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綾波レイ掲載自粛は正しかったか?

2008年1月7日

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写真「三鷹の森ジブリ美術館」屋上のロボット兵を撮影。光の加減が気に入っているショットです写真ベネチア映画祭でのインタビュー後に撮影させてもらったアル・パチーノさん写真出演作「ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記」が公開中のダイアン・クルーガーさん。窓からの自然光を利用し繊細な陰影を狙いました写真「綾波レイ」撮影風景。息子に撮ってもらいました写真自在なポーズと自然なシルエットは、写真特集でお楽しみ下さい(C)GAINAX・カラー写真果たして、判断は正しかったのであろうか…

 私が担当するアサヒ・コム「コミミ口コミ」欄には写真特集というコーナーがあります。記事と連動し、写真をたっぷり楽しんでもらおうというもので、私もこれまで、ミュージカル「テニスの王子様」キャスト会見とか、東京・六本木の「ウルトラマン大博覧会」とか、「ジブリ美術館のクリスマス」などをパシャパシャ撮って写真特集にしました。

 新聞記者になると、まず地方勤務で記事も書き写真も撮り、おまけに現像・焼き付けまで自分でする(私の時代はフィルムでしたから)のですが、初めて手にしたゴツい一眼レフで事件だ町ダネだ高校野球だとあたふた撮りまくっているうちに、写真が好きになりました。本社で映画担当になり有名俳優や監督のインタビューをするようになっても、カメラマンに頼むより自分で撮った方が楽しいので、話をひと通り聴いた後「それでは写真を撮らせていただきます」とカメラを構えてパチリパチリ。ファインダー越しにダイアン・クルーガーさんや黒木メイサさんの美しさにうっとりしたり、ベネチア映画祭で「写真不可」のはずのアル・パチーノさんにダメもとで「撮らせて」と頼んだらOKをいただいたり、来日したアーノルド・シュワルツェネッガーさんに「シャッターを押すのは3回だけ」という条件を付けられたり、とまあいろいろなことがありました。

 そんなわけで、写真が好きな私にとってこの「写真特集」もまた楽しいもの。先月は、海洋堂の新型アクションフィギュア「綾波レイ」に様々なポーズをとらせて「激写」するという企画を提案、商品を送ってもらい自宅にて撮影を行いました。仕事から帰宅し、フロも夕飯も後回しにして、このために買ったコクヨ製の「デジカメスタジオ」を床にセット、電気スタンドを横に置き、綾波レイの腕や脚をこねくり回して撮りまくる――「妻子のある40男がやることであろうか?」という疑問が頭をかすめますが、いえいえ、これも仕事ですから。

 寝っ転がってパシャパシャ、ポーズを替えてまたパシャパシャ。かたわらでは息子が興味津々――「父の働く姿として6歳の息子に見せるのがコレ、というのはいかがなものであろうか?」という疑念が頭をよぎりますが、いやいや、これが仕事ですから。

 何をやらんとしてるか飲み込めた息子は、プラレールの江ノ電とコンパクトデジカメを持ってきて、撮影に割り込みます。「撮れたよ」と差し出すディスプレイをのぞくと、ちゃんと青一色の背景でキレイに江ノ電が写っています。「うまい、うまい」(親バカ)。

 そんなこんなで撮影は終了。海洋堂から提供された「遠坂凛」の写真と合わせ、写真特集「新型フィギュア 綾波レイ&遠坂凛」は無事アップされました。

 しかし、自室での「撮影会」で撮ったものの「うっ、これはちょっと…」と臆してしまったカットがあるのです。腕や脚を限界まで曲げるとポロッと外れてしまうのですが、関節がどんな形状になっているかを見せるために「外れたまま」の姿を撮ったところ、コレが何だか微妙な空気を醸し出していて…。以前取材した「球体関節人形展」で、手足をもがれた人形が放っていた妖しいエロスを思い出させます。

 結局、掲載を自粛。しかし社内で「関節はこうです、という写真として載せようかと思ったけど、余りにアレな感じがしてやめました」と話したところ、同僚のU君が「それは小原さんが、人形に人形以上のものを感じているからじゃないですか」。

 ただの「手足を取った状態の人形」として特に「何か」を感じることなく載せてしまうか、「何か」を感じてしまって自粛するか。ノーマルなのは、果たしてどっちなのでしょう?

プロフィール

写真

小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。08年4月から編集局編集センター員。

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