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2011年12月12日
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小原篤のアニマゲ丼

ルパン三世 いま何世?

文:小原篤

写真:テレビスペシャル「ルパン三世 血の刻印〜永遠のmermaid〜」から 原作:モンキー・パンチ(C)TMS拡大テレビスペシャル「ルパン三世 血の刻印〜永遠のmermaid〜」から 原作:モンキー・パンチ(C)TMS〈「ルパン三世 血の刻印〜永遠のmermaid〜」を商品検索〉

写真:引き続きルパンを演じる栗田貫一さん=07年撮影拡大引き続きルパンを演じる栗田貫一さん=07年撮影

写真:新・銭形警部役に起用された山寺宏一さん=05年撮影拡大新・銭形警部役に起用された山寺宏一さん=05年撮影

写真:DVD「銀魂」第1巻(アニプレックス)。アニメはテレビ東京系で放映中拡大DVD「銀魂」第1巻(アニプレックス)。アニメはテレビ東京系で放映中〈DVD「銀魂」を商品検索〉

 レギュラー声優陣を一部入れ替えた「ルパン三世 血の刻印〜永遠のmermaid〜」が12月2日に日本テレビ系で放送されました。見終わっての感想は「無難な滑り出しにホッ…」ですが、無難でいいのか? もっとパンチがほしいじゃないか! てなことを書きましょう。

 ルパン役は故・山田康雄さんの跡を継いだ栗田貫一さんがそのまま。次元は小林清志さんで独り第1期から不変。不二子は二階堂有希子さん→増山江威子さんの後を受け沢城みゆきさんを起用。五ェ門は大塚周夫さん→井上真樹夫さんと来て今回から浪川大輔さん。銭形の声は納谷悟朗さんから山寺宏一さんにバトンタッチ。というわけで、ルパンをさしおいて不二子と五ェ門が三世になっちゃった(五ェ門は元々13代目だけど)。念のためですが、まったく別のキャストによる映画「風魔一族の陰謀」(1987年)もありました。遠い昔の話になりましたね。「ルパン」そのものが今年アニメ化40周年だそうです。

 お話は、不老不死の八百比丘尼(やおびくに)が封印した秘宝、そのカギとなる宝玉と「不死」の体を持つ少女・美沙を巡って、ルパン一家と冷酷な悪党・氷室が争奪戦を繰り広げるというもの。沢城・不二子は、かわいらしく上品なお色気。山寺さんは、ガラガラ声を張り上げコミカルに、そして「ヤツは盗むと言ったら必ず盗む」なんてセリフを渋い声でキメる。何をやってもうまい人です。この2人は上々でしたが、浪川さんは五ェ門にあまり芝居の見せ場がなかったので印象が薄くなってしまいました。もともと口数が少ないキャラなので、難しいところですねえ。

 しかし40周年、新キャストお披露目なら、もうちょっと肩に力が入ってもいいのでは、という内容でした。冒頭、ルパンが予告通りに盗みを成功させるところから、不二子の裏切り、お色気、アクション、ギャグを織り交ぜ、クライマックスはハルクか毒々モンスターみたいなバケモノとの対決、火山島崩壊、八百比丘尼とルパン一世の粋なやりとりが明かされ、そしてルパンは美沙の体から「呪い」まで盗んで去っていく…と、バランスもオチも悪くはないのですが、全体におとなしく、個々の場面にひと工夫、ひとヒネリがないので「なんかどっかで見たような」感がぬぐえませんでした。

 アニメーション制作はテレコム・アニメーションフィルム、制作協力は日本アニメーション。「こんにちはアン」っぽいキャラだなと思ったら、同作でキャラ原案を担当した佐藤好春さんがキャラクターデザインと総作画監督をしていました。美少女だけど顔の地味な美沙の服が「カリオストロの城」のクラリスっぽいところは、ちょっとニンマリ。

 ところで、「ルパン」キャスト交代の発表前にそんなうわさ話を耳にした私が予想&夢想したのは、全面交代&新テレビシリーズ開始。製作サイドは部分交代でソフトランディングを計る算段なのかも知れませんが、それはいいとしても新シリーズは必要なのでは?

 ここのところ「ルパン」は、年に1回おなじみのキャラと声に再会するのが目当ての「同窓会」的な楽しみと化していた感がありました(少なくとも私は)。演じる声優にしても見る視聴者にしても、新キャストがなじむには年1回では難しいし、旧キャストのファンに引き続き「ルパン」ファンでいてもらうには、毎週の放送が望ましいのではないでしょうか。「サザエさん」しかり、「ドラえもん」しかり、「名探偵コナン」の小五郎役を神谷明さんから引き継いだ小山力也さんも、初めは違和感がありましたが数カ月たったらアラ不思議、すっかりなじんで聞こえました。「コナン」を毎週見ているわけではない私がそう感じたということは、小山さんの体に小五郎が入ったということなのでしょう。

 各自の役割がハッキリしているルパン一家は、長尺より30分1話完結シリーズの方が向いている気がします。「ファースト・ルパン」と呼ばれる第1シリーズを愛する私としては、新キャスト(&豪華スタッフ)でリメークする「ルパン THE ORIGIN」なんてアリじゃない? などと夢想していたのですが。

 さて、おしまいにたあいないネタを一つ。新・銭形の山寺さんは「ルパンやらせるなら誰がいい?」というオタ話など始めれば真っ先に名前の挙がってきた人。そこで次元を石塚運昇さん、不二子を林原めぐみさんにすれば「COWBOY BEBOP」になり(クールなルパン一家ですね)、次元を大塚明夫さん、不二子を田中敦子さんにすれば「攻殻機動隊」になり(ゴツいルパン一家ですな)、次元を立木文彦さん、不二子を三石琴乃さんか山口由里子さんにすれば「エヴァンゲリオン」になり(クセの強そなルパン一家ですな)、次元を中尾隆聖さん、不二子を戸田恵子さんにすれば「アンパンマン」になり(冗談です)とさまざま妄想は膨らむのですが、「もっと下の世代では誰かなあ、たとえば『銀魂’』をやってる人たちとかなら…」と考えた私の頭の中で、何かがスパーク。

 ルパン=銀さん(杉田智和さん)、次元=土方(中井和哉さん)、不二子=お妙さん(雪野五月さん)、五ェ門=桂(石田彰さん)、銭形=長谷川(立木文彦さん)。おお、できちゃった! このキャストの「ルパン」見たい、っていうよりこの配役で「ルパン」を思い切りパロディーにした「銀魂’」が見たいなー。シリーズ構成の大和屋暁さんのお父さんは、「ファースト・ルパン」第2話「魔術師と呼ばれた男」をはじめ「ルパン」シリーズの代表的な脚本家だった大和屋竺さんですし、毎度毎度きわどいネタに手を突っ込んで危ないお遊びを楽しませてくれる「銀魂’」なら、きっと面白いものができるのでは。ネットで調べたらルパンネタをやった回も過去あったそうですが(すみません、見逃していて)、ルパン一家「銀魂’」版、勝手に夢想して期待しています。

プロフィール

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小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。2010年10月から名古屋報道センター文化グループ次長。

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