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2012年3月5日
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小原篤のアニマゲ丼

ワンダバ「ヤマト」

文:小原篤

イラスト:「宇宙戦艦ヤマト2199」は、全7章が4月7日から順次劇場公開されます拡大「宇宙戦艦ヤマト2199」は、全7章が4月7日から順次劇場公開されます

写真:「ヤマト」の名曲の数々を手がけた作曲家・宮川泰さん=1990年撮影拡大「ヤマト」の名曲の数々を手がけた作曲家・宮川泰さん=1990年撮影

写真:イベント「宇宙戦艦ヤマト2199」発進式でトークをするささきいさおさん(左)と宮川彬良さん=2月18日、東京・有楽町拡大イベント「宇宙戦艦ヤマト2199」発進式でトークをするささきいさおさん(左)と宮川彬良さん=2月18日、東京・有楽町

イラスト:「宇宙戦艦ヤマト2199」より。宮川サウンドに乗ってヤマトが発進する日は近い拡大「宇宙戦艦ヤマト2199」より。宮川サウンドに乗ってヤマトが発進する日は近い

イラスト:「2199」のデスラー。この人があの国歌を歌うのか…拡大「2199」のデスラー。この人があの国歌を歌うのか…

 前回の「宇宙戦艦ヤマト2199」ぶっちゃけトーク、「うわー、盛大なネタばらしが。見るときにつっこむ楽しみが……(苦笑)」と一部の読者から渋い顔(?)をされましたが、けっこう多くの方に注目していただけたので、調子に乗って第2弾。今回は、2006年に亡くなった宮川泰(ひろし)さんが「ヤマト」に残した素晴らしい音楽について。

 1974年の第1作をリメークした「ヤマト2199」は、オリジナルへの「愛と敬意」をもって臨むと総監督・シリーズ構成の出渕裕さんが宣言した通り、音楽も宮川サウンドが爆発。オープニングはささきいさおさんが歌う「宇宙戦艦ヤマト」(作詞・阿久悠)。劇中音楽は父・泰さんの曲に息子・彬良(あきら)さんが新曲を加えた父子共作、そしてオーケストラ編成による新録音です。が、その裏に隠された思わぬ苦労を、2月18日のイベント「宇宙戦艦ヤマト2199」発進式のトークで彬良さんが明かしてくれました。

 「父の音楽は僕も大好きで、出渕さんが『使おう』と言ってくれてうれしかった。父は77曲作ったが、あれをしのぐものはそう簡単にはない。しかし残ってるテープはよれちゃって使い物にならず、譜面もどっかにいってしまって、実はない。なので僕が全部、耳でコピーして2カ月かけて譜面にした。僕の作ったのは全体の3分の1くらいで、父のと取り混ぜてお届けする。26話(「2199」は全26話を7章に分けて劇場公開する)にこんなにいるの?というくらい、たくさんの音楽を作りました」

 あの壮大でシンフォニックな楽曲を耳コピして採譜! 気が遠くなるようなお話ですが、イベントで拝見した第1話の音楽は違和感ゼロ、完璧な宮川サウンドでした。さすが父子、というべきでしょうか。彬良さんはあるインタビューで、採譜のため聴き直した父の音楽についてこう話しています。「当時1カ月という短い期間で父はこの楽曲全てを作曲したのですが、まさしくそれは『神が宿った1カ月』だったのです」。今風に言えば神曲(かみきょく)? それがきちんと楽譜として残され、新録音でフレッシュによみがえったというだけで「2199」の功績大、と言うべきではないでしょうか(まだ公開前なのに気が早いかな?)。

 イベントのトークでは「父の『ヤマト』の音楽はクラシックと思われがちだが7割5分はロック」「父も私もプログレッシブ・ロックのELPというグループが大好きで、父の曲は4度を積み上げるトライアド(三和音)の使い方がELPとよく似ている」「実は『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』でパイプオルガンを弾いたのは私。高校生だったんですけど、うまく弾けなくて録音がテイク36くらいになって、しょっぱいというか辛(から)い思い出です」といった興味深いお話を、ピアノを弾きながら聞かせて下さいました。

 宮川泰さんの作った曲の中に「新コスモタイガー」というのがありまして、戦闘機が活躍するシーンに流すというよりはキンキラ羽根飾りのレビューショーか何かの方がよっぽど似合うんじゃないか、というくらいノリノリの華やかな曲で私は大好きなのですが、この名曲に関して出渕さんの口から衝撃的な発表が。

 「2199でこの曲を使うに当たり、榎本さん(チーフディレクターの榎本明広さん)が『これにワンダバを乗せてくれ』と言い出して。『これはワンダバが合うはずだ』と。僕じゃなく榎本さんのオーダーですからね」

 「ワンダバ」とは、「帰ってきたウルトラマン」のMAT出撃シーンにかかる冬木透さん作曲の男声コーラスを元祖・お手本とした、特撮・アニメなどの防衛軍出撃シーンみたいなところにかかるそれっぽい音楽の総称ですが、いやなにも「ヤマト」に使わなくっても……。「ワンダバの入ったコスモタイガー、聞いてみて下さい」といって会場に流れた音楽は、アレ?そんなに変じゃない。

 彬良さんも「嫌じゃあない。すごくいいかは別として」なんておっしゃっていましたが。

 続いては、出渕裕作詞、宮川彬良作曲、ガミラス国歌「永遠に讃えよ我が光」!

 ガーレ・ガミロン! たたえよ〜祖国の勝利を〜

 出渕さん「この歌をかけるところは決めてます!」って、いったいどんな場面に使うつもりなんでしょうか? やっぱり「立てよ国民よ、ガーレ・ガミロン!」と拳を突き上げるんでしょうか?

 というわけで、前回に引き続き、本欄を読んで心がざわざわした方は「宇宙戦艦ヤマト2199」にぜひご乗船下さい(同じオチですみません)。

プロフィール

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小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。2010年10月から名古屋報道センター文化グループ次長。

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