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2012年10月5日
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漫画偏愛主義

オタク漫画家、魂の叫び 裸で外には出られない(ヤマシタトモコ)

文:松尾慈子

イラスト:裸で外には出られない[作] ヤマシタトモコ(集英社)拡大裸で外には出られない[作] ヤマシタトモコ(集英社)〈『裸で外には出られない』を検索〉

イラスト:(C)ヤマシタトモコ/集英社拡大(C)ヤマシタトモコ/集英社

イラスト:(C)ヤマシタトモコ/集英社拡大(C)ヤマシタトモコ/集英社

 「オタクがバレない格好がしたい・・・」

 この魂の叫びに、どれだけのオタク女子が共感するだろうか。表題作は、おしゃれでも実用的でもない、ファッションエッセーコミックなのだ。漫画家ヤマシタが服に迷走する様子がつまびらかに描かれている。

 高校生ダンス漫画「BUTTER!!」などで人気のヤマシタ。そのオシャレな登場人物たちから想像して、「さぞかし、ご本人もかっこいい人なんだろう」と私は思っていたが、この本を読んでびっくり。「幼少から漫画が好きで(中略)果ては漫画家になる程度にオタクなのですが」と冒頭にあり、「そうか、漫画家になる人は漫画読んでるんだ」と改めて納得(いや、中には読まずに漫画家になる方もいらっしゃるそうですが)。そうか、ヤマシタも、おそらく私とかなりレベルは違えどオタクなのね。だってデビュー当時はBL(ボーイズラブ)描いてたしね!

 ヤマシタの魂の叫びは、ほかにも「ほめられたときどうしてます?」。おとなしく「ありがと!」って言っておけばいいものを、ヤマシタは自意識の鎧(よろい)があるゆえに「ほめてもらった所は、自分では好きだと思えない所で」と、安易に感謝の言葉を返せない。ああ、その気持ち、よく分かります。私はほめられたことは人生2回くらいしかないけれど。

 しかし、ヤマシタの手持ちのパンツの大半がサルエルとは驚いた。サルエルって、太もものところが太くなったズボンなのだが、これって、ホントにやせた人でないと似合わない。とりあえず、私には超絶似合わない。ヤマシタは長身痩せ型だそうで、それで納得。私にみたいなチビには絶対無理だ。ついでに、ヤマシタが持っているパンツの一つ、スキニー(脚に密着するタイプのズボン)。私は姉から「脚の形がきれいな人でないと履いてはいけない」とスキニー禁止令を出されましたよ。ええ、そうでしょうとも。

 エッセー漫画以外に、短編3本が収録されているのだが、そのうちの一つ「縞々々」(しましましま)。肉欲をからめた百合モノで、なんだかよく分からないが心かき乱される。前回のコラムといい、私、最近百合モノにハマっているのかも。とりあえず、エッセー漫画と短編で、このお代なら安いもの。どうぞお手にとって見てください。

 さて、まったくの余談ですが。先日、自宅に遊びに来ていた友人がこの本を持って帰ってしまい、コラムの締め切り当日の朝になって「この本がない!」と気づきました。もう一度買い直そうと会社近くの本屋を回ったら、軒並み売り切れていて、昼休みを全部つぶして探し歩きました。とうとう見つけたのは、梅田の阪急32番街にある紀伊国屋書店。ありがとう紀伊国屋。ネット書店は便利だけれど、リアル書店は大事だとしみじみ思いました。皆様もレッツ応援!リアル書店。

プロフィール

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松尾 慈子(まつお・しげこ)

1992年朝日新聞入社。金沢、奈良支局、整理部、学芸部などを経て、現在、大阪編集局記者。漫画好き歴は四半世紀超。一番の好物は「80年代風の少女漫画」、漫画にかける金は年100万円に達しそうな勢いの漫画オタク。

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