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コンピュータ将棋、進化 世界選手権、判断力・戦術光る

2011年5月17日

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写真:戦況を見守る「ボンクラーズ」開発者の伊藤英紀さん(手前中央)=東京都新宿区の早稲田大学拡大戦況を見守る「ボンクラーズ」開発者の伊藤英紀さん(手前中央)=東京都新宿区の早稲田大学

表:世界コンピュータ将棋選手権 決勝の結果拡大世界コンピュータ将棋選手権 決勝の結果

図:A図・△5二金まで拡大A図・△5二金まで

図:B図・▲5六銀まで拡大B図・▲5六銀まで

 将棋ソフトの強さを競う第21回世界コンピュータ将棋選手権が3〜5日、東京都新宿区の早稲田大学で開かれ、「ボンクラーズ」が初優勝した。上位陣の実力差は小さく、まさに戦国時代。判断能力や戦術の多彩さの面で、進化している。

■優勝は会社員開発ソフト

 大会はコンピュータ将棋協会が主催した。37チームの将棋ソフトが参加。1次、2次予選を勝ち抜いた5チームに、シードの3チームを加えた計8チームが、総当たりで決勝を争った。

 将棋ソフトは昨年、当時の清水市代女流王将を破り、あらためて注目を集めた。そのシステム「あから2010」を構成した四つの強豪ソフトも、今大会に出場した。

 4年前に渡辺明竜王と対戦した「Bonanza(ボナンザ)」は、1秒に3700万手も読め、攻守にバランスのとれた棋風。「激指(げきさし)」は、より人間に近い読み方を追い求める。寄せや受けの正確さに定評があるのが「GPS将棋」。「YSS」も受けに力を出す。いずれも優勝経験をもつ。

 だが、頂点に立ったのは、その4者ではなかった。

 優勝のボンクラーズは、東京都の会社員、伊藤英紀さんが開発した。昨年の4位が最高。今大会は2次予選から登場し、24チーム中2位(8勝1敗)で通過した。

 決勝は、初戦で激指に敗れたが、2次予選で唯一敗れたボナンザに雪辱するなど、その後3連勝。続く相手は決勝シードの一角、習甦(しゅうそ)だった。

 A図は中盤で、習甦の▲4三歩の垂らしに、ボンクラーズが△5二金と上がったところ。美濃囲いを自ら崩してもきっちり受け、厚みを生かしていくのが得策という判断で、思い切った手だ。以降は、自陣に竜を作るなど、相手の手に乗って少しずつ差を広げ、習甦を166手までで破った。7戦を終え、ボナンザとともに5勝2敗で並んだが、「負かした相手の勝ち星の合計が多い者を上位とする」規定にもとづき、ボンクラーズが混戦を制した。

 人を食ったようなソフト名は、「ボナンザ」と、ブドウなどの「房」を意味する「クラスター」から合成された。「粒」であるコンピューターをいくつも結び、「房」として全体の処理速度を高める。ボナンザが採るシステムを改良した。ただ、読めるのは1秒あたり430万手でボナンザより少ない。中盤以降、とりわけ寄せの鋭さが特色という。伊藤さんは「期待はしていたが、実際に優勝できるとは。クラスターは確立された技術ではないので、今後も磨いていきたい」と喜んだ。

 個性的な戦術も目についた。たとえば、「ponanza(ポナンザ)」と激指の対戦。B図から、ポナンザは飛車を5二の地点との間で20回余り往復させ、千日手に持ち込んだ。

 解説の勝又清和六段は、「プロの棋譜に頼りきらず、独創的な将棋を指そうとしていた。課題も来年には改良されるだろう。もしかしたらコンピューターが(プロも指す)新手を生み出すかもしれない」と語った。

 一方で、阿部健治郎四段は「中盤から終盤の境目にムラがある。序盤にも改良の余地があると思う」と指摘した。(新谷祐一)

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