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将棋の第66期順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)は全対局を終え、森内俊之名人への挑戦者が羽生善治二冠に決まったほか、B級1組〜C級2組の各クラスの昇級者、降級者が決定した。挑戦・昇級争いも白熱したが、最も注目を集めたのはタイトルホルダーの佐藤康光二冠がA級陥落の危機に追い込まれたことだろう。どんな心境で戦ったのか。佐藤二冠に胸の内を聞いた。
3日のA級最終局。日付が変わっても、佐藤二冠―木村一基八段の戦いは形勢不明の激戦が続いていた。118手目、木村の王手に佐藤が玉を引いた瞬間、振り子は大きく木村側に揺れた。佐藤玉に即詰みが生じたからだ。しかし、木村は正解手を逃す。以降もぎりぎりの戦いだったが、午前1時29分、虎口を脱した佐藤が勝ちきった。
「詰みにはまったく気づいていなかったので、局後に指摘されびっくりした。後でテレビ録画を見ると、木村さんは自分の玉の周りばかり見ている。お互いに木村玉が詰むかどうかに気が向いていた。完全に盲点だったことが幸いした」
木村一基八段に勝って降級は逃れたものの、浮かない表情の佐藤康光二冠=4日、東京都渋谷区の将棋会館で、高橋洋撮影 |
◆ずるずる
二冠王の佐藤は挑戦争いの有力候補だった。ところが出だしから郷田真隆九段、丸山忠久九段に熱戦の末に競り負けたのが響いた。「上を目指すには嫌な負け方をして、気持ちが盛り上がらないままずるずるいってしまった」
棋聖防衛、竜王戦挑戦と活躍しながら、順位戦は年末までに6連敗。竜王戦七番勝負も渡辺明竜王に敗れ、周囲は不調をささやいたが、本人は否定する。
「不調というより、あらかじめ先手、後手が決まっている持ち時間6時間の将棋に対する心構えが緩慢だった。30代中心の今のA級のメンバーは、安定感があって成熟している。ちょっとしたスキにつけ込まれた感があります」
◆開き直り
全敗で迎えた年明け。残り3局を一つも落とせなくなり、「腹をくくって、良い意味で開き直れた」。1勝の行方尚史八段との直接対決は、駒組みが勝敗に直結する神経戦に。「終盤は偶然手が良い方にいって流れを作ることができた。この1勝は大きかった」
2月の久保利明八段戦は負けたら陥落の一番。中盤で形勢を損ねたが、辛抱を重ねて逆転。「あそこまで辛抱できる棋風ではないんです。よく我慢できたと思う」。最後は和服姿で気合十分の木村に競り勝った。
「ファンの方からお祝いのメールや手紙をいただいて、注目度の高さを再認識した。この経験を生かすも殺すも自分次第。来期も充実したメンバーで厳しい戦いになるが、もう今年のような思いをしないようにしたい。挑戦を狙います」
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◆若手有望株 山崎・阿久津ら昇級
B級1組以下の昇級者は表の通り。B級1組は本命視された渡辺竜王が出だしでつまずき早々と脱落。鈴木、深浦の実力者が1月にA級復帰を決めた。
B級2組の山崎、C級1組の阿久津は、朝日オープン将棋選手権五番勝負に出たトップ級に並ぶ若手有望株。苦戦の将棋も多かったが、順当に昇級を決めた。タイトル3期の実力者、屋敷は4期目で卒業。若手中心のC級1組で41歳の豊川が見事に勝ち抜き、「厳しく、長い1年だったので、本当にうれしい。オジサン将棋指しも頑張ります」。C級2組は新人王の村山が強さを見せつけた。佐々木は7期目、高野は10期目の念願の昇級を決めた。