< 第25回朝日オープン将棋選手権 準々決勝第3局 > 先手ペースに2007年06月12日 昨年末のA級順位戦で、久保はちょっとした事件の主役になった。郷田真隆九段との対戦で相手の時間切れを指摘したが、それが認められず久保の負けになったのだ。
トラブルの内容はともかく、久保がその事件をきっかけに発奮したのは確かで、以来8連勝してこの対局を迎えた。 「今の久保君は怒っているからなあ」と控室の棋士たち。持将棋局もそうだったが、この一局にかける久保の執念にはすさまじいものがあった。 ここで▲3三歩成は△7六歩▲6六角△同桂で後手優勢になる。後手の狙いは△7六歩なのだ。そこで▲6七歩と打ったのが好手。角銀交換は許すが、7四の桂は使わせないという手だ。「これでいっぺんに大変になった」と久保も言う。 このあとの△3六角では△7六歩▲同銀△6六桂▲同歩△5八角という手順で両取りをかけるのがよかったようだが、実戦は久保がそれを逃して混戦になった。 穴熊攻めには大駒より小駒。2度の▲8五桂や▲7七香などの好手が飛び出し、指了図はむしろ先手ペースだ。 (青) |