現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. エンタメ
  3. 将棋
  4. トピックス
  5. 記事
2012年8月28日15時39分
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

詰将棋の深さ味わおう

図:出題図。ここから▲1三桂成△同玉▲2二竜△同玉▲3一角△1二玉で途中図拡大出題図。ここから▲1三桂成△同玉▲2二竜△同玉▲3一角△1二玉で途中図

図:途中図。以下▲1三角成△同桂▲3二竜△2二香▲2一銀で詰め上がり図となる拡大途中図。以下▲1三角成△同桂▲3二竜△2二香▲2一銀で詰め上がり図となる

図:詰め上がり図拡大詰め上がり図

写真:出題した飯島栄治七段出題した飯島栄治七段

 紙面の囲碁将棋ページでは毎週詰将棋を出題しています。「私の考えた手順も正解か?」などと、読者の方からよく質問をいただきます。最近の出題と質問を題材に、どう味わったらいいのか考えてみます。普段は指し将棋専門の方も、時には奥深い詰将棋の世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。

■「一間竜」ひらめくと早い

 詰将棋は、基本的には正解手順が1通りになるように作られている。「この手順以外は詰まない」という厳密さは、美しささえ感じさせる。別の攻め方で詰む場合は「余詰(よづめ)」と言い、不完全な作品。ただ、玉方(ぎょくかた=守る側)の応手によっては、正解手順が複数存在することもある。

 7月10日の紙面に掲載した作品を見てみよう。

 正解は初手▲1三桂成と、何も利いてない空間にタダで捨てる手。玉方が△同銀なら▲2三竜寄、△同桂なら▲2一角△同玉▲3二竜△1二玉▲2三竜上で詰む。攻め方が玉方の弱点である2三の地点を狙う手段が状況次第で変わるのが面白いが、前者は3手詰め、後者は7手詰めとなって正解(11手詰め)より手数が短く、「玉方は最長手順に」に反するので不正解。

 結局▲1三桂成には△同玉と取るしかない。そうしてから▲2二竜と銀を取る手が好手。△同角なら▲1四銀から▲2三銀成とやはり2三を攻めて詰むので、△同玉に▲3一角△1二玉と進む。

 出題後、読者から「いきなり初手▲2二竜でも詰むのではないか」という質問が寄せられた。もしそうなら余詰だ。しかしこれは△2二同角で詰まない。続いて▲1三桂成としても△1三同角とされて手が続かない。これに対し正解手順は、玉を1三に呼んで△2二同角とできなくしているのがミソだ。

 途中図からは▲1三角成と打ったばかりの角を再び空間に捨てるのが鮮やかな手。△同桂▲3二竜で終わりが見えてくる。玉と竜が一ます間において近づいた「一間竜(いっけんりゅう)」と呼ばれるこの形は詰みの基本。逆に、この形に持ち込めそう、とひらめけば早く解ける。

 △同桂で△同玉は▲1四銀△2二玉▲2三銀成で詰むが、攻め方の歩を余らせるので正しい逃げ方ではない。▲3二竜には△2二香と合駒をするが、▲2一銀まで11手詰めとなる。10手目は他の合駒でも正解だ。

 作者の飯島栄治七段は「攻撃力が強いが、意外と簡単には詰まないのでは。駒が少なくて、解きたくなるような配置の作品になったと思う」と話している。

■主なルール

・攻め方は王手の連続で、最短で詰む手順を選ぶ。

・玉方(守る側)はなるべく最長手順になるように、攻め方の持ち駒を使い切らせるように応じる。

・玉方は無駄な合駒をしてはいけない。

     ◇

■作品集で実戦力磨く

 詰将棋は、指し将棋派にとっても身近なトレーニングの一つ。実戦に役立つ詰将棋の本をいくつか紹介したい。

 手数が短いものでは、「脳トレ5手詰」(北浜健介七段著、マイナビ、1260円)や「新版 5手詰めハンドブック」(浦野真彦七段著、浅川書房、1260円)がお勧めだ。詰将棋の名手として知られるプロの作品だけに解きごたえがある。初心者の方には1手詰めから7手詰めまでの768問を収録した「ひと目の詰み筋 初級編」(渡辺明竜王監修、マイナビ、1050円)。上級者でも、例えば1問10秒とか1冊1時間とか、時間を決めて解くといい練習になる。

 飯島七段は「実戦に役立てるなら、11〜15手ぐらいの詰将棋をたくさん解くといいでしょう」と話す。

 さらに難問に挑戦するなら、谷川浩司九段の「月下推敲(すいこう)」(マイナビ、2100円)はいかがだろうか。実戦型から長手順の趣向作まで100題。昨年出版され、「永世名人による作品集は200年ぶり」と話題になった。最近では内藤國雄九段の「新装版 図式百番」(マイナビ、2310円)。「攻め方実戦初形」など驚くべき作品が収められている。

 最後に忘れてはいけないのが、通巻677号に達した月刊の「詰将棋パラダイス」(650円)。毎月、短手数から数十手まで、時には数百手の作品が、全部で約70〜80題。詰将棋作家のエッセーや変則詰将棋なども載っている。(村瀬信也)

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介

将棋の本

第70期将棋名人戦七番勝負全記録(朝日新聞出版)

返り咲きを狙った羽生善治十九世名人を森内俊之十八世名人が破ったシリーズを観戦記で振り返る。決着後の両者へのインタビューも収録。

変わりゆく現代将棋 上巻(羽生善治著/毎日コミュニケーションズ)

七冠制覇を成し遂げた羽生が「将棋世界」誌上で連載した矢倉の壮大な研究。当時20代の羽生が将棋の真理に挑んだ渾身作。

powered by amazon

名人400年記念切手特製シート

将棋界最高峰「名人」の誕生から400年。大山、升田、谷川など、名勝負を繰り広げてきた歴代名人の写真が記念切手になった。