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2011年5月20日
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漫画偏愛主義

仕事女が描いた高齢出産記 ヒゲの妊婦(43)(ひうらさとる)

文:松尾慈子

表紙:ヒゲの妊婦(43)[作]ひうらさとる(講談社)拡大ヒゲの妊婦(43)[作]ひうらさとる(講談社)「ヒゲの妊婦(43)」を楽天で検索

イラスト:(C)ひうらさとる/講談社拡大(C)ひうらさとる/講談社

イラスト:(C)ひうらさとる/講談社拡大(C)ひうらさとる/講談社

 三十路をとうに過ぎ、40代になると、友人との会話でしばしばあがる話題がある。ずばり、「私たち、いつまで子ども生めるのかしら」。

 男性諸兄にはピンとこないかもしれないが、妙齢の女性たちは出産のタイムリミットをひしひしと感じているのである。女性が出産できる年齢には限界がある。そんななか、ひうらの本作は「43歳で妊娠、出産した実録漫画」なのである。我々が読まずにおられようか。

 ひうらといえばドラマにもなった「ホタルノヒカリ」で大ブレークした人気漫画家。本人の似顔絵がヒゲつきで描かれるように、男並みに仕事最優先で生きてきたという「ヒゲ度」の高い人生。それが、40過ぎて結婚し、妊娠を確認。超音波で胎児の心臓を見てから、「ホルモンきたーー」という。街がきらきら光ってみえて、祝福されるような感覚につつまれたという。ヒゲ漫画家がヒゲつきママになるまでの日々をつづっている。

 妊娠が判明すると「まずはマニュアルから!」と大量に妊娠・出産本を買い込むところが、実に男らしい。そして次々できるママ友と情報交換し、マタニティースイミングにも挑戦している。実にアクティブなのだ。

 それにしても43歳の超高齢出産。ひうらの母が妊娠報告をした近所のおばちゃんの反応が実にいい。「ええええ!? あの漫画家のお姉ちゃん!? ごっつ歳やなかった!? 大丈夫やの!?」。そうだよね〜。いくら見た目若くても、見た目と肉体年齢は別だからね〜。

 多方面からの心配をよそに、つわりもトラブルもないまま安定期に突入。体重増加を気にしつつも、育児に忙しくなる前の最後のお休みとして妊娠後期にはグルメに走る。そしてとうとう出産、麻酔を入れてもらって和痛分娩(ぶんべん)で「ヒゲ漫画家」ひうらは「ヒゲのおかん」に変化した。そう、おかんにはなったものの、出産1カ月後に仕事をいれるなど、やっぱりひうらは「ヒゲ度」高かったのだ。

    ◇

 本題とは関係ないが、巻末のひうらとおかざき真理の対談で明かされた真実に衝撃を受けた。ドラマ化された「サプリ」で有名な人気漫画家のおかざきは、3人の子どもをかかえながら何本もの連載を持ち、しかも乳児期には保育園に入れることができずに自宅で育てながら連載を続けていたのだという! いやもうスーパーママ漫画家だわ〜。

 さらに本題とは関係がないが、ぜひ一言言わせていただきたい。ひうらのケースはあくまでも「43歳でも自然妊娠・出産できる人はできる」という話なのだ。私の知人で42歳で出産した人は2人いるが、一方で別の友人は30代半ばから流産を繰り返している。本当に、子どもというのは天からの授かりものなのだなあ、と思うのだ。

プロフィール

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松尾 慈子(まつお・しげこ)

1992年朝日新聞入社。金沢、奈良支局、整理部、学芸部などを経て、現在、大阪編集局記者。漫画好き歴は四半世紀超。一番の好物は「80年代風の少女漫画」、漫画にかける金は年100万円に達しそうな勢いの漫画オタク。

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