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2012年5月8日15時23分
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1秒に2億手読んでV コンピュータ将棋選手権

写真:対局の進行は会場のパソコン画面とスクリーンに映し出された=東京都調布市拡大対局の進行は会場のパソコン画面とスクリーンに映し出された=東京都調布市

表:第22回世界コンピュータ将棋選手権決勝拡大第22回世界コンピュータ将棋選手権決勝

■東大院チームの「GPS」

 第22回世界コンピュータ将棋選手権が3〜5日、東京都調布市の電気通信大学で開かれ、GPS将棋が2度目の優勝を果たした。上位5チームが、来年予定されている「第2回電王戦」でプロ棋士5人と対局することも決まった。

 将棋プログラムの強さはプロのレベルに達しつつある。1月には、元名人の米長邦雄・日本将棋連盟会長が、昨年の同選手権で優勝したボンクラーズに敗れた。現役棋士は、将棋プログラムと対戦する機会がほとんどなく、電王戦の出場権がかかる今大会に注目が集まった。

 参加したのは42チーム。1次予選を勝ち抜いた8チームとシードの16チームで2次予選を戦い、その上位8チームで決勝のリーグ戦を行った。

 2次予選では、優勝経験のあるGPS、「Puella α」(プエラアルファ、ボンクラーズから改名)などが決勝進出を決めたが、第16回大会優勝のBonanza(ボナンザ)が敗退する波乱が起きた。他のプログラムにも影響を与えてきたボナンザの開発者、保木邦仁電通大特任助教は「決勝には進みたかったが、他のプログラムが強かった」と振り返った。

 決勝はGPSが5連勝して首位を快走。プエラとの6局目も必勝態勢を築いたが、入玉を許して逆転負け。だが、最終戦ponanza(ポナンザ)に勝って優勝を決めた。

 GPSは、東京大学大学院総合文化研究科の教員と学生らが開発した。会場だけでなく、同大のキャンパスに設置した800台近いパソコンと接続することで、1秒間に約2億8千万手を読むことができる。

 個々の局面の状況を認識する際は、「玉の横がふさがっているか」「飛車と角と銀の連係がとれているか」などの項目を採り入れて形勢を判断している。さらに、それらを重要視する度合いを序盤、中盤1、中盤2、終盤の四つの状況でそれぞれ変えている点も特徴だ。

 開発者の1人、金子知適(ともゆき)准教授は「他のプログラムとも実力は近く、勝った将棋にも課題があった。勝敗はともかく、プロと対戦することで何か新しい発見があれば」と話した。

 大会後の表彰式では、会場を訪れていた米長会長が電王戦の出場チームの決定を発表した。棋士側は、船江恒平五段の出場が決まっているが、それ以外のメンバーは後日発表される。

 同選手権の解説役を務めた勝又清和六段は「強いプログラムが多くて、びっくりする手がたくさんあった。電王戦に出る棋士は、コンピューターとの戦い方を精神面でも技術面でも研究する必要がある」と話した。(村瀬信也)

■プログラムの個性 勝敗を左右

 将棋のプログラムは膨大な数の局面を点数化して、より高い点数の局面に進むように指し手を選んでいく。点数をつける際の基準は「駒の損得」「駒の働き」「玉の危険度」など様々。どの項目を重視するかは開発者によって異なるため、プログラムによって個性の違いが如実に表れる。

 例えば2位になったプエラは、玉が敵陣に潜り込む「入玉」を試みることが目立った。だが、決勝で負けた2局は、無理な入玉狙いがあだとなってしまった。

 開発者の伊藤英紀さんは、「人間を相手にした時のことを想定して、入玉をした側が有利だと判断する設定にしたのが裏目に出た。今後も改良を加えたい」と話した。

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