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このルパンはニセモノか、本物か

2008年3月17日

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写真DVD「ルパン三世 GREEN vs RED」はバップから4月2日発売。本編70分、BGM集のCDがついた通常版は7140円。メーキングなどを収めた特典DVDとフィギュアがついた限定版(9240円)もある画像颯爽と登場、緑ジャケットのルパン画像あれれ、いろんなルパンが出現画像ルパン捕まる! でもちょっとヘン 「ルパン三世 GREEN vs RED」原作モンキー・パンチ(C)TMS・NTV・VAP写真左から宮繁之監督、原作者モンキー・パンチさん、浄園祐プロデューサー。新作と過去の名作を集めたオールナイト上映会「ルパン・ザ・night」で舞台挨拶=東京・六本木で

 緑か、赤か? 断然わたしは緑! 「ルパン三世」の話です。

 71〜72年放映のアニメではルパンは緑のジャケット。77〜80年のアニメは赤のジャケット。新旧のルパンそれぞれにファンがおり、時として「ルパンと言えば赤でしょ」「いや、オレは緑しか認めない」なんてやりとりがルパン好きの間で戦わされたりします。この「緑vs赤」をそのまま作品の中に取り込んでしまったのが、新作「ルパン三世 GREEN vs RED」。4月2日にDVDが発売されるOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)です。

 お披露目となる上映会(8日、東京・六本木)の舞台挨拶で、原作者モンキー・パンチさんは「今までの『ルパン』とかなり違う。たくさん仕掛けがあって1回見終わるとまた見たくなる。ホント面白いです」とニッコリ。監督の宮繁之さんは「ルパンにおんぶに抱っこで無個性なものを作っていてはダメ。自由にやらせてもらったので、楽しんでいただけたらと思います」。

 緑ジャケットと赤ジャケット、2人のルパンが現れた! ニセモノをやっつけろルパン!――なんてお話かな、と見る前は思っていました。ルパンだってウルトラマンだって仮面ライダーだって、ニセモノが出るのはヒーローの常ですから。しかし見せてもらったその作品は、そんな生やさしいものではありませんでした。

 舞台は現代の日本。突如として世間に、大量のルパンが現れるという衝撃の導入部。出てくる出てくる、過去のテレビシリーズや映画に登場した、微妙に顔の違うルパンたち。旧ルパン、マモー編ルパン、あごの四角い新ルパン、サル顔の新ルパン、カリ城ルパン、照樹務バージョンの新ルパン、PART3ルパン、エトセトラ……。これを読んで「ああ、あの顔ね」とパッパッと思い浮かぶような人にとってはとっても面白い、という超マニアックな趣向です。でもこの作品の本当の恐ろしさは、そこではありません。

 街にあふれるルパンたちが「本物はオレだ」「ニセモノは引っ込んでろ」ともみ合います。それぞれ顔も違うし、声も違う。ここでハッと気づきました。さっきから感じていた胸騒ぎの正体が、ハッキリしました。

 テレビシリーズ、劇場版、毎年毎年のテレビスペシャルと、新しい作品が登場するたびに顔が変わり、声優が交代しても続く「ルパン」。最初のアニメ化からもう37年、今なお新たに作り続けられている「ルパン」って「本物」なの? 「ニセモノ」じゃないの? じゃあ「本物」って何? 「ニセモノ」とどう違うの? これは危険な刃を自らに突きつける、驚きのセルフパロディーです。少なくとも私はそう感じました。

 「そいつはオメエよりオメエらしいかも知れねえぜ」「あなたが何者かを決めるのは、あなたでなく他人よ」「ルパンはみんなが作った幻想?」といった刺激的なセリフをちりばめつつ、物語は赤ルパンと緑ルパンの2人の対決へと収斂(しゅうれん)していきます。なんだか哲学的なお話ね、とお思いになったかも知れませんが、一つ注意が必要です。

 えーっ!そこで戦闘ヘリから××××?

 えーっ!なんでいきなり巨大○○○○?

 という、ちょっと待ってよ大暴れ!な展開が待っているから。このぶっ飛びぶりも生やさしいものではありませんのでお覚悟を。少なくともビックリすることだけは保証します。

プロフィール

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小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。08年4月から編集局編集センター員。

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