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飛び出す映画は今度こそ飛び出せるのか

2009年6月22日

  • 筆者 小原篤

写真「モンスターVSエイリアン」 (C)2009 DreamWorks Animation L.L.C.写真109シネマズ川崎IMAXデジタルシアターのテープカットセレモニー=18日、川崎市内で写真「トランスフォーマー:リベンジ」から、サム(右、シャイア・ラブーフ)と恋人ミカエラ(ミーガン・フォックス)写真「トランスフォーマー:リベンジ」は全国公開中 (C)2009 DreamWorks Animation L.L.C.and Paramount Pictures.

 頼みもしないのにハリウッドから3Dの波が来ました。メガネをかけて見る立体映画、「飛び出す」映画です。ドリームワークスの「モンスターVSエイリアン」(7月11日公開)、フォックスの「アイス・エイジ3 ティラノのおとしもの」(7月25日公開)、ディズニーの「ボルト」(8月1日公開)。この3本のCGアニメは一部の劇場で3D版を上映します。さらに川崎、埼玉・菖蒲、大阪・箕面の109シネマズにIMAXデジタルシアターができ、ここでも「IMAXならではの迫力の3D映像」を見せてくれるそうです。

 「これからは飛び出す映画だ、立体だ」と過去にも何度か聞きましたが、結果は残念ながら、飛び出せずに終わりました。暗い、見づらい、ボケる、メガネがうざい、目が疲れる、といったあたりが理由なのですが、今回の売り文句は「CGと『立体』は相性がいい」「デジタルで撮影・上映するから、ズレもブレもなく立体感がクッキリ」。さて、うまくいくのでしょうか。

 3作のうち「モンスターVSエイリアン」の3D版を見ましたが、秋葉原・アキバシアターでの試写での立体感は「ほどほど」というか「それなり」というか。かえって、立体映画であることを余り意識させないというのは立体映画としてどうなの?という疑問が残ります。なぞの宇宙エネルギーを浴びて巨大化した女性とヘンテコモンスターの連合軍が、タコ型宇宙人と闘うコミカルな物語は、ドリームワークス独特のアクのあるキャラクターデザインで多少損をしているものの、普通に楽しめますので、別に飛び出さなくてもいいかも。自分のメガネの上に立体視メガネをかけるので、ときどきずり落ちるし、重くて鼻当ては痛くなるし。

 「アイス・エイジ3」は未見、「ボルト」は通常版で見ましたが、スペクタクルよりキャラクターの芝居で見せるいい話なので、ボルト君の鼻面がいちいち飛び出しても余りありがたくない気がします。

 川崎でのIMAXオープニングセレモニーで見た「モンスターVSエイリアン」の予告編の方が、立体感がクッキリ。さすがはIMAX、と感心しましたが、別の作品の予告編では遠景・中景・近景の間隔を強調しすぎて「飛び出す絵本」みたいに見えました。3Dの味付けにも、上手い下手があるのではないでしょうか。「ハリー・ポッターと謎のプリンス」(7月15日公開)の予告編はグイーン、ニョキーンと盛大に飛び出してお見事。

 でも「グイーン、ニョキーン」を2時間続けて見るのはやっぱり疲れそう。メガネのつるがきつくて痛いし。と思ったらセレモニーの最後は2時間30分の「トランスフォーマー:リベンジ」(公開中)。CGロボットのどつき合いをグリグリのカメラワークでしかも3Dで?…と怖気をふるいましたが、3Dでなく通常版の上映でした。車や建設機械がロボットにガチャコーン!と変形して、ガチャコーン!と殴り合い、ガチャコーン!と大破。隕石(いんせき)の雨あられに空母真っ二つ。CGスペクタクルのフルコース満漢全席に、通常版でも2時間半はグッタリ、疲れました。GM車にブルーカラーの魂が入ったかのようなトランスフォーマーたちがマッチョなヒーローぶりを見せる様は、現在の経済状況を考えると「リベンジ」というより「レクイエム」かも。

 さて、やれデジタルだCGだと言っても、あのアナログでアナクロなメガネはどうにかならないものでしょうか。あ!そういえば、今年2月に「U23D」というU2のライブを3D映画にした作品を見て、重低音とどろくサウンドにしびれたものの、「エッジのギターが飛び出したりボノのマイクスタンドが飛び出したりして何か意味があるのかな?」というのが疑問でしたが、いま氷解しました。

 「3Dメガネって、ボノのサングラスみたいでカッコよくね?」

 ということを言いたかったんですね、きっと。

プロフィール

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小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。09年4月から編集局文化グループ記者。

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