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冬休みアニメぜんぶ見た

2007年12月17日

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写真「ルイスと未来泥棒」写真「えいがでとーじょー!たまごっち ドキドキ!うちゅーのまいごっち!?」写真「空の境界 第一章 俯瞰風景」写真「劇場版BLEACH ザ・ダイヤモンドダスト・リベリオン もう一つの氷輪丸」写真「ペルセポリス」写真「シナモン ザ・ムービー」写真「ねずみ物語 ジョージとジェラルドの冒険」

 この冬休みに劇場で公開されるアニメ映画は9本。ダラダラ紹介するのも芸がないので、勝手に組分けしてみます。

 まずは「声優って大事だな」組が2本。

 57年のロシアアニメの名作「雪の女王」が、これまで日本で上映機会がほとんどなかったロシア語のオリジナル音声で公開されています。セリフの響きは音楽のように美しく、画面にマッチする格調の高さ。だが岡本茉莉さん、太田淑子さんの「タイムボカン」コンビによる吹替版で長く親しんできたせいか、正直なところ〈原語+字幕〉版は「よそ行き」過ぎて情感が薄い感じがします。特にクライマックス、身を挺して雪の女王から大好きなカイを守ろうとする主人公ゲルダの決死のセリフ。感情のツボが微妙に外れ、もどかしさを味わいました。

 「ザ・シンプソンズ MOVIE」は本コラム(11月15日付)でも触れた通り、テレビ版の声優を起用しなかったことがファンの反発を呼びました。慣れ親しんだ声優の声は強い力を持つんだなあと、この2作で再認識しました。

 次は「アレに似てる」組が3本。

 ソニー・ピクチャーズの「サーフズ・アップ」は本コラム(12月10日付)でも取り上げたペンギンがサーフィンをするCGアニメ。どうしたことか筋立てがピクサーのCGアニメ「カーズ」にそっくりです。

 ディズニーの新作「ルイスと未来泥棒」は、発明少年が未来へタイムトリップするCGアニメ。テーマパークのようなピッカピカの未来世界と並んで見ものなのが、悪役の「未来泥棒」です。ピンと反り返ったヒゲにカギ鼻、目つきが悪く、情けないほどドジ。「チキチキマシン猛レース」のブラック魔王そっくりで笑えます。

 「えいがでとーじょー!たまごっち ドキドキ!うちゅーのまいごっち!?」は、大ヒットゲーム「たまごっち」を基に、たまごっちたちの暮らす星に迷い込んだ女の子の冒険を描くかわいいファンタジーです。見た目が「ポケモン」のアニメにそっくり!――というのは当然で、制作プロダクションもキャラクターデザイナーも同じだから。弟妹が生まれるときの不安やさびしさに焦点を当てたドラマは、丁寧な作りで好感が持てます。

 そして「原作ファンじゃないと敷居が高そう」組が2本。

 「空の境界 第一章 俯瞰風景」は、奈須きのこさんの人気小説を7部作という異例の形で映画化する第1弾。連続投身自殺の謎を解くホラーアクションですが、登場人物の関係や背景の説明を省き、思弁的なセリフの突出といった原作の取っつきにくさまで忠実になぞるところが潔いです。瞳や髪のニュアンスに気をつかった作画、まがまがしい雰囲気を醸し出す重厚な背景は見事ですが、時々レイアウトが崩れるのが残念。

 「劇場版BLEACH ザ・ダイヤモンドダスト・リベリオン もう一つの氷輪丸」も、原作とテレビアニメで展開している複雑な設定や多数のキャラクターの人間関係を前提に、物語が進みます。巨大モンスター相手に刀で戦う派手なアクションが見せ場ですが、「裏切り者」となる冬獅郎と主人公・一護のドラマをもっと濃密に描いてもよかったのではないでしょうか。

 最後は「期待以上に良くて驚いた」組が2本。

 「ペルセポリス」は、イラン出身でパリを拠点に活躍する女性マンガ家マルジャン・サトラピさんが、自ら監督を務め自伝的作品を映画化。自立心旺盛な少女の反抗と挫折、苦い恋と成長が描かれます。モノクロの画面はとても地味な印象ですが、淡々とした描写の積み重ねがジワジワと心にしみ入って感情移入を誘い、やがてシンプルなキャラクターの表情からリアルな人生の重みまで感じ取れるようになります。絵柄がちょっと「ナニワ金融道」で、「シンプソンズ」そっくりのシニカルな表情を見せる場面もあり、「アレに似てる」組でもあります。

 サンリオ製作の「ねずみ物語 ジョージとジェラルドの冒険」は、仲間思いのジョージと自信家のジェラルドの2匹が群れのリーダーの座を争う冒険と友情の物語。併映は「シナモン ザ・ムービー」で、こちらはサンリオの人気キャラクターのシナモンたちが、森の家で楽しくお菓子を作ったり、パン生地のオバケに襲われたりします。タイトルが地味なので「ねずみ物語」の方が添え物かと思ったら、実はメインディッシュ。写実絵画タッチの背景がクラシカルな名作風の雰囲気を醸し出していい感じです。ねずみアニメ(?)の金字塔「ガンバの冒険」の声優が3人登場するのが、古手のファンにとってのお楽しみポイント。ガンバの敵ノロイに似たイタチまでゲスト出演するサービスっぷりで、これは「声優って大事だな」組でもあり「アレに似てる」組でもあり?

 長くなりましたが追記。「BLEACH」のエンドタイトルの最後に、同作のテレビアニメ版も手がけていたアニメーターで演出家の高橋資祐さんを追悼する画面が出ます。先月ご病気でお亡くなりになったとのこと。私がお名前を意識するようになったのは「うる星やつら」。竜之介初登場の回が好きでした。合掌。

プロフィール

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小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。08年4月から編集局編集センター員。

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