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当コラムをお読みの方がどう思われるか分からないが、このコラムで紹介しても、本の売り上げにはまったく影響しないらしい。以前紹介した本の編集者が、偶然にも私の大学時代の友人だったのだが、彼女曰く「う〜ん、全然売れなかったね! でも、漫画家さんは紹介してもらえて、とっても喜んでたよ」。・・・え? それだけ? なんか、寂しい。
というわけで、おそらくみなさまが思っておられる以上に、このコラムは影響力がない。そして、連載開始前に、私が抱いていた「出版社から献本がいっぱい来るかも〜」という淡い期待もほとんど叶わなかった。もちろん、漫画を自腹で買うことになんの躊躇もない私だが、出版界からまったく見向きもされてないようで、少々寂しい。
そんな中、リブレ出版からは時折、オススメの本が送られてくる。表題作はそのうちの1冊だったのだが、添え状の文句が素晴らしかった。「この作品はBLではありません」。そうだよね! リブレ出版といえば、ボーイズラブ(BL)だもんね! その注意書き、必要だよね!
つい内情を暴露してしまったが、その添え状の文句に惹かれ、というわけではないが、ご紹介したい。
表題作は、トリ漫画である。しかし、観察日記でもなく、飼育日誌でもない。1匹で生きている脱力系のあひるを主人公に、シロミミキジ、アフリカハゲコウ、メンフクロウなどなど、個性的な鳥たちが、個性的な会話を交わして話は進んでいく。
「『とりぱん』(とりのなん子・講談社)?」と思うなかれ。あひるたちはしゃべり、ケンカし、本来の生態とはまったく違う生活で日々を過ごしている。今回の秋冬編なんて、あひる、シロミミキジに連れられて、山で暮らそうとしているよ!? 「無理じゃん!」って感じなのだ。
そうはいっても、自然界ではあり得ない組み合わせの鳥たちがフルカラーの画面に踊っているのは、見ているだけで楽しい。チャイロニワシドリ、ヒイロサンショウクイ、ミドリツバメなどなど、あまり知られていなかったようなカラフルな鳥たちが画面を彩る。作者が鳥をいかに愛しているかが伝わってくる。
あひるも、山に連れられていったあげくに「帰還という選択も恥ずべきことではない」と珍しく真剣な顔で宣言し、その後またのんきな顔をして帰って行くのも、悪くない。日々、緊張を強いられている私たち、これくらいの脱力系でいいのかもしれない。前作の「春夏編」が5刷も増刷しているというから、この脱力、ハマる人にはたまらないのかもしれない。
ところで表題作は「クロフネZERO公式サイト」で掲載されたものをまとめたものなのだ。クロフネZERO・・・私にとって、少女漫画なのか、どこに位置づけていいのか分からない雑誌だったが、そうか、「ぢべたぐらし」もそこに入るのか。意外な気もするが、複雑な心境だ。

1992年朝日新聞入社。金沢、奈良支局、整理部、学芸部などを経て、現在、大阪編集局記者。漫画好き歴は四半世紀超。一番の好物は「80年代風の少女漫画」、漫画にかける金は年100万円に達しそうな勢いの漫画オタク。