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2012年3月9日
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漫画偏愛主義

実直な弁護士がイジられ役にぴったり 一生続けられない仕事(山田ユギ)

文:松尾慈子

写真:一生続けられない仕事[作]山田ユギ(竹書房)拡大一生続けられない仕事[作]山田ユギ(竹書房)〈山田ユギ『一生続けられない仕事』を検索〉

写真:(c)山田ユギ/竹書房拡大(c)山田ユギ/竹書房

写真:(c)山田ユギ/竹書房拡大(c)山田ユギ/竹書房

 1巻の発行から1年たってようやく昨年末に2巻が出た。久々の山田ユギの新刊だ!と思って手に取ってあとがきを読んだら、驚いた。え〜!山田ユギさん、病気療養中なの? 今年の夏に復帰予定? どうりで、数年前まで馬車馬のように働いていたのに、発刊ペースがぴたっと止まったと思った。量産していても、決して作品のレベルを落とさない人だったのに。ヤマシタトモコも入院していたし。人気漫画家は健康を損ないそうであぶないです。どうぞお大事にしてください。

 タイトルが印象的なのだが、主人公をはじめメーンの4人の男性陣、みな弁護士。「一生続けられる仕事じゃん」とツッコミたくはなるが、ユギ作品の登場人物はみんなきちんと仕事をしていて好ましい。

 主人公・早坂は、修習生時代に指導を受けた先輩弁護士・三上の仕事ぶりにひかれて事務所に入所。ところがそこには元検事で共同経営者の片山がいた。片山にイジられながらも仕事を覚えていく早坂だが、三上にはどうやら苦い過去があるようで、どうにも気にかかる。

 早坂が実直な性格のメガネ青年で、周囲に愛されながらもイジられる役回りにぴったりだ。早坂と修習生同期だった森が、早坂に隠れて三上と関係を持つのがなんともやりきれないように思うのだが、掲載誌がハードなエロが売りの「麗人」だから仕方がないのか……。

 「ありえない二人」で当て馬にされたイイ男・水野のその後を描いた「ありえない二人 その後のふたり」「秘密のピーチパイ」が本作2巻に収録されていて印象的だ。いずれも2ページ、4ページの短編なのだが、短い中に笑いと愛情を詰め込んでいて、山田ユギの持ち味を最大限に発揮している。そうなのよ、イイ男はカッコつけてるんじゃなくて、ちょっと落としておかなくちゃね。

 しかし、2月はBL好きにはアタリの月だった。今、私がイチオシのBL漫画「恋する暴君」(高永ひなこ)の先輩がついに! 8巻でついに恋に落ちたし! 日高ショーコの「初恋のあとさき」もエロいし! 腰乃の「部活の後輩に迫られています」は定番の年下ワンコ攻めだが、やっぱりおもしろかったし。「恋する暴君」は発売日に開店と同時に本屋に入り、まだ梱包(こんぽう)をほどかれてない山の中から「出して」とお願いして買ったほどだ。どんだけ好きなんだ、私。しかし、これだけアタリが続くと、一抹の寂しさも。漫画というのは量産できないものなのよね。好きな作家さんの発刊が続くと、次の発刊までかなり待たねばならないこのつらさ。いや、出してもらえるならいくらでも待ちますけどね! 病気療養中というユギさんも、ぜひ全快されての新作をお待ちしております!

プロフィール

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松尾 慈子(まつお・しげこ)

1992年朝日新聞入社。金沢、奈良支局、整理部、学芸部などを経て、現在、大阪編集局記者。漫画好き歴は四半世紀超。一番の好物は「80年代風の少女漫画」、漫画にかける金は年100万円に達しそうな勢いの漫画オタク。

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