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将棋ソフト4種VS.人間 清水女流王将と10月対戦へ

2010年9月16日

写真渡辺明竜王(左)と将棋ソフトの対戦風景=2007年3月

写真清水市代女流王将

図拡大図・△1五金まで

 清水市代女流王将(41)にコンピューター将棋ソフトが挑む特別対局が10月11日午後1時から東京大学で行われる。2007年に渡辺明竜王(26)が当時の最強ソフト「Bonanza(ボナンザ)」の挑戦を退けてから3年半。パワーアップしたコンピューターを、今度は女流トップが迎え撃つ。

■多数決で指す手決定

 「トッププロ棋士に勝つためのコンピュータ将棋プロジェクト」を推し進める情報処理学会が今春、日本将棋連盟に挑戦状を送った。受けた連盟がプロ代表の先陣に選んだのは、女流棋士の第一人者。コンピューターが勝てば次は男性棋士、負ければアマチュアが相手となる、試金石の一局だ。

 対局場は東京大学本郷キャンパス工学部2号館。清水女流と学会側の操作者がイスに座り、机の上の将棋盤で対戦する。清水女流の指し手を操作者がコンピューターに入力し、画面に提示された候補手に沿って盤上の駒を動かしていく。渡辺―ボナンザ戦で採用された方法だ。持ち時間は各3時間で、なくなれば1手1分未満。持ち時間は対渡辺戦より1時間多い。

 システムの名称は「あから2010」。あから=阿伽羅(あから)は10の224乗の数を表す。将棋で想定される局面の数が、この数字に近いことから名付けられた。

 今回の特徴は「多数決合議法」の採用だ。「ボナンザ」のほか、今年のコンピュータ選手権で優勝した「激指(げきさし)」、昨年優勝の「GPS将棋」、07年優勝の「YSS」という4種の「精鋭ソフト」を使い、各ソフトが挙げる候補手のうち、最も支持の多い手を選ぶ。プロジェクトの中心人物、電気通信大の伊藤毅志助教は「一つが出す悪手を他が打ち消してくれる。好手を見つけるより悪手を減らす効果が大きい」と話す。「ボナンザは形勢判断が正確で、短時間の対局に強い」「激指は狭く深く読むことを追求する」など、ソフトに個性があって、どれが最善手を挙げるか分からないが、どれか単独よりは強いという。

 対渡辺戦のボナンザの実力はアマ六段程度。現在は単独のソフトでもそれより二、三段ほど強くなり、時にトップアマを打ち負かす。今回はコンピューターの圧勝を予測する声もある。

■前例少ないと苦手

 年々強くなる将棋ソフトだが、弱点もあるようだ。

 はボナンザ対渡辺の終盤戦。ボナンザはここで▲2四歩と打ち、以下△2六金▲2三歩成△同金右▲2四歩△2七歩▲2三歩成△3九竜▲2二△同角と進んで、渡辺竜王の勝勢となった。△2二同角の局面は、後手玉が桂を渡さなければ絶対に詰まない形で、先手玉は▲3九銀と竜を取っても△2八金と打ち込まれて受けがない。渡辺竜王は図で▲2七香を恐れていた。以下△2六金▲同香△2七歩▲3八金打△2八歩成▲同馬と進めば、まだ大変だった。

 実は現在のソフトでも▲2七香は発見できない。激指に同じ局面を与えると、ボナンザと同じ▲2四歩を選ぶという。駒得を優先するためか△3九竜の局面を先手優勢と判断する。詰ますのに何手もかかる形では課題が多いようだ。形勢判断にプロの棋譜を参考にしているため、前例の少ない入玉模様が苦手という欠点もある。

 情報処理学会は7月、将棋ソフトと対戦経験がないという清水女流にプログラムの仕組みを説明し、人と対戦した棋譜も提供した。連盟も専門家を招いて対策を清水女流に説明した。

 清水女流は「ファンの方から心配や激励のお手紙をいただき、ありがたい。今はソフトの個性を研究している段階。いろんなことを総合し、作戦を決めようと思います」と言う。

■解説会やネット中継

 対局は非公開だが、女流棋士会ファンクラブ「駒桜」による解説会が対局場のそばで開かれる。解説は佐藤康光九段、藤井猛九段、里見香奈女流二冠ら。入場料千円(駒桜会員は無料)。先着500人。会員向けに駒桜ホームページ(http://komazakura.shogi.or.jp/)のインターネット中継もある。問い合わせは将棋連盟(電話03・3408・6169)へ。(村上耕司)

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