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母をたずねて宅急便 じゃりン子チエの神隠し

2008年3月10日

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写真高畑勲監督(左)と宮崎駿監督写真DVD「太陽の王子ホルスの大冒険」(東映ビデオ)写真DVD「未来少年コナン 30周年メモリアルボックス」(バンダイビジュアル)写真DVD「母をたずねて三千里」13巻(バンダイビジュアル)写真DVD「アルプスの少女ハイジ 35周年メモリアルボックス」(バンダイビジュアル)写真DVD「千と千尋の神隠し」(ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント)写真「じゃりン子チエ」DVD−BOX1(デジタルサイト) 

 宮崎駿監督の4年ぶりの新作「崖の上のポニョ」が、8月に公開されます。子どもの頃から宮崎アニメのファンだった私は、大学を卒業する時、卒論なみの原稿用紙300枚に及ぶ宮崎駿論を同人誌に発表しました。中身は、雑想、回想、妄想、随想ごったまぜの大棚ざらえ。全部吐き出し「さあこれでアニメは卒業かぁ」と新聞社に入ったのですが、あーら不思議、こうして今もアニメのことを書いています。

 今回のネタもそうした雑想(妄想?)の一つ。宮崎アニメと、高畑勲監督作品との不思議な符合のことです。

 「魔女の宅急便」(89年)が、「母をたずねて三千里」(76年)に似ていると気づいたのが始まりです。宮崎監督は、高畑監督の「太陽の王子ホルスの大冒険」(68年)、「アルプスの少女ハイジ」(74年)、「三千里」、「赤毛のアン」(79年)などに作画の中心スタッフとして参加していました。その中で、「ホルス」が色濃く宮崎アニメに影響を与えていることはかねてからよく指摘されています。例えば、「ホルス」で描かれた、重い運命を背負い葛藤を抱えたヒロイン像は、宮崎監督の「未来少年コナン」(78年)、「ルパン三世 カリオストロの城」(79年)、「風の谷のナウシカ」(84年)、「天空の城ラピュタ」(86年)、「もののけ姫」(97年)にも見て取れます。

 しかし気づけば、「ホルス」以外にもいろいろ符合するじゃあないか、というところが面白いです。「魔女宅」の主人公キキと「三千里」のマルコは、共に子どもで、小動物を連れ、ほおに赤い斑があり、鞄を斜めにかけ、一人旅をし、知らない町で苦労し、大人たちに交じって働きます。港町の風景、飛行船が登場するところも共通します。

 「となりのトトロ」(88年)と「ハイジ」は、豊かな自然、元気な女の子、日常生活の喜び、といった要素が似ています。宮崎監督が脚本と絵コンテを手がけた「耳をすませば」(95年、監督は故近藤喜文さん)は、感受性豊かな思春期の少女の恋と成長という点で「赤毛のアン」に通じます。自分をからかった「イヤな男の子」と後になって…という展開も共通。「耳すま」の主人公・雫には、外見がアンによく似た夕子という親友がいます。近藤監督は「アン」のキャラクターデザインと作画監督を務めた人でした。

 「千と千尋の神隠し」(01年)は、何回か見た後でアッと気づきましたが、高畑監督の「じゃりン子チエ」(81年)です。髪の毛をゴムで縛ったあんまり可愛くない女の子が、子どもが働くのはどうかと思える店で、頼りない親のために汗水流して苦労するのです。千尋の父と母は、外見がチエの父母に似ています。湯婆婆とチエのおバァはんも、同じような髪型で、おっかないところがそっくりです。

 さて、魚の女の子が人間の男の子に恋をするという「ポニョ」も、何かに似ているのでしょうか? もしかしたら?と思い当たる作品が一つあります。高畑作品ではありませんが、高校生だった宮崎監督が感動し、アニメを志すきっかけになった「白蛇伝」(58年)。白蛇の精が人間の青年に一途な愛を捧げる物語です。この雑想(妄想?)が当たっているか外れているか、8月が楽しみです。

プロフィール

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小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。08年4月から編集局編集センター員。

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