2010年2月8日
国際交流基金が2月から「アニメ・マンガの日本語」(http://anime-manga.jp)というサイトを始めました。アニメやマンガの日本語を学びたい外国人向け学習サイトです。私の所に届いたプレスリリースによれば、海外で人気の4ジャンル「恋愛、学校、忍者、侍」の特徴的な表現、アニメ・マンガに典型的なキャラクター「男の子、女の子、野郎、侍、おじいさん、お嬢様、執事、大阪人」の特徴的なセリフが学べるそうです。用語クイズや漢字ゲームもあるとか。いやー、どんなもんなんでしょう? ちょっとのぞいてみましょうか。
用語クイズ「LOVE WORD QUIZ」は、「好きな子」「デタラメ」「お酌する」などの日本語が出題され、正しい英訳はどれか選択する形式。「ジミ系」「H」「モテ」「ナンパ待ち」なんてお題もあって例文も出ているのですが、日本人の目からすると、何となくふつうの英単語の勉強っぽい。まあ、マジメなサイトなのですから、「もえたん」みたいなマニアックさやヒネリを期待しちゃいかんというところでしょう。
キャラクターコーナーで目をひくのは、タイガースの帽子を被ったおっちゃん「Osakan」。何かが「お盛ん」なわけじゃなく「大阪人」のことだそうですが、この英語通じるの? 「I am an Osakan(わいは大阪の人間や)」と言って外国の方が分かってくれるのかどうかはさておき、英文解説によれば「アニメやマンガでは、大阪弁を話すキャラクターはがめつい商人や調子のいいムードメーカーとして登場することが多い」とか。へぇ、そうなんですか。例として挙がっているセリフは「よっしゃ」「せやな」「そやねん」。同じやないか!などとツッコんではいけません。これらの言葉を初めて見る外国人の方には、同じ意味なのか違う意味なのか分からないのですから。目つきの悪いキャラクター「scrapper」というのもいて、これが上記の「野郎」なのですが、「チンピラ」とか「不良」と言った方がいいかも知れません。
さて、サイトの内容をただ紹介するだけでは芸がないので、挙がっている英語の例文を拝借して、ちょっとクイズにしてみました。例文とキャラクターから、元の日本語のセリフを推理してみて下さい。
1)It’s all in a day’s work for a butler.(執事)
2)(Brother),don’t be mean!(女の子)
3)Hello...may I come in?(侍)
4)I’m joking of course,teeheehee.(お嬢様)
5)This is no joke!(大阪人)
6)Hey punk,I’m gonna f***in’ kill you!(野郎)
7)I don’t need your excuses!(侍)
8)Woah,risky!/Wicked!/Excellent!(野郎)
正解はこちら。
1)執事たるもの当然の務めでございます。2)お兄ちゃんのバカ〜っ!3)たのもー!4)冗談ですわよ、オホホホ。5)シャレにならんで。6)てめぇ、ぶっ殺してやる!7)問答無用!8)やべぇ!
開発した国際交流基金・関西国際センターによると、英訳はマンガやアニメに詳しいイギリス人の非常勤スタッフが担当したそうです。お嬢様の高笑い「オホホホ」が「teeheehee」とは知りませんでした。「ティーヒーヒー」という発音なのでしょうか? 魔女か小動物系の妖怪みたいな感じがします。「今後、コンテンツを順次増やしていきます」(同センター)とのことですので、ご興味ある方はのぞいてみてください。
1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。09年4月から編集局文化グループ記者。