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2012年10月2日19時56分
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30カ国140人、複雑さと格闘 チェス版「詰将棋」、神戸で世界大会

写真:チェスプロブレムにとりくむ各国の参加者たち=9月17日、神戸市拡大チェスプロブレムにとりくむ各国の参加者たち=9月17日、神戸市

 詰将棋のチェス版であるチェスプロブレムの世界大会が、9月15日から22日まで神戸市で開かれた。約30カ国から集まった約140人の愛好家らが、問題の早解き競争などに参加した。将棋や詰将棋に関するイベントも開かれ、国境を越えて交流が深められた。

 プロブレムの世界大会の歴史は古い。1956年にハンガリーで第1回大会が開かれ、今年で55回目となる。アジアでは初めての開催だ。国際チェスプロブレム連盟が主催している。

 プロブレムは詰将棋と同様、相手のキングを詰ますのが目的だ。ただ、王手を連続させなくてもよい点が大きく違う。唯一絶対の手順であることが重視され、詰将棋に多い華麗な捨て駒はそれほど評価の対象にならない。

 また、双方が協力して相手のキングを詰める「協力詰」のように、実戦には役立たないルールの問題も多い。詰将棋は将棋の上達法の一つと考えられているが、プロブレムは実戦とは別物として捉えられている。プロブレムは一手一手の論理性が際だつのに対し、詰将棋は、手の流れのドラマ性を楽しむ情緒的な側面も目立つという。

 プロブレムも詰将棋も、創作と解答の二つの楽しみ方がある。ギリシャ人のハリー・フージアキシス同連盟会長(46)は「創作は盤上にアイデアを表現するという点で作曲と似ている。解答はそのアイデアを見つけるところに喜びがある」と説明する。「同じパズルでも数独より複雑で面白い」と話す参加者もいた。

 大会の目玉は、制限時間内でプロブレムを早く正確に解く早解き競争だ。参加者は2日間、合計7時間で18問に挑んだ。個人戦で1位と3位を占めたポーランドが団体戦でも優勝。15チーム中2位はドイツ、3位はロシア。日本チームは12位と15位だった。

 今大会の実行委員長を務める若島正・京都大教授(60)は詰将棋作家として有名で、約20年前にプロブレムの解答や創作を始めた。これまでに度々世界大会に出場し、10年ほど前から日本での開催を考えてきたという。「将棋もチェスも、実戦だと思った通りに相手が動かないが、詰将棋やプロブレムは自分の思った通りの構想が実現できる。それも魅力だと思う」と話す。

 ただ、実戦と結びつかないこともあり、プロブレムの愛好者はそれほど多くない。プロブレムを扱った雑誌は各国で出版されているが、いずれも読者は数百人規模という。ルールや作品のテーマの複雑さゆえの奥深さがある一方、初心者にとってはとっつきにくい面があるようだ。

■将棋・チェスの同時対局も

 今大会では、詰将棋や将棋、どうぶつしょうぎについての講義など日本開催ならではのイベントも開かれた。

 その中でも最も注目を浴びたのが、17日の羽生善治二冠(42)とフランス人のマキシム・バシェラグラーブさん(21)の将棋・チェス同時対局だ。将棋とチェスの「友好対局」として企画された。

 マキシムさんは仏チャンピオンだが、将棋は昨年覚えたばかり。羽生二冠のチェスのレーティングは日本人1位だ。持ち時間は各1時間で、使い切ると1手1分の秒読みとなる。机上には将棋盤とチェス盤が並び、両方の着手が完了したところで対局時計のボタンを押す。羽生二冠はチェスは先手、将棋は飛車なしのハンディで戦う「飛車落ち」だ。会場ではプロブレムの愛好家だけでなく、一般の将棋ファンらも見守った。

 まず将棋は羽生勝ち。一方チェスは、双方の駒がキングとポーン4個ずつになって終盤に入ったが、マキシムさんの読みが上回り勝った。

 終局後、羽生二冠は「片方で駒が使えるのに、もう片方で使えないのは違和感があった。ただ、頭の中を切り替える面白さもあった」、マキシムさんは「思ったより混乱しなかった。将棋での考え方をチェスに、チェスの考え方を将棋に持ち込むと良いのではないか」と話した。(村瀬信也)

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