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2012年6月4日
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あじわい夕日新聞

平井堅さんの奇蹟

文:原由子

写真:20年の時を超え共演拡大20年の時を超え共演

 先日、断捨離(だんしゃり)しよう! と思い立ち、家にあった膨大な量の古いカセットテープを整理していた時の事。手伝ってくれていたスタッフが小さくたたまれた紙を発見しました。表に「桑田佳祐様、原由子様」と書かれた紙を広げてみると、そこには自宅にテープを持って来て申し訳ないという事。自分は横浜に住む20歳の大学生で、デビュー以来のサザンファン。サザンのメンバーになるのが夢だったがそれは無理だと思うので、バックコーラスとして使ってほしいといった事が書かれていました。そして最後になんと「平井堅」という名前が!

 そう言えば、以前、平井さんとテレビ番組でご一緒した時に、うちの門の上にデモテープを置いて来た事があるとおっしゃっていたのを思い出しました。そのテープの事は、失礼ながら全く覚えがなかったのですが、なぜかちゃんとうちのテープ庫に入っていたのです。ただ、そのテープ自体には何も書かれていなかったので、今回記憶にないテープは思い切って断捨離! の対象として、処理しようとしていたところでした。

 手紙が入っていた事で20年ぶりに発見されたテープ。プロコル・ハルムの「青い影」と、ビリー・ジョエル「ニューヨークの想(おも)い」の2曲を熱唱するのは、紛れもなく平井堅さんの声。さすがの歌唱力にびっくりすると同時に、それから20年がたち、今や輝くポップスターとなった平井さんの事を思うと胸が熱くなりました。

 桑田に報告すると、さっそくその晩の「桑田佳祐のやさしい夜遊び」(TOKYO FM)で話題に。そして5月19日には、ご本人登場。そのテープを置いた時の事、テープは横浜のライブハウスで18歳の時に録音したものだという事など語って下さいました。平井さん、20年ぶりに手紙を読み、テープを聴いて泣いたそうです。その歌声をリスナーの皆様にも聴いて頂き、生歌コーナーでは、「大きな古時計」とサザンの「慕情」をデュエット。

 最近読んだ東野圭吾さんの「ナミヤ雑貨店の奇蹟(きせき)」は手紙が時空を超える話で、サザンが登場したり、音楽を志す青年の話もありますが、現実にこんな事があるなんて! 20年前の平井さんにとってはまさに奇蹟のような事が起こったのですね。

プロフィール

写真

原 由子(はら・ゆうこ)

サザンオールスターズのキーボーディストとして1978年デビュー。ソロアーティストとしてもアルバム『MOTHER』『東京タムレ』などを発表している。

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