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すごいや、ラピュタは本当にあったんだ

2008年12月8日

  • 筆者 小原篤

写真ラピュタ雲、撮りました写真「決死の亜空間アルバイト」が収録されているDVD「うる星やつら」14巻(キティ・フィルム)写真「阿修羅賞」に選ばれた後藤崇太(そうた)さん写真ジョージ秋山「アシュラ」第1巻(幻冬舎文庫)

 とある日、窓の外を見て思わず叫びました。

 「すごいや、ラピュタは本当にあったんだ」

 で、撮ったのがこの写真です。宮崎駿監督の「天空の城ラピュタ」に登場する空中都市ラピュタ。その雲に包まれた小山のような姿「竜の巣」そっくりです。下が平らでポッカリ浮かんだ感じがグー。写真では小さくて見にくいかもしれませんが、ちょうど真下に赤白の鉄塔があり、「あそこへラピュタの雷(いかずち)を! 見ろ、人がゴミのようだ、はっはっはっ」とか言っちゃいそうでいけませんいけません。

 そういえば、本コラムに2度登場していただいた押井守好きのI君から「すごいや、ラピュタは本当にあったんだ」というメールをもらったことがありました。1年ほど前、とある取材で訪れた東北の旅館に、男湯と女湯の仕切りが腰の高さほどしかない温泉があったとメールで報告したら、「すごいや――」と返信をくれたのです。

 広い湯船の奥へ奥へと入っていくと、湯気の向こうに人影が…。「イヤーン!」「うひひ」――なあんて、アニメやマンガによくある描写ですが、そんなお風呂が本当にあったとは。ちなみに、湯は濁っているので浸かっていれば体は見えません。

 昨今では、女の子がたくさん出てくるアニメならシリーズ中に1回くらい「温泉」エピソードが入ることが珍しくありません。となると、やれ「放送じゃ湯気が増量されて何も見えなかった」とか「DVDでは乳首解禁らしい」とか、ファンのすけべ心をやきもきさせるわけですが、古いところではのび太にジャマされるしずかちゃんのお風呂とか、ロボットアニメのヒロインのシャワーシーンといった「ちょっとしたオマケ」的地位だったのが、お風呂がその回のメーンイベントと言えるくらいまで昇格したのは、いつごろなのでしょう。

 オールドファンの私が思い出すのは「うる星やつら」の「決死の亜空間アルバイト」。亜空間にあるというまか不思議な銭湯「あしゅら湯」で主人公あたるが背中流しのアルバイトをする話です。ラムも弁天も大胆奔放、26年前はゴールデンタイムで堂々とお色気をやっていたのですね。たぶん、今のアニメーターがこんな場面を描いたらもっとお色気度が濃厚になるのでしょうが、そのためにゴールデンどころか深夜帯でさえ抑制というか自粛せざるを得なくなる。逆説的です。

 「あしゅら」で思い出したのが、先日の「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で「阿修羅賞」が決まったという話題。「端正な顔立ちをした奈良・興福寺の阿修羅像にちなんだ今年限定の特別賞」ということらしいですが、「あしゅら」と聞くと私の頭にはジョージ秋山の「アシュラ」とか「マジンガーZ」のあしゅら男爵の顔が浮かび、どうしてもイケメンのイメージが湧きません。受賞者決定の記事につける写真が届いたので見てみると「わ、そっくり!」。あしゅら男爵ではなく、マンガのアシュラに髪型が似ていました。まあ、偶然なのでしょうけれど…。

 「すごいや、アシュラは本当に――」おっと、雲をつかむようなことをモヤモヤ考えているうちに、霞か雲か湯煙か、ラピュタは空のどこかへ消えてしまいました。

プロフィール

写真

小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。08年4月から編集局編集センター員。

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