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女のはしょり道(伊藤理佐)

2009年1月23日

  • 筆者 松尾慈子

表紙女のはしょり道[作]伊藤理佐

 松の内があけてしまいましたが、あけましておめでとうございます、本年もよろしくお願いいたします。

 そんなこんなで新年一回目、「またかよ!」と言われてしまいそうですが、三度目くらいの登場、伊藤理佐です。許してください、私が好きなんですから。なにしろ年末に朝日新聞の広告で「おんなの窓2巻」(文藝春秋)の発売を知って、その1時間後には本屋に走ったほどの伊藤マニアなんですから。ついでにいうと、その帯で「女のはしょり道」の出版を知って、一軒目の本屋で売り切れで二軒目にはしごしたくらい好きなんですから。

 というわけで、「女のはしょり道」。ナニをはしょるかというと、ズバリ、美容。「キレイのために手間ヒマ惜しむ!?」と帯にある。なんとばりばりの女性誌「VoCE」で連載中だという。すっぴんに木綿の服で一戸建て用の土地を買いに行った伊藤理佐が、すっぴんで長野まで帰れる伊藤理佐が、美容の連載。伊藤マニアだからだけでなく「これなら私にもまねできるかもしれない」という下心をもって読んでみた。

 何しろ私も美容ベタ、つうか全然しない。昨年化粧したのは、何を隠そう3回だけだ。5年以上前から持っている化粧品がいつまでも減らないので、いつまでもそれを使い続けている。ついでにいうと、風呂上がりのスキンケアは、ワセリンの「サン・ホワイト」一本。顔にも手のあかぎれにも足のかさかさにもこれ一本。それでも全然不都合を感じない。そんな私に「女のはしょり道」はぴったりな本だと思ったわけだ。

 本書を読んで比較してみると、伊藤理佐は決して美容に興味がないわけではない。週の半分は化粧をするという。私、断然負けてる。ちなみに、伊藤理佐と私は同学年、シミとしわが気になるお年頃。伊藤は本書の中で、「シミが消えた」と聞いて手作り化粧水を作ってみたり、黒目を強調するコンタクトを入れてみたり、8000円もする化粧ポーチを買ってみたりしている。そう、はしょりたいなら多少の出費は仕方ないのよね。

 しかし、その苦闘は、手作り化粧水によって吹き出物がでたり、黒目の異様さを妹に指摘されたりして、報われたり報われなかったりしている。とりあえず、意欲に満ちているという点で、私は伊藤理佐に完全に負けている、っていうか勝負にもなってないぞ。

 私が好きなのは「うんこ」の回だ。「うんこ」といってもまとめ髪の話。前髪のばし中の伊藤が、いきつけの美容院で「前髪をピンでとめるやつやってみて〜」とお願いしてできたのが、「うんこ」。美容師の女の子の指導で、ふたつに分けた前髪を「みたこともないようないいうんこを盛るように 立体的でナチュラルな巻き方で」くるくるとしてピン二つでとめたら、ほ〜ら、かわいい前髪のできあがり! そうか〜うんこか〜。前髪のばし中の私も鏡の前でやってみたが、確かにうんこなら私も上手にできる・・・すばらしい、うんこ。

 しまった、新年早々、うんこを連呼してしまったよ、すみません。ところで伊藤は漫画家の吉田戦車と結婚して「仕事が減る〜」とおびえていたが、年末に単行本が3冊もでてそれも杞憂に終わったようでなによりだ。本書にもときおり吉田戦車が登場し、その作風とは全く違ったおとなしくて健康的な(歩くのが好きらしい)素顔をみせている。「結婚で幸せになるとは限らないから大丈夫大丈夫」と吉田戦車に言われてショックを受けた伊藤だが、幸せになっても仕事が減るとは限らないから大丈夫大丈夫。

プロフィール

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松尾 慈子(まつお・しげこ)

1992年朝日新聞入社。金沢、奈良支局、整理部、学芸部などを経て、現在、名古屋本社報道センター記者。漫画好き歴は四半世紀超。一番の好物は「80年代風の少女漫画」、漫画にかける金は年100万円に達しそうな勢いの漫画オタク。

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