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一瀬選手、格別の頂点 朝日アマ将棋名人戦で初V

2011年5月31日

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写真:決勝の対局を振り返る優勝者の一瀬浩司さん(左)と下平雅之さん=5月29日、東京都港区、小川智撮影拡大決勝の対局を振り返る優勝者の一瀬浩司さん(左)と下平雅之さん=5月29日、東京都港区、小川智撮影

図:途中図・△5七桂まで拡大途中図・△5七桂まで

図:第34回朝日アマ将棋名人戦全国大会の結果拡大第34回朝日アマ将棋名人戦全国大会の結果

 プロに近い実力者が、終わってみれば順当に制した。東京都港区で5月28、29日にあった第34回朝日アマチュア将棋名人戦全国大会(朝日新聞社主催、日本将棋連盟後援、日本アマチュア将棋連盟協力)は、元奨励会三段の一瀬浩司(いちのせ・こうじ)選手(30)が初出場で優勝をおさめ、幕を閉じた。

■「プロと指したい」原動力に

 決勝の後、一瀬選手が何度かつぶやいた。「ベスト8に入れて、ほっとしている」

 2勝した時点で、7月からの第5回朝日杯将棋オープン戦でプロと対戦することが確定。そのプロという存在に、格別の思いがある。

 かつて奨励会に在籍し、プロに最も近いとされる三段リーグ次点にもなった。だが年齢の壁で3年前に退会。千葉県に住んでフリーライターとして将棋とかかわり続け、「プロと指したい」という一念で南関東ブロック代表として大会に臨んだ。

 決勝は、北部九州ブロック代表で元赤旗名人の下平(しもだいら)雅之選手(39)が相手。その得意戦法の振り飛車に、一瀬選手は居飛車穴熊で挑んだ。後手の下平選手が3筋で仕掛け、飛車交換から互いが敵陣に竜を作る展開に。下平選手は△5七桂(途中図)と打ち込んだが、▲2二歩成△4二金▲6八金寄と進み、「それからは負け」(下平選手)。あとは先手が相手の玉頭へ攻めかかり、押し切った。「気がついたら良かった」と一瀬選手。後手は9筋の歩が手つかずなのも響いた。

 一瀬選手はくしくも、決勝を含む全5局が先手。矢倉に横歩取り、角換わりと、居飛車を主体に相手へ合わせつつ、自然な手を重ねた。

 ふだんはネット対局で腕を磨くが、「人が相手じゃないとやる気が出ない」。清水上(しみずがみ)徹・朝日アマ名人(31)との三番勝負(6月18、19日)は絶好の舞台だ。「2連勝したい」と不敵に語った。

 3位は15年前の優勝者、林隆弘選手(34)、4位は立命館大3年の横山大樹選手(21)。アマ強豪や若手も存分に力をみせ、中身が濃かった。

 最年少の高知県立中村中学3年、中脇隆志選手(14)は初戦で林選手と対決。相振り飛車から金無双に組み、果敢に攻めたが、最後はしのがれた。「林さんは本当に強かった。いい勉強になりました」

 東日本大震災の影響で仕切り直しとなった異例の大会で、被災地からは宮城県の浅野大輔選手(19)が出場。1回戦で敗れたが、「鍛え直したい」と前向きに語った。

 その浅野選手を破ったのが、最年長の藤原雄三選手(73)。2回戦では、玉頭を盛り上げる穴熊に構えたが、ミスが出て負けた。「どれだけ通用するか楽しみじゃったが、そこそこ自分の将棋が指せた」と笑顔で去った。

 戦術の流行から距離を置き、自分の将棋を心から楽しむ。そんな姿を最年少と最年長が見せ、まぶしかった。(新谷祐一)

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