行方、勢い重視が奏功 第1回朝日杯を振り返る2008年02月19日 第1回朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)は9日、積極的な姿勢を貫いた行方尚史八段(34)が優勝して閉幕した。約600人のファンが見守る中で対戦した決勝・準決勝は、7カ月間の戦いを締めくくるのにふさわしい熱戦だった。公開対局の模様をダイジェストで紹介する。
◆準決勝 銀の働き、明暗分ける 決勝・準決勝は東京・有楽町の朝日ホールでの公開対局。注目度の高さを反映してか、午前10時の開場に9時前から入場を待つ行列ができた。 対局場はテーブルに将棋盤が配置され、対局者はいすに座って指し進める。周りは仕切られているが、観客は対局者からわずか2メートルの場所で見られる。対局中のため息や苦しむ表情がはっきり感じ取れる距離だ。席は開場と同時に埋まり、立ち見客が取り囲んだ。 準決勝は羽生善治二冠―丸山忠久九段、行方八段―阿久津主税六段の組み合わせで10時30分開始。別会場では、島朗八段と山田久美女流三段による大盤解説会が始まった。 羽生―丸山戦は、丸山の初手先手7六歩に羽生が後手3二飛と応じたことで力戦調に。羽生が調子よく攻めているようだったが、丸山も角2枚を打ってねばり強く抵抗した。A図は羽生が後手5六香と角取りに打った局面。ここで丸山が打った先手7五桂が厳しく、後手に受けがなくなった。後手5六香では後手2四飛が正着で、以下先手7五歩後手5六香と進めれば、いい勝負だった。 100人以上の観戦者が見守る中、午後0時13分に羽生が投了。すぐ2人が解説会場に移動して戦いを振り返るというのが朝日杯ならではの趣向だ。 行方―阿久津戦は矢倉模様から攻め合いに。B図は劣勢の阿久津が入玉に望みをつないだ局面だ。B図以下後手6二角先手7三成銀後手7二金で、0時37分に阿久津が投了。互いに相手陣に打ち込んだ銀の働きの違いが明暗を分けたようだ。 ◆決勝 丸山を攻め倒す 丸山―行方の決勝戦は、午後2時30分に始まった。後手・丸山の注文で力戦形に。解説会場には準決勝で敗れた羽生、阿久津も登場し、ファンを楽しませた。 中盤からは行方が攻め、丸山が受ける展開。行方が銀損する猛攻を見せれば、丸山はその銀を自陣に埋めて抵抗するという、見応えのある熱戦となった。C図は行方が先手6五桂と打ったところ。桂3枚が丸山陣に圧力をかけている。ここから後手2七角先手5三桂成後手同銀先手同香成後手8一角成先手5四歩後手4一桂先手6五桂と進み、以下数手進んだところで駒損となった丸山が戦意を喪失し、軽く頭を下げて投了した。 島八段は「桂の跳躍が死命を制したと言っていい」と解説。行方八段については「多数派に迎合しない剛直な棋風。意地を通した初優勝です」と話した。 順位戦でA級からの陥落が決まっている行方は対局後、ファンの前で「40分の持ち時間は自分に合っているのかな。6時間の順位戦では余計なことを考えちゃって……」と会場を笑わせた。優勝までを振り返って「勢いを重視したのが功を奏した。最近はブレーキを踏みがちだったので、そういうのを取っ払って指せたのがよかった。この感じを長時間の棋戦でも出していきたい」と話した。 ◇ 準決勝、決勝の棋譜は朝日杯中継サイトでご覧になれます。 将棋
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