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いろんな男がいるもんだ 婚活の達人(たまきちひろ)

2011年8月26日

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表紙:婚活の達人[作]たまきちひろ(講談社)拡大婚活の達人[作]たまきちひろ(講談社)「婚活の達人」を楽天で検索

イラスト:(C)たまきちひろ/講談社拡大(C)たまきちひろ/講談社

イラスト:(C)たまきちひろ/講談社拡大(C)たまきちひろ/講談社

 「足かけ4年超! 出会った男の数500人超」。実際に婚活を体験した漫画家・たまきちひろのエッセー漫画だ。合コン、お見合いパーティー、知人の紹介、神頼み。結婚目指して邁進し、見事マッチョ、料理好き、イケメンな夫をゲットするまでをつづっている。

 一読して、いろんな男がいるもんだ、というのが私の最初の感想である。部屋に入るにはゴミの山を登らねばならない汚部屋な男、他の女と同居中の家に連れ込む男。そして、「会いたいですね」といいながらも全くアプローチをしかけてこない男……。こんなのに会っていたら、そりゃ婚活の迷宮に入り込むだろうよ。

 たまきはしばしば、結婚とはなんぞやという命題に悩む。婚活の準備に、「24枚のカード」というのがあるそうだ。自分が結婚相手に望む条件、例えば「次男」「定職あり」「背が高い」などを1つずつ1枚に書いていき、それらを伏せてランダムに2枚開いて戦わせていき、最後に残った1枚が「一番大切な条件」なのだという。

 たまきは「家が近い」が残ったそうだ。この時点で、たまきは自分の結婚観について考え直すべきだったのだ。婚活とは、結婚がゴールなのであり、男女交際が目的なのではない。結婚すれば多くの場合には同居するであろうから、現在の家が近かろうがどうでもいいのでは。結局、たまきは条件のそろった男と交際にいたるが、結局「セカチューの映画がみたい」と言われた時点で「ごめんなさい」をしている。そう、人は条件のみにて生きるにあらず、なのだ。

 婚活を続け、「一人で生きていくのもいい」という境地に至ってようやく、たまきは運命の人とめぐりあう。そこから先はとんとん拍子で、静かな達成感とともに婚姻届に判を押す。と、物語はそこで終わらない。あとは読んでのお楽しみ、だ。

 章ごとに、「婚活お悩み相談室」と題してたまきが女性からの相談に答えるコーナーがある。「婚活、どれをやればいいの?」との質問に、たまきは「婚活界において大事なものは数字。つまり男は年収、女は年齢。ということは、この瞬間にもキミの価値は下がりつつあるわけだ。とにかく始めるんだったら、早くやれ」と答える。そうなんだ、そうなんだね。人の価値は数字では決められないけれど、婚活現場では数がすべてなんだね。

 このように、過酷な婚活の様子がリアルに描写されている。婚活を理解したい、という人にはオススメだが、これから婚活をしようという人には、少々刺激が強すぎるかもしれない。

プロフィール

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松尾 慈子(まつお・しげこ)

1992年朝日新聞入社。金沢、奈良支局、整理部、学芸部などを経て、現在、大阪編集局記者。漫画好き歴は四半世紀超。一番の好物は「80年代風の少女漫画」、漫画にかける金は年100万円に達しそうな勢いの漫画オタク。

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