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ロカルノ 中学生男子

2009年8月11日

  • 筆者 小原篤

写真拡大右端より3人目から風早、石井、板野、内田、富野、湯山、今石、加藤、赤井、大塚の各氏=スイス・ロカルノで写真拡大右から内田、富野、湯山写真拡大右から今石、加藤、赤井写真拡大会見には多くの人がつめかけた

 スイス南部で開催中の第62回ロカルノ国際映画祭を取材中です。9日、日本アニメの回顧上映企画「MANGA IMPACT」の日本側ゲストの共同会見が開かれました。「ガンダム」や「ポケモン」の制作者からアカデミー賞受賞者まで顔をそろえる豪華な会見に、一般客を含む約150人が集まりANIME談義に耳を傾けました。

 出席したのは「機動戦士ガンダム」の富野由悠季監督、同作を製作したサンライズの内田健二社長、「ポケットモンスター」の湯山邦彦監督、「つみきのいえ」でアカデミー賞短編アニメ賞を獲得した加藤久仁生監督、「BLASSREITER」の板野一郎監督、「天元突破グレンラガン」の今石洋之監督、同作を制作したガイナックスの赤井孝美プロデューサーと大塚雅彦副監督、東映アニメーションの風早完次プロデューサー、映画「REDLINE」原作・脚本の石井克人さん。

 富野監督は79年に制作した「ガンダム」について、「スポンサーのおもちゃ屋さんのためだけに作るのではなく、作家としての意思、ティーンエージャーに向けたメッセージやドラマ性をこめようと挑戦した作品」と説明した上で、「最近のアニメは、外に向かってのメッセージがなくなり内向的になっていると感じる」と苦言を呈しました。

 アニメや特撮好きの学生グループを母体として生まれたガイナックスについて、赤井プロデューサーは「我々はずっと、自分たちが面白いと思うもの、出来上がって達成感を味わえるものだけを作り続けてきた」と説明。「こうした商売が出来るのは、受け入れてくれる市場を富野さんが作ってくれたから。私たちは富野さんの作った道をあとからついていっているだけ」という言葉には、富野監督が苦笑し「ノーコメント!」と声を上げました。

 続けて今石監督が「僕自身がオタクだから、オタクの気持ちは手に取るようにわかる。生まれた時からオタクになっていたのでこれはどうしようもない」と発言すると、富野監督が再び横から「僕のせいじゃないよね?」。今度は今石監督が苦笑しつつ「僕の口からは言えません」と答えると、富野監督が扇子で今石さんをたたくマネをして、会場を沸かせました。

 「日本アニメは女性キャラクターがとても印象的。どのようにキャラクターをつくり出すのか」という会場からの質問に、富野監督は「僕自身が口説き落とせそうにない女性を考える。そうすると、自分の好みと違う女性像を創造するきっかけになる。でも、ここにいるほかの人たちは自分の好みのキャラクターばかり作っている、と私は偏見をもって理解しています」と独特の言い回しでチクリ。

 これに対し赤井プロデューサーは「リアルな女性像とは違う。中学生くらいの男の子から見た世界、と考えてほしい。我々オタクの基本的なセンスは中学生男子。その視点から見ると、巨大なパワーを持つロボットと、街を壊す怪獣と、魅力的な女の子というのは同じくらいの距離にある存在になる」と説明しました。会場からはさらに、「日本のアニメにセックスがあふれているのは、現実の日常にセックスがあふれているからか?」という暴走(妄想?)気味の質問が。これには赤井プロデューサーが「巨大ロボットと同じくらい現実に存在しません!」。

 このほか会見では、「ポケモン」のテレビシリーズと同時に12本の劇場版も手がけている湯山監督が「作品のテーマはポケモンと人間との言葉を超えたコミュニケーション。世界中で『ポケモン』が受け入れられたのは、世界中どこの子供たちにとってもコミュニケーションは楽しいことだからなんだろうと思う。これからも『ポケモン』を通じて世界中の子供たちとコミュニケーションをとり続けたい」と話しました。

 加藤監督は「僕が作っているような短編は、テレビシリーズや長編映画といったメジャーな作品と比べ商売になりにくい。今回の作品はもともと、短編を集めたオムニバス企画の中の1本。作品作りの前に、こうした機会があるかどうかというもう一つのステップが必要になる」。

 板野監督は、アニメーター時代から得意とするスピード感あふれる戦闘シーンについて、「表現者として、自分の絵で人をビックリさせたり喜ばせたりしたい。それで、戦闘機によるドッグファイトを、ミサイルにカメラをくっつけて撮ったかのように描いたら『板野サーカス』と呼ばれるようになった。二次元で見せるアニメをどうしたら立体的に感じてもらえるか、それを常に考えている」と語りました。

 というわけで、今回は速報風にお届けしました。「MANGA IMPACT」の取材はまだまだ続きます。

プロフィール

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小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。09年4月から編集局文化グループ記者。

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