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第25回朝日オープン将棋選手権・本戦トーナメント展望

世代混交、好カード続々

本戦トーナメント組み合わせ

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島朗・八段 (しま・あきら)63年、東京都世田谷区生まれ。80年に四段。88年に初代竜王を獲得。現在、日本将棋連盟の理事を務める。

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瀬川晶司・四段 (せがわ・しょうじ)70年、横浜市生まれ。96年に奨励会を退会したが、05年にプロ編入試験に合格し四段に。NEC所属。

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清水市代・女流二冠 (しみず・いちよ)69年、東京都東村山市生まれ。85年、女流プロ2級、96年、女流四冠。現在は女流王位、倉敷藤花を保持。

 第25回朝日オープン将棋選手権(朝日新聞社主催)の本戦組み合わせが別表の通り決まり、20日の鈴木大介八段―安用寺孝功五段戦で熱戦が始まる。4連覇を目指す羽生善治選手権者への挑戦権を争うのは、前回のベスト4やタイトル保持者らシード棋士16人と、予選を勝ち抜いた16人の計32人。本戦の見どころを島朗八段、瀬川晶司四段、清水市代女流二冠に語り合ってもらった。(司会・村上耕司)

*   *   *

◇プロアマの壁―情報量が若手の台頭促す

 ――この1年を振り返ると、昨年末に瀬川さんがプロ試験に合格し、新たなプロ編入制度もできました。

  この夏、瀬川さんはイベントに引っ張りだこで、佐藤康光さんと並んで一番忙しかった。

 瀬川 新制度はアマにとって厳しい面もあるけれど前進です。プロとアマの実力差は、技術面でそれほどないと思う。でも勝負に対する執念が違う。プロは最後まであきらめない。プライドもあるし、かけているものの大きさもある。

 ――将棋ソフトとの対局禁止令も出ました。

  本来、規制するような問題ではないんですが、強くなりすぎて看過できないということでしょう。理想は共存共栄です。

 瀬川 僕も何度か指しましたが、強くなっているのは確か。いつかプロがコンピューターと本気でやるときが来るんでしょうね。

 ――アマ棋界の話題はどうでしょう。

  4、5人が抜きんでている。加藤幸男さん、清水上徹さん、今泉健司さん、早咲誠和さん。

 瀬川 研究会などでプロとの交流が増えて、自然に強くなっています。

 ――女流棋界は?

 清水 若手が出てきましたね。20代の千葉涼子さんと矢内理絵子さんがタイトルを取ったけれど、10代の若手も強い。

  最近の若手女流は熱心です。特に里見香奈さん、井道千尋さん、室田伊緒さん。努力次第でトップまでくるかも。

 清水 今は本もインターネットも情報量がすごい。それが若い子が出てくる要因になっています。小学生の加藤桃子さんも奨励会に入った。

  清水さんが10代で基盤を作ったように、10代のうちに、どこまで行けるかが勝負ですね。

◇力増すプロ―羽生世代、さらにパワーアップ

 ――プロ棋界の話題に移りましょう。

  プロも上の4、5人が違う。中でも羽生、佐藤康はかつての中原、米長のようです。

 清水 それにしても、みなさん衰えませんね。

  羽生世代はさらにパワーアップしている。渡辺竜王にとって、今度の竜王戦の佐藤さんとの対戦は真価を問われる。

 ――戦術についてはどうでしょう。△8五飛戦法は下火になりました。

 瀬川 結論が出てないけれど、流行は1手損角換わりに替わりました。

  最近は、タイトル戦で振り飛車も指されます。羽生さんの振り飛車はスピードの落ちないフォークボールみたい。変化球なのにものすごく速いからたまらない。振り飛車の存在感が増しているのは確かです。

 ――名人戦のことも大きな話題でした。

  どういう形になるにしろ、朝日新聞社にお世話になります。ファンを失望させない形にすることが将棋連盟の責任です。「朝日オープン」も形が変わる可能性がありますが、アマ枠10人は堅持し、プロもオープン参加にしてはどうでしょう。例えば出場希望のプロは5万円払って自費参加とする。1回戦の対局料はなしで、対局料は2回戦から。1回勝てば元が取れる。プロもアマも女流もみんな横一線でスタートする。

 ――どのくらいのプロが参加するでしょう。

  選抜方式より自由参加方式の方が公平です。若手はみんな出るだろうし、上位も含め全体の半分は出るんじゃないですか。

 瀬川 オープンエントリー方式は時代に合っているかもしれませんね。僕はもちろん出ます。

 清水 私も出ます。女性割引で(笑)。

◇見どころ―山崎―中田戦は大一番に 佐藤康、中田、郷田、谷川が柱

 ――では本戦出場棋士を見てみましょう。

  年代的にバランスが取れている。中村、糸谷、広瀬、高崎の若手に対抗する形で、ベテランの田中さん、小林健二さんが入った。

 瀬川 ベテランは強いんですよ。僕も小野先生にやられました。

  おじさんの球はいつでも打てそうに見えるけど、意外に打てない。

 瀬川 仲のいい田村君はムラっけが問題。小林裕士君は最近好調。阿久津君は才能派です。

  安用寺君もしぶとい軟投派。屋敷君の将棋は最近自由度を増した。

 清水 佐藤秀司さんは重厚で腰が重い。

  ランナーは出すが、点を取らせないタイプ。中田さんは「棋譜並べをすると非力になる」という名言を残し、詰将棋ばかり解いている異色のプロです。

 ――組み合わせはどうですか。まず右上ブロックから。

  高崎君は勢いがある。藤井君にはやりにくい相手でしょう。木村君は今年は調子が悪い。

 瀬川 去年の竜王戦ショックをまだ引きずっているんでしょうか。

 清水 若手振り飛車党にとって藤井さんはあこがれ。高崎さんは思い切りやれますね。真田さんは奨励会幹事になって張り切っています。佐藤康―田村戦も楽しみ。

  康光さんは今年は違う雰囲気がある。堀口君はこのところ上位の壁にぶつかっている。ここが正念場です。

 ――右下ブロックは。

 瀬川 ここは広瀬―三浦戦が面白い。終盤の広瀬がどう戦うか。

  中原―糸谷戦は糸谷君の力将棋を中原先生がどういなすか。

 清水 山崎さんにも注目したい。中田さんの重厚な将棋も楽しみです。

  中田さんは「仙人」みたいな人。このブロックは浮世離れした人が多いですね。

 ――左上ブロックを見てみましょう。

 清水 行方さんを応援します。久保さんの振り飛車にどう指すか。

  郷田さんを筆頭に好調な棋士が多い。森内、郷田を中心に誰が来てもおかしくない。阿部さんはA級順位戦で星は伸びていないが、将棋の内容はいい。

 瀬川 阿久津君が森内名人にどんな戦いを見せるか興味があります。

 ――左下ブロックは。

 清水 すごいメンバーの中で新鋭の中村君がどんな将棋を見せるか。

  谷川さんは一時の不調を脱しました。存在感は別格です。「悪役」が多い中で、このカードはすがすがしい。

 瀬川 丸山、屋敷は普段はほがらかですが、将棋は真剣です。渡辺竜王もここは勝ち上がりたいところですね。

  深浦君は振り飛車を指すようになって、自在性を増している。

 ――最後にベスト4を予想して下さい。

  佐藤康、中田、郷田、谷川。谷川さんは棋戦の相性がよく、渡辺、深浦のスピードに対抗できる。佐藤君は藤井君に相性がいい。中田さんも中原先生に相性がよく、1分将棋の強さは三指に入る。郷田さんの充実度もピカイチです。

 瀬川 佐藤康、山崎、郷田、谷川。島さんとほとんど同意見ですね。1回戦の山崎―中田戦が大一番になると思います。

 清水 私は希望を込めて、小野、中原、行方、谷川。行方さんは一緒に研究会をやって人間的な成長も見てきた。小野さんはテレビ講座の助手をさせていただいた。谷川さんは優雅さをアピールしてほしい。中原先生は大御所が羽生さんに挑戦する姿を見たいです。


(2006年9月19日朝日新聞朝刊紙面)

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