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正月、家康の「焼きみそ」で

2011年1月10日

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写真:焼きみそ拡大焼きみそ

 現在わたしが単身赴任中の名古屋は、みその国であります。昼飯に定食を食べると例外なく赤だしのみそ汁がついてきます。宮城県出身の両親に育てられた私の舌は仙台みその味を恋しがるのですが、まあ八丁みその赤だしも悪いもんじゃありません。

 ちょうど弊紙社会面(名古屋本社版)では、東京出身の後輩記者が「つぶやき@ナゴヤ考なう」と題した連載企画で「名古屋めし」の探究&探訪ルポを書いており、「赤だしのみそ汁のすっぱいような、塩からさが耐え難い」と記事中でボヤいては、コメンテーターの呉智英先生に「まだまだ浅い!」と叱咤(しった)されたりしています。あの濃ゆい味が苦手、という方はほかにもたくさんいるでしょう。では一つ、八丁みそのとびっきりうまい食べ方をお教えします。

 というわけで、今回は料理ネタ。宮崎駿さんと富野由悠季さんとりんたろうさんと芝山努さんとユーリ・ノルシュテインさんが古希を迎え、押井守さんが還暦となる2011年の初っぱなが、アニメと関係ないみその話で済みません。でも「うる星やつら」が放映から30周年だから「三十路(みそじ)」ってことで許して下さい(やっぱり関係ないか)。

 今回ご紹介するのは、名古屋の社会部(当時)に私が在籍していた1997年、取材で知ったレシピなのです。愛知県岡崎市の日本料理店の料理長が郷土史家の協力で、徳川家康の食べていた料理を再現して健康メニューとして売り出すという記事でした。旬の野菜がたくさん入ったみそ汁、ボラのみそ漬け焼き、野菜の煮物、煮豆、大根のみそ漬けと、みそ!みそ!みそ!な献立の中に、地味に添えられていたのが「焼きみそ」。八丁みそに粉がつお、ごま、酒、ハチミツを加えて煮詰めたものだそうで、これが好物だった家康は、ご飯にのせたりお茶漬けにしたりと食卓に欠かすことがなかったらしい、とのこと。小指の先ほどを口に含むと、確かにうまい! 甘辛いみその香ばしさに粉がつおのうまみ、ゴマの風味が相まって、高級ふりかけに似た味わいです。

 さっそく舌を頼りに私も作ってみたら、これが、んまい!

 みそは、スーパーでパックで売っている「赤だしみそ」(八丁みそと米みそをブレンドしたもの)でOK。たっぷりの花かつおをフードプロセッサーかすり鉢で粉にします。小鍋にみそのかたまりを入れ、日本酒を注ぎ、はちみつか砂糖を加えて弱火にかけます。へらでかき混ぜつつ粉がつおを投入。徐々に水分が飛んで炒(い)るような感じになり、鍋の底でみそがジュウジュウと音を立てて香ばしい匂いを放ちます。ほとんど水分がなくなったら、いりゴマを混ぜ込んで出来上がり。いつも目分量で作りますが、目安としてはみそカップ1、酒カップ2/3、粉がつおカップ2/3、ハチミツか砂糖は大さじ1〜2(辛党の方はゼロでも)、ゴマはカップ1/3といったところでしょう。

 我が家ではこれを毎年暮れに作って、お正月のお楽しみにします。もちろん今年のお正月も。幼いころからこの焼きみそに目がない息子(9歳)は、まさに病みつきといった感じでホカホカご飯にみそをのせてほおばりウットリ。これを、みそがなくなるまで繰り返します。

「このみそって、おせち料理なの?」

 いやー、おせちじゃないし、いつでも作れるけど、普段から作ってたらアンタそれしか食べないんじゃない?

 それと、初夢で見ると縁起がいい「一富士二鷹(たか)三なすび」は家康のお気に入りを並べたとも言われているそうですから、正月に家康の好物を食べるなんて実に結構なことなんじゃないでしょうか。いま考えついた理屈ですけど。

 というわけで見た目は地味ですが、ご飯が進むこと間違いないしの一品「家康の焼きみそ」、ぜひお試しを。

プロフィール

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小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。2010年10月から名古屋報道センター文化グループ次長。

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