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なつかしいなあ、スティーブ!

2009年3月2日

  • 筆者 小原篤

写真料理の前にグラハム・カーの小粋な?ジョークを写真ニンニクはこうしてたたきつぶす!写真CMの合間にワインを写真うがいをしてはいけません写真んー、もう最高写真「世界の料理ショーDVD−BOX」写真それじゃ、またお会いしましょう

 そういえば自分には、「なつかしい」という感情が欠けているのかなあ――そう思ったのは「なつかしさ」がテーマの映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」を見ていた時でした。職業柄、ふだんから古今のマンガやアニメや特撮にランダムに触れているので、何を見ても「久しぶり」感が薄い、というか、擦り切れてしまったようなのです。

 それはそれでさびしいなあ、と思っていたところ、「うわ、これはなつかしい!」と思わず声をあげてしまう商品に出会いました。「世界の料理ショーDVD−BOX」です。

 料理研究家グラハム・カーの軽妙なおしゃべりと世界の料理。日本では74年から放映されていたそうですが、小学生の私が見ていたのは再放送かもしれません。確か土曜の昼過ぎ、東京12チャンネル(当時)でやっていたのを、ゲラゲラ笑いながら夢中になって見ていた記憶が…。

 これまで「同好の士」にほとんどめぐり会えなかったという、私にとっては不遇の番組で(唯一の例外が高校の同級のF君)、DVD発売のニュースを伝えるべく弊社の文化グループに駆け込んでも芸能担当のIデスクは「よくそんなもの出すねえ」、文化担当のSデスクは「誰が買うんですか?」。思わず「私が買います!」と叫び、あえなく退散(くすん)。

 しかし私と同様に「わあ、なつかしい」と喜ぶ人たちがどこかにたくさんいるはずです。さっそく発売元のメディアネットピクチャーズに資料を請求、ありがたいことに映像サンプルも送っていただきました。

 チャーラッチャチャチャチャラ〜ラ〜ラ〜。あぁこのオープニング音楽を聴くのは30年ぶりくらいかなあ。観客が拍手で迎えるスタジオにネクタイ姿のグラハム・カーが駆け込んできて、ワイングラスを持ったままイスをピョン! コレよコレ。「今日は皆様にチューリヒのレストランのゴキゲンな肉料理をご紹介しますよ。何の肉だって? いけね、聞いてこなかったよ!」

 吹き替えは黒沢良さん。「モンティ・パイソン」や「チキチキマシン猛レース」に連なる、珠玉の吹き替え芸です。南仏のリゾートやニューオリンズの下町など世界各地にカー夫妻が赴き当地の料理を食べるロケ映像、そして笑えるんだか笑えないんだか微妙なカーの小話をはさみ、それから料理、最後は観客の1人をテーブルに招いて試食。これが毎回のパターンです。

 カーがソースパンに溶かしバターを注ぎます。そうそうこの人は油じゃなく溶かしバター使うんだよね。うわ、フードプロセッサーがバカでかい。肉屋がミンチ作る機械みたい。そう、この番組を見ていたころは家にオーブンもフードプロセッサーもコショウ挽きもなかったし、ワインを料理に使うなんて超ぜいたく、スーパーに売ってるフレッシュハーブはせいぜいパセリくらいでした。

 「なんだスティーブ? あと30秒しかない? じゃあタマネギを炒めて、へへへ、ちょっと休憩」。グラスにワインを注いでCMタイム。そう、スティーブですよスティーブ! この名前を聞いて私の「なつかしさ」度はMAX。決して画面に出てこない、ホントにいるんだか分からないこのスタッフに向けたおしゃべりが楽しいのです。「どーしよスティーブ! ソースがちょっとコゲてるよ。『気にするな』? 分かってるねオマエ」

 計量せずに目分量。ニンニクは包丁の上からたたきつぶす。料理にワインをドボドボ、ついでにグビリ。改めて気づきましたが、私の料理スタイルってグラハム・カーの真似だったのですね(ネクタイはしないけど)。「では最後に生クリームを。少しでいいですからね」って言いながら、わあそんなにドバドバと。ここは違います、ウチはカミさんのダイエットも考慮してカロリーは極力控えめですから。

 8枚組で52話収録、41790円、3月25日発売だそうです。ああ待ち遠しい。制作はカナダ放送協会? カナダの番組だったの? 知らなかったよスティーブ!

プロフィール

写真

小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。08年4月から編集局編集センター員。

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