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2011年10月3日
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小原篤のアニマゲ丼

女の子は映画館でしゃべる

文:小原篤

写真:「劇場版テニスの王子様 英国式庭球城決戦!」は全国公開中 (C)許斐剛/集英社・NAS・劇場版テニスの王子様プロジェクト2011拡大「劇場版テニスの王子様 英国式庭球城決戦!」は全国公開中 (C)許斐剛/集英社・NAS・劇場版テニスの王子様プロジェクト2011

写真:主人公リョーマの危機を救うシウ。実はストリートテニスグループの元メンバー拡大主人公リョーマの危機を救うシウ。実はストリートテニスグループの元メンバー

写真:謎の集団から闇討ちを受けた日本代表のメンバーらは…拡大謎の集団から闇討ちを受けた日本代表のメンバーらは…

写真:映画「スマーフ」は全国公開中。(C)2011 Sony Pictures Digital Inc.拡大映画「スマーフ」は全国公開中。(C)2011 Sony Pictures Digital Inc.

写真:スマーフたちは広告マンのパトリック(ニール・パトリック・ハリス)の家に厄介になることに拡大スマーフたちは広告マンのパトリック(ニール・パトリック・ハリス)の家に厄介になることに

 映画館に入って客席を見渡した時なんとなく「アウェー感」を覚えると、上映中に聞こえてくるのです、女の子たちのおしゃべりが。

 それは9月に入った平日の夜、名古屋駅前のシネコンに「劇場版テニスの王子様 英国式庭球城決戦!」を見に行ったときのこと。特に「テニプリ」ファンではありませんが、職業柄、公開されるアニメ映画はなるべく全部見ておきたい、そして職業柄、映画館に行くと客の入りや客層をついついチェックしてしまう。というわけで客席を見渡すと案の定、若い女性ばかり30〜40人がそれはもう楽しそうに上映開始を待っておりました。たぶん男は私ひとり。アウェーな私は隅の方の席に着きました。

 主人公リョーマらおなじみの面々が、ジュニアの世界大会の日本代表としてテニスの聖地ウィンブルドンへ来たのだが、テニス界を追われた「ストリートテニス」の不良グループに闇討ちを仕掛けられ、彼らの本拠地のお城に乗り込むと、劇場版恒例のハイパーなテニスバトルに突入! ボールと一緒に強烈な「気」をたたき込んでくるカメハメ波〜な強敵を相手にバトルは白熱、鋼鉄の門をぶっ飛ばし、城壁に大穴を空け、天が裂け地が割れ……というツッコミどころ満載のお話。

 当然のこと、観客のお嬢さんたちはキャッキャウフフとよく反応するのですが、笑いにまじって「イヤァー!」「部長〜」「出た比嘉!(笑)比嘉だよ〜!!」といったおしゃべりも。まあおしゃべりくらいいいよねえ、ここは君たちのホームだものねえ、と思いながら見ていました(※注意:上映中のおしゃべりはいけません。劇場からのお願いです)。

 さてこれまた9月の平日の夜、池袋のシネコンに「スマーフ」を見に行くと、20人ほどの観客はみな女子高生風。ヨーロッパ生まれの青い妖精スマーフは、むかしチーズのCMに使われていましたが、現在はどうやらグッズを通じて若い女の子のファンを獲得している模様です。映画は実写とCGキャラクターの合成で、妖精の森からニューヨークに迷い込んだスマーフたちが化粧品の広告マンとその妻の協力を得て、騒動を巻き起こしながら故郷に帰ろうと奮闘する物語。お菓子や飲み物を手に中央に固まった彼女たちは「ホーム感」を醸し出し、なにやらヒソヒソコチョコチョとおしゃべりする声が、これまた端っこの方に座った私の耳に聞こえてきました。

 女の子たちのおしゃべりは迷惑ではなくむしろ面白かったのですが、私がこんなことを珍しがるのはもっぱら試写室で映画を見てきたから。名古屋に来て、試写の数が少ないので仕方なく映画館に足を運ぶ回数が増えたためにこんな場面に遭遇したわけですが、聞くところによると「キャプテン翼」の時代(1980年代半ば)から喚声やら嬌声やら「岬くんコッチ向いてー!」的なかけ声が映画館に飛び交っていたとか。

 その頃なら映画館にはよく通っていたし、もちろんアニメ映画もたくさん見ていましたが、残念ながら「コッチ向いてー」的なかけ声なんて聞いたことありません。(腐)女子が群れ集うようなシチュエーションにたまたま出くわさなかっただけなのかなあ? 今年6月に息子を連れて川崎駅前のシネコンで「劇場版 戦国BASARA The Last Party」を見た時も、客席は女性が多かったのですがおしゃべりはほとんどなし。一般客もまじっているからと自制なさっていたのでしょうか?

 そういえば「BASARA」では観客が心おきなく声援を送ってOKの「絶叫Night」なるイベント上映が人気で、今回のテニプリ映画でも同様の「応援Night Party」が開催されるそうです。これまた職業柄、ファンがどんな場面でどんな声援を送るのか聞いてみたいものですが、そんな所に入り込んだらホームだアウェーだの話じゃありません。とんだお邪魔虫で、オッサンが女性専用車両に乗り込むのようなものなのでは。

 と、ここまで書いてきてハッと気づきましたが「テニプリ」の時も「スマーフ」の時も、私はお邪魔虫だったのかも。片手にポップコーン、片手にビールのいいトシのオッサンが、普通に考えたらミスマッチの映画に独りでやってきて、値踏みするような目で客席を見渡して……。「お仲間」ばかりでホーム感に浸っていた観客にとって、キモいウザい存在だったんじゃないかと思うとタラーリと冷や汗が出ます。私がいなかったらもっと心おきなくおしゃべりや声援で沸いたとすると、ううむこれが、観察者の存在が観察対象に影響を与える、科学で言うところの「観察者効果」というものか?

 女子の皆様、映画館で場違いなオッサンをみかけても気にせずおしゃべりを――と書くと「映画館からのお願い」に反するので――気にせずリラックスして、楽しんで下さいね。

プロフィール

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小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。2010年10月から名古屋報道センター文化グループ次長。

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