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2012年11月6日15時39分
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将棋に商機あり?!収益化モデル ネットで反響

写真:企業関係者が集まったリコーの子会社主催のセミナー。羽生善治三冠が講演した=昨年9月、東京都拡大企業関係者が集まったリコーの子会社主催のセミナー。羽生善治三冠が講演した=昨年9月、東京都

 【村瀬信也】将棋のルールを知っている人は多い。最近は、実際に指さなくてもプロの将棋を楽しむ人の存在がクローズアップされ、「見る将棋ファン」という言葉も定着してきた。そんな中で、「ビジネスとしての将棋」の可能性に着目する動きが出てきている。

 「将棋人口は1200万人とも言われている。経済的なポテンシャルは大きい」

 自身もアマ四段の経済評論家山崎元さんはそう話す。山崎さんは10月中旬、インターネット上で「頭脳の格闘技『将棋』をビジネスとして考える」と題する論考を発表。将棋を巡る様々なビジネスモデルを提言。ツイッターなどで反響を呼んだ。

 日本将棋連盟の昨年度の経常収益は約27億1千万円。今年度の予算では同じ項目が微減している。山崎さんは「成長の止まった中小企業のようだ。全国的に有名なゲームをコンテンツとして擁するのだから、もっと多くても良いのではないか」と主張する。「囲碁の日本棋院は約38億円。将棋連盟はビジネスが下手なのでは」

 山崎さんは、いまは原則非公開のプロ同士の対局を集客力のある見せ方に仕立ててはどうかと提案する。例えば、実際の対局の映像を短時間でも楽しめるように編集して公開し、多くの観戦者を集める方法だ。タイトル戦をじっくり味わいたいファン向けには、プレミアム料金の観戦メニューを新設し、プロ棋士たちの検討に参加できるなどの特典を用意する案も。

 また、プロレベルの強さに達したコンピューターは様々に活用できるとも指摘。「棋士の棋風がチューニングされたプログラム同士を戦わせると面白いのでは。そういったプログラムを将棋の指導に取り入れることも考えられる」

 将棋連盟はどう考えるのか。連盟が近年立ち上げたサービスとしては、女流棋士のファンクラブ「駒桜」などが挙げられる。しかし、収益構造に大きく影響を与えるような新事業はない。

 山崎さんと7日にニコニコ生放送で対談する同連盟常務理事の田中寅彦九段は「アドバイスはありがたい」としつつ、新ビジネスには慎重だ。「一番大事なのは将棋という文化を後世に伝えること。公益社団法人なので収益を上げて会員に分配する取り組みは難しい」と話す。

■企業、棋戦創設やセミナー

 将棋に対する企業の関わり方は、棋戦の主催や協賛が一般的だ。スポンサーはメディアを持つ新聞社などが多い。だが、新たな狙いで棋戦に関わる企業も出てきた。

 リコーは昨年、新たなタイトル戦「女流王座戦」を立ち上げた。優勝賞金は500万円と女流棋戦では最高額だ。同社はラグビーチームを運営し、プロゴルフ大会のスポンサー。スポーツだけでなく新たに文化的な取り組みを検討した結果、浮かび上がったのが将棋だった。

 金子豊広報室長は「“想像力の結集で、変革を生み出す”という企業理念と、知的なイメージがある将棋がフィットした。将棋を支えることで企業としてのブランド価値が高まると考えた」と話す。

 新規顧客の開拓につなげる狙いもある。同社の子会社は昨年、企業トップを対象としたセミナーを3都市で開催。東京の講演では羽生善治三冠が自らの思考プロセスについて話し、好評だったという。

 将棋という新たな切り口を示すことで、取引の少ない企業からも出席。一部の参加者は女流王座戦の解説会や就位式に招いた。棋戦を立ち上げる中心になった同社の馬上(もうえ)勇人さんは「セミナーをやってみて、将棋に興味がある人が思ったより多くいると気づいた。将棋をきっかけに交流が深まれば」と話す。馬上さんは、学生の全国大会の優勝経験を持つ強豪でもある。

 大和証券は将棋の名人戦に協賛し、ネット棋戦のスポンサーでもある。大槻竜児宣伝課長は「将棋や囲碁のファンは年齢層が高く、メーンの客層と合致する。日本の伝統文化を応援することで企業価値も高まる」。顧客には、株式取引に応じてつくポイントがたまると、名人の指導対局が受けられるサービスなどをしている。

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