
写真 午後1時前、再開直前の両対局者
写真 対局再開前、盤の前で一人考える阿久津挑戦者
写真 昼食は両対局者ともに、名古屋名物の味噌カツ
写真 控え室で検討する渡辺竜王
写真 羽生選手権者が△6二銀と上がった局面で昼食休憩
写真 過去の実戦例を調べる鈴木女流初段と杉本七段
写真 駒を並べる羽生選手権者
写真 初手を指す阿久津挑戦者
写真 前夜祭には人気棋士が顔をそろえた。壇上左から大内九段(立会)、渡辺竜王(新聞解説)、杉本七段(大盤解説)、鈴木女流初段(聞き手)、船江三段(記録)
写真 両対局者の合意で使われる駒。作者は熊澤良尊師、書体は古水無瀬
写真 対局前日の対局室検分で調べられた駒は全部で3組

羽生、痛恨の錯覚

 後手番の羽生が横歩取り△8五飛を選んだのは予定通り。

 羽生は42手目△7三銀から銀を繰り出して先手の飛車を圧迫しに行ったが、あまり効果がなかった。代わりに△7三桂や、△5五角▲5六飛△4四角などが考えられたか。

 阿久津は焦らされて攻めたと語っていたが、49手目の▲5六角は「いい手でしたね」(渡辺竜王)

 本局最大のポイントは59手目▲3九歩の局面。本譜は(1)△4二金▲4五角△1五角▲5四角と進んで、阿久津は勝ちになったと思った。以下△3七角成に▲3一飛が詰めろでぴったりだった。

 (2)△4二金では単に△1五角と打つ順がまさった。羽生は(A)▲8四桂と打たれてまずいと錯覚した。

 確かに△7一金と引くしかないのなら致命的な利かされで、▲3二と△3七角成▲同金は後手玉が詰めろで先手勝ちだ。

 しかし強く△3七角成▲7二桂成△3八馬と進めれば後手勝ち。羽生はこの局面で自玉が詰むと思っていたのだが、▲6一銀△4二玉▲3二と△同玉▲2三金△4二玉で詰まない。正確無比を誇る羽生の読みに、大きな穴が開いていた。一方、阿久津はこの順を読みきり、自分に勝ちがないことを知っていた。

 ▲8四桂に代わる手は(B)▲2六桂ぐらいだが、△3一金▲4五角△5五飛▲3六角△3五飛が進行の一例で先手も大変だ。

 本局は阿久津が自然体で伸び伸びと指して攻めの好手順を見せたのに対し、羽生に錯覚が出たため最後は一方的となった。

 第1局、第2局と互いに先手番を勝ち、第3局は再び羽生が先手となる。

2007年04月19日19時02分

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阿久津五段勝ち1勝1敗のタイに

 名古屋市中区の名古屋東急ホテルで指されていた第25回朝日オープン将棋選手権五番勝負(朝日新聞社主催)の第2局は19日午後4時54分、挑戦者の阿久津主税(ちから)五段(24)が羽生善治選手権者(36)を71手で破り、対戦成績を1勝1敗のタイに戻した。持ち時間3時間のうち、残りは選手権者1分、挑戦者49分。

第3局は30日、大阪市北区の芝苑(しえん)で。

2007年04月19日17時30分

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笑顔の阿久津、羽生に初勝利

 68手目、羽生が△5三玉と逃げたのに対して、阿久津は高い駒音で▲3七金と馬を取る。

 羽生の△3九飛成は形作り。▲4五桂と詰まされるまで指して、羽生は駒を投じた。

 投了図以下(1)△4四玉は▲2六角△5五玉▲4六金まで。(2)△6二玉は▲7二銀成△同玉▲6一角以下、後手玉は詰みとなる。

 終局後、阿久津は笑みをのぞかせていをた。五番勝負においても、またこれで4局目の対羽生戦においても初の1勝だ。

 羽生は60手目△4二金を「ひどかった」と振り返る。ひどい錯覚があったようだ。代わりに控え室で検討されていた通り、単に△1五角と打つべきだったか。

2007年04月19日17時26分

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羽生、残り1分

 羽生は残り7分まで考え、△5四歩と角を取った。阿久津はすぐに▲6一銀と王手する。第1局のうっぷんを晴らすかのような終盤となった。

この次、羽生は時間をすべて使い、一分将棋の秒読みの中、△5三玉と立った。

2007年04月19日16時54分

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羽生、残り10分

 63手目、阿久津はきっぱり▲5四角。これで阿久津勝ちだろう。控え室ではすでに検討が打ち切られている。羽生は△3七角成▲3一飛と進め、ここで時間を使って考えている。羽生マジックが存在する可能性は、ほとんどなさそう。やがてスピーカーから「羽生先生、残り10分です」という船江三段の声が聞こえた。

2007年04月19日16時44分

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終局近しか

 62手目△1五角に対して、控え室では▲5四角で先手勝ちではないかと言われている。(A)△5四同歩は▲3一飛と手にしたばかりの飛車をおろしてよい。次に▲3二とや▲6一銀が厳しく、△3七角成は▲同金と取って後手玉が詰めろになる。先に(B)△3七角成はやはり▲3一飛と打たれて、この手が▲6一銀以下の詰めろ。以下△5四歩には▲3七金として、先ほどの変化と同じことになる。

 控え室には学校帰りの地元の室田伊緒女流1級が訪れた。ただし控え室はもう、終局近しの雰囲気だ。

2007年04月19日16時20分

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「阿久津カンタービレ!」

 控え室の検討陣は阿久津側にいい手が出るたびに、しきりに「阿久津カンタービレ」と声にしている。特に意味はなく、なんとなく語呂がいいだけだそうだ。

 60手目、羽生は熟慮の末に△1五角と打たず、△4二金と逃げた。阿久津は力強い手つきで▲4五角。この手を見て、「残り30分です」の声を聞いた後、羽生は△1五角と打った。

 渡辺竜王は「阿久津勝ちです、たぶん」と判定した。

2007年04月19日16時14分

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やはり羽生よし?

 57手目▲2三とは難しいところで、スピードを重視するなら▲3二とか。

 △2九飛▲3九歩と進んだ時点で、残り時間は阿久津1時間6分、羽生54分。

 60手目、検討陣は△1五角を予想している。次に△3七角成が早い。一手の余裕を得たい先手にいかなる手段があるのかが見所だ。進行の一例は△1五角に(A)▲3二と△3七角成▲1八銀(!)。検討陣はしばらく、このいかにも阿久津が指しそうもない銀打ちを検討していたが、△4八桂成▲6九玉△2六飛成で後手よしと結論付けられた。

 現状では後手よしの変化が多く出てきている。ただし形勢は依然よくわからない。△1五角に(B)▲2六桂と粘ってみてはどうだろうか。

2007年04月19日15時55分

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大決戦

 51手目▲3四歩以下は控え室検討通りの手順に進み、あっという間に大決戦。控え室では阿久津よしではないかとささやかれているが、56手目、羽生が△3六桂と飛車を取った手は自信ありげだ。ともかくも、第1局のように阿久津完敗とはならないだろう。

 時刻は午後3時半を過ぎた。

2007年04月19日15時38分

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阿久津有望か

 阿久津の親友である橋本七段の戦前予想は「羽生3―0」。まあ普通に考えてそうでしょ、と笑っていた。

 阿久津は棋界では数少なくなったスモーカーの一人。対局室での喫煙風景は、現在ではあまり見られなくなった。阿久津は第1局では煙草を控えていたが、本局では堂々と吹かしているそうだ。

 50手目、羽生は△2五桂と跳ねた。読み筋とばかり、阿久津は▲3四歩と伸ばす。次に▲3三歩成を防ぐ手は難しい。変化の一例は△3七桂成▲同銀△4四桂▲3三歩成△3六桂▲3二と△同銀▲4五角で、これは先手有望か。控え室の検討も次第に熱を帯びてきた。

2007年04月19日15時25分

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思い切りよい阿久津

 48手目△2四歩に対して、(1)▲同歩は△同飛で後手調子がいい。次に△5四角の狙いなども残っている。

 阿久津は考えた末、(2)▲5六角と打った。「思い切った手ですね」と渡辺竜王。この思い切りのよさが阿久津の身上か。▲3四歩の狙いに対して、後手はどう対応するのか。(A)△2五桂は▲4五桂の跳ね違いがある。(B)△5五銀は▲3四歩△5六銀▲3三歩成△2九角▲2三と△3八角成▲3二飛成△4二金▲4一銀△6一玉▲4二龍が一直線の変化の一例。こう進むのであれば先手よしか。

 時刻は午後3時を過ぎた。

2007年04月19日15時05分

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にぎわう控え室

 控え室には橋本崇載七段(関西所属)と戸辺誠四段(東京所属)も訪れている。最近棋界で話題になっているのが、一昨日おこなわれた竜王戦6組準々決勝の糸谷四段−戸辺四段戦における反則。糸谷四段は相手の駒を取った際、取った駒は自分の駒台に置いたものの、自分の駒は違うます目に置いてしまった。あまり類のない反則で、状況を伝える記録用紙にも苦心の跡がうかがえる。そのとき記録を取っていたのは奇しくも、本局の記録係である船江恒平三段(19歳、井上慶太八段門下)である。

 47手目、阿久津が▲2五歩と伸ばしたのに対して、羽生は18分考え、すぐに△2四歩と反発した。消費時間の通計は阿久津1時間11分、羽生1時間35分。

2007年04月19日14時50分

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形勢互角

 羽生は△7三銀〜△6四銀と先手の飛車にプレッシャーをかける。阿久津は▲3五歩〜▲3六飛と転換した。ただしこの飛車は依然せまい。羽生は△2三銀と上がって、▲3四歩を防いだ。

 この次、阿久津はどのようにして手を作っていくのか。(A)▲2五桂は△4五桂と跳ね違われる可能性もある。渡辺竜王の予想手順は(B)▲2五歩△5五銀▲2六飛(▲2七銀もある)△2四歩▲同歩△同銀▲5六歩(△同銀は▲5七歩で銀が助からない)。こうなれば先手も十分戦える。一見後手の模様がよさそうにも思われたが、調べてみれば難しい。

 大盤解説会場では、杉本昌隆七段と鈴木環那女流初段による指導対局がおこなわれている。杉本七段は地元名古屋在住で、順位戦は今期B級1組に昇ったところ。A級まではあと一歩だ。

 昼休みの控え室では今期順位戦の対戦表が広げられ、誰が昇級するかの予想でしきりと盛り上がっていた。

2007年04月19日14時07分

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中盤戦

 両対局者の昼食は味噌カツ。全国的によく知られている、地元名古屋の名物だ。

 午後1時前、阿久津が先に対局室に戻り考え始めた。中盤の構想力が問われる局面だ。羽生も上座に着き、午後1時、対局再開。阿久津は一呼吸おいて、▲3七桂と跳ねた。「将棋って難しいですねえ」。モニターテレビが動いたのを見た控え室の渡辺竜王がぽつりとつぶやく。

 羽生は熟慮の末、△7三銀と上がる。一手一手に神経を使う中盤戦となった。

2007年04月19日13時36分

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対局再開

 午後1時に対局が再開された。阿久津五段の41手目は▲3七桂。

2007年04月19日13時12分

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穏やかな展開に

 37手目、阿久津は▲7五歩と突かず、穏やかに▲2八銀と上がった。

 羽生は△7二金と寄り、8三のスキをなくす。

 阿久津の▲3六歩は▲3五歩〜▲3六飛も含みにしている。互いの中段飛車がどうはたらくかがポイントとなりそうだ。

 40手目、羽生が△6二銀と上がった局面で正午となり、昼食休憩に入った。

ここまでの消費時間は阿久津55分、羽生40分(持ち時間各3時間)。

対局再開は午後1時から。

2007年04月19日12時05分

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早くも勝負どころ

 32手目△5四飛に対して、▲同飛△同歩と飛車交換に応じるのは後手に分がある。先手から見れば8九にスキがあり、△5五歩〜△5六歩と玉頭の歩を伸ばされるのが厳しいからだ。

 ▲6六飛と寄った後、阿久津は対局室隣りの控え室に遊びに来ていた。相手の手番の際に頻繁に席を立つのが、いつもの阿久津のスタイルだ。ひとしきり談笑した後、羽生の△5二玉を見て、対局室に戻る。

 ここまでの消費時間は阿久津27分、羽生32分(持ち時間各3時間)。

 阿久津の▲6八銀に渡辺竜王は早くも首をかしげる。羽生はすぐに△7四歩。阿久津が▲7五歩と突かなかったために生じた手で、先手の飛車が途端に窮屈になったように見える。早くも勝負どころを迎えたか。「ほっとくと△7三桂と後手の形がよくなりますからね。阿久津流は果敢に▲7五歩ですか」(渡辺竜王)

2007年04月19日11時37分

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△8五飛定跡の探求

 22手目、羽生は△8五飛と引く。中座真・現六段が創案し、後手番の戦術に一大革命をもたらした中座飛車の構えだ。先手番の対策が進んであまり指されなくなった現在、羽生に秘策ありやと期待を抱かせる進行である。

 阿久津の▲3三角成△同桂▲7七桂は2003年9月の王座戦第3局▲羽生王座−△渡辺挑戦者戦で現れるなど、実戦例のある形だ。

 32手目△5四飛まで、消費時間は阿久津8分、羽生17分。はっとする飛車のぶつけだが、まだ定跡通りの進行だ。

午前11時過ぎ、阿久津は飛車交換を避け、▲6六飛と寄った。

2007年04月19日11時15分

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戦形は横歩取り

 第1局と先後を入れ替え、本局は阿久津が先手である。事前の戦形予想で多かったのは、後手番羽生の振り飛車。渡辺竜王によると、羽生選手権者は番勝負の第1局を勝った後の第2局では、日ごろ指したくてなかなか指せない戦形を選ぶことが多いという。例えば昨年の本棋戦五番勝負第2局、藤井猛九段の四間飛車に対して、羽生は飯島(栄治五段)流引き角戦法を採用していた。

 定刻の午前10時、阿久津の▲7六歩で対局開始。以下△3四歩▲2六歩△8四歩と進んで検討陣の予想ははずれ、羽生は居飛車の態度を明らかにした。

 15手目▲3四飛まで、羽生の注文を受ける形で阿久津は横歩を取る。横歩取りブームが去ったと言われる最近では、比較的珍しい出だしだ。

2007年04月19日10時24分

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第2局始まる 先手は阿久津五段

 第25回朝日オープン将棋選手権五番勝負(朝日新聞社主催)の第2局が、19日午前10時から名古屋市中区の名古屋東急ホテルで始まった。先手の阿久津主税(ちから)五段の初手は7六歩。

 先勝した羽生善治選手権者(36)が勝てば、4連覇にあと1勝と迫る。挑戦者の阿久津五段は、ここで勝ってタイに戻したいところだ。

 持ち時間は各3時間。大盤解説会が同日午後3時半から、同ホテルと東京・築地の朝日新聞東京本社で開かれる。

2007年04月19日10時06分

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