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「アラサー!」って、使い方間違ってますよ

2009年2月23日

  • 筆者 小原篤

写真映画「ヤッターマン」からドロンジョ様のあで姿写真こちらはヤッターマン2号(福田沙紀さん)。ちなみに1号は櫻井翔さん写真左からトンズラー、ドロンジョ、ボヤッキー (C)2008 タツノコプロ/ヤッターマン製作委員会写真「映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史」から写真固い友情で結ばれるロップル君(左)とのび太 (C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2009写真映画「釣りキチ三平」から三平(須賀健太さん) (C)2009「釣りキチ三平」製作委員会

 なぜでしょうか、最近立て続けに見た映画がどれも30年くらい前のネタだったんです。「アラサー」の怪です(使い方、間違ってます)。

 「ヤッターマン」(3月7日公開)は、77〜79年に放映されたギャグアニメの実写化。「映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史」(3月7日公開)は81年のドラえもん映画第2作のリメーク。「釣りキチ三平」(3月20日公開)は73年から10年間「週刊少年マガジン」に連載されたマンガの実写版です。

 本欄で何度も取り上げた「ヤッターマン」、ついに実写版を見ることができましたが、出来は微妙。ドロンジョ(深田恭子さん)、ボヤッキー(生瀬勝久さん)、トンズラー(ケンドーコバヤシさん)のキャスティングは万全、コスチュームは「使い込んだ」感が絶妙、音楽はオリジナル版と同じ山本正之さんでノリノリ、コクピットのおだてブタもビックリドッキリメカもドクロ形のキノコ雲も勝利のポーズもドクロベエのおしおきも「全部入り」のスペシャルミックスてんこ盛り――なのにテンポが悪いせいでハジけないのです。ヤッターマンが助けた考古学者の娘にかかわるくだり、それからヤッター1号2号とドロンジョの三角関係が、妙に重く湿っぽいため。これを「緩急のリズム」と受け止めた人は楽しめるかもしれませんが、私はじれったくて冷めてしまいました。

 ただ、特筆すべきはフカキョン。映画を支えているのは、彼女のもち肌です。ボンデージに花嫁姿に入浴シーン、あらわな肩に胸の谷間、鼻にかかった甘え声で「やっておしまい」。泡まみれの足の指をカメラがなめるようにとらえたりして、お色気だけはばっちり暴走しています。はてさて子供を連れて行ってよいものやら…。

 28年前の「のび太の宇宙開拓史」は、私にとってドラ映画ベスト1です。重力の小さい星でのび太が「スーパーマン」になる設定、あやとりと射撃というのび太の2大特技(この二つしかないけど)が生かされた展開、西部劇よろしく開拓民が流れ者(この作品ではのび太&ドラ)に想いを寄せるドラマ。今回のリメークは手堅い出来で、オリジナル版のよさを再確認しましたが、新たに付け加えられたキャラクターとドラマがうまく機能しているように見えないところが残念です。開拓民の少年ロップルと妹クレムのキャラの可愛さが前よりグッと増したのに、クレムの声の演技がつたなく(旧作では小山茉美さんで、もちろん上手い)、のび太への慕情を表現しきれないのがまたじれったい。

 映画「釣りキチ三平」は「週刊少年マガジン」創刊50周年記念作品だそうで、「あしたのジョー」や「巨人の星」をさしおいてナゼこれが?とは思いますが、魚をCGにすることで今こそ映像化が可能になった、との触れ込みです。そのCG巨大魚、物語的にも映像的にももうちょっと頑張ってほしかったなあというのが率直な感想ですが、キラキラ笑顔が輝く自然児・三平を演じる須賀健太さんのハマリっぷりと、癒やし効果満点の森や渓流の美しさが見ものです。原作と違って妙にコミカルな魚紳さん(塚本高史さん)や、田舎も釣りも嫌いな三平の姉(香椎由宇さん)ら、脇役たちのドラマが散漫なのがこれまたじれったいのですが、「寅さん」や「釣りバカ」のようなパターンを見つければ、これは旅もののシリーズにできるのでは――あ、でも子役はすぐ成長してしまうか…。

 こうした企画は、たぶん私を含めたアラフォー世代(これは正しい使い方)を狙う下心もあるのでしょう。何のかんのと文句は言いましたが、たくさん届く試写状の中からこうして食いついて見事に釣られてしまったわけですから。

プロフィール

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小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。08年4月から編集局編集センター員。

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