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2011年6月20日
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小原篤のアニマゲ丼

もし歴史好きの9歳児に劇場版の「戦国BASARA」を見せたら

文:小原篤

写真:「劇場版 戦国BASARA The Last Party」の伊達政宗 (C)2011 CAPCOM/TEAM BASARA拡大「劇場版 戦国BASARA The Last Party」の伊達政宗 (C)2011 CAPCOM/TEAM BASARA

写真:真田幸村拡大真田幸村

写真:石田三成拡大石田三成

写真:徳川家康拡大徳川家康

写真:武田信玄拡大武田信玄

写真:上杉謙信拡大上杉謙信

 はやりものに便乗したタイトルをつけたくて、息子をダシにしたわけじゃありません。……いや、したのか、やっぱり。

 昨年あたりから小4の息子は「ゲッテンカ」なるゲームにハマりました。戦国武将や幕末の志士をキャラクター化し、いろんな装備を選んでバトルさせるゲームで、絵柄は昔懐かしいビックリマン風です。ショッピングモールに置かれたゲーム機で、息子が伊達政宗(一番のお気に入り)、私が腹心・片倉小十郎となり、ペアでゲームをさせられたこともたびたび。

 このゲームをきっかけに、にわか武将マニアと化した息子は「戦国武将百科」みたいな本をよみふけってはウンチクを詰め込み、「賤ケ岳(しずがたけ)の戦いって知ってる?」とか「徳川信康って教科書に出てくる?」といった質問を延々とぶつけてくるので、ちょっとウザイ、いや、頼もしい限りです。つまり、ゲーム「戦国BASARA」を入り口に武将や歴史に熱を上げる「歴女」さんたちと、違うコースで同じ山に登っているようなもの。ゴールデンウイークには政宗公の銅像を見に青葉城へ連れて行くはずでした、震災がなければ。

 で、この武将熱にもろもろつき合ってやった分をコラムのネタとして返してもらおうと、公開中のアニメ「劇場版 戦国BASARA The Last Party」に連れて行きました。原作はご存じ、戦国武将を華麗にビジュアル化したアクションゲーム。「バサラ」の名の通り外見も奇抜、お話も奇抜、っていうかハチャメチャで、キャラの立ちまくったイケメン武将たちの熱いドラマが腐女子方面の方々や「歴女」方面の方々を喜ばせているわけですが、客席もざっと見て6〜7割が女性。「テニスの王子様」の新作映画の予告編が流れると「キャッ♡」みたいな、そんな雰囲気の中で上映が始まりました。

 好評だったテレビシリーズを受けての劇場版は、魔王・織田信長と覇王・豊臣秀吉を倒した伊達政宗と好敵手・真田幸村が、いよいよ天下分け目の関ケ原へ。ちょっとキレたキャラの石田三成が悲憤の居合一閃(いっせん)、マッチョな徳川家康がロボットみたいな本多忠勝の背に乗って戦場を飛び、六文銭ネックレスの真田幸村が2本の槍を振り回し、六刀流の伊達政宗が英語まじりの決めぜりふでCooool!! 群雄の熱い魂がたぎる関ケ原の中心では、ガスタンクを真っ二つにしたくらいの巨大鍋でダイコンとタイがグツグツと煮えたぎり(←ホントですよ)、戦いの裏では天海らの大魔王復活の陰謀がフツフツと煮えたぎっている――ってな映画を、果たして息子はどう見たか?

 「あり得ない! ハナシにならない! まず家康が信玄を師だなんて言ってたけどそんなはずないよ、三方ケ原の戦いで信玄に踏みにじられているんだよ。なんで信玄が幸村に殴り殺されるの? 病気で死んだんだよ。幸村の格好だけど、なんで胸と腹がむきだしなの? 無防備すぎるよ、カブトもかぶってないじゃん。槍の真ん中なんか持ったらグッと前に突き出せないから、あれじゃ武器の特長を生かせてない。政宗と幸村の軍が全員馬に乗ってたけど、全員が馬なんてフシギ。信長=鉄砲っていうイメージになってるけど、長篠の戦いで使ったのが有名なだけで、政宗だって立派な鉄砲隊を持ってたし、信長だけが鉄砲って違うんじゃないの? 秀吉はなんであんなゴツいキャラクターになってるの? 農民に見えない! 『猿』っていったってあれじゃゴリラじゃん。政宗を襲ってきたヤツが石田三成だとは思わなかった。政宗を恨んでるなら畠山義継かと思った。だいたい三成は文治派っていって計算能力なんかに長けている人だから直接戦場で戦う人じゃない。三成じゃなくてあの役は加藤清正の方がピッタリなんじゃないの」

 「ゲッテンカ」だって史実無視してるのにキビシイなあ。以上、帰り道でパンフレットを開きつつノンストップで語り続けた感想(抜粋)をお伝えしました。息子の覚え違いか私の聞き間違いで史実に反する内容がありましたらご容赦ください。

 家に着いてから、息子がポツリ。

 「政宗と幸村って、フツーのライバルじゃないように見えたなー」

 な、なんと。まさか息子よ、「2人はデキてるんじゃないの、ふふふ(腐)」みたいなことを言い出すんじゃ……。

 「友だちのような友だちでないような……仲のいい宿敵?」

 なあんだ。まあそうね、「強敵」と書いて「とも」と読む、と言いますから。

 「でも、面白い映画だったよ。お母さんも見に行ったら?」

 お母さんは腐女子、いや、主腐じゃないから見に行きません!

プロフィール

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小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。2010年10月から名古屋報道センター文化グループ次長。

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