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一人漫才 映画「GOEMON」

2009年4月27日

  • 筆者 小原篤

写真映画「GOEMON」から、江口洋介さん扮する五右衛門写真かつて思いを寄せていた茶々(右、広末涼子)と再会、五右衛門の心は乱れる

 映画担当記者ともなれば、いろいろな映画を年200本以上は見ることになり、そうなると当然のことですが、墜落しちゃう残念な映画やら、自爆しちゃうツッコミどころ満載な映画もあるのですが、中には規格外の「爆発力」で地球の周りを回るお星さまになってしまう映画も、ごくまれにあるわけです。そんな時は、彗星(すいせい)に巡り合えたか新星を発見した気分。誰かに語りたくてたまりません。

 劇中、意表を突いて松田聖子さんが登場し、夜空に浮かんで「どうかワタシに〜呪文をかけてよ〜」と歌ったり、小舟の上で「逆らう女は追われます〜」と歌って石を投げられたりする「千年の恋 ひかる源氏物語」以来、なかなか軌道速度を突破する作品に出会えませんでした。「デビルマン」も「鉄人28号」も「CASSHERN」も、もうちょっとのところでした。

 しかし、その「CASSHERN」の紀里谷和明監督5年ぶりの新作「GOEMON」(5月1日公開)は、豪快なぶっ飛びぶりで私を圧倒しました。前作は正直、冗長なところがありましたが、今回は「エッ!」と驚き「ワハハ」と笑って2時間8分、グイグイ引っ張られました。

 信長(中村橋之助)暗殺の首謀者が秀吉(奥田瑛二)であるという秘密を知ったことから、石川五右衛門(江口洋介)が戦国時代最後の闘いに巻き込まれていく物語。幼い頃ともに忍びの修行をした霧隠才蔵(大沢たかお)との闘いや、かつて護衛役を務めた茶々(広末涼子)との恋も絡めたアクションファンタジーです。空いているスタジオがなくて体育館を借りて撮影したそうで、背景やアクションにはCGが多用されています。

 語りたいところはたくさんあるのですが、「ここぞ」という2点をご紹介しましょう。ここからは、漫才形式でどうぞ。

 「炎上する本能寺を光秀が見下ろしてるんだけどね、その甲冑(かっちゅう)が西洋風で、さらに胸にでっかく永楽通宝の浮き彫りがあるのよ、あのまあるい貨幣がデーンと」

 「なんで?」

 「東洋と西洋のアバンギャルドなフュージョンが戦国エグゼクティブのトレンドなんだよ」

 「よくわからないよ! カネが好きなんじゃないの?」

 「で、彼の後ろには、やっぱり永楽通宝ヨロイを着た秀吉がニンマリ」

 「おそろだね、仲いいんだ」

 「ところが、次のカットで秀吉が光秀を背中からブスリ。血にぬれた切っ先が光秀のアゴの先でゆらゆら〜」

 「待って待って、秀吉の刀は鉄のヨロイを貫けるわけ?」

 「いや、顔のアップなんで胸までは見えないんだけど」

 「見えなきゃいいの?」

 「そこでハッ!と気づいたんだよ、ホラ、永楽通宝の真ん中の穴からブスッと」

 「まさかぁ!」

 「あと燃えたのは、五右衛門が単身で大阪城に乗り込む場面。門を開けるとすんごい侍の大群」

 「泥棒で元忍者でしょ、忍び込めばいいじゃん」

 「いやいや、カタキ討ちなんだから殴り込みでしょ。で、むかし信長からもらった刀で群がる敵をバッサバッサ」

 「戦国無双?」

 「吹き抜けに架かる渡り廊下も真っ二つ」

 「おいおい」

 「直径3メートルくらいの柱もバッサリ! さすが切れるねえ、斬鉄剣は」

 「それは違う五右衛門だろ!」

プロフィール

写真

小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。09年4月から編集局文化グループ記者。

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