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ドラマー・小笠原拓海(3) もう一人の山下氏

2009年9月30日

 プロドラマーになるということは、非常にアバウトなことです。プロ試験や資格というものはないし、おそらく自称で成立するでしょう(笑)。18歳で仕事をし始め、本格的にプロになったのは山下洋輔ニュー・カルテットに参加してからです。そんな自称プロの最中に、音楽界のもう一人の山下氏(山下達郎)に出会うという、なんとも凄(すご)すぎる縁がやってきます。

 自分のバンド「HIPCHICK(ヒップチック)」のライブに、メンバー市原ひかり(トランペット)のサウンドプロデューサー佐藤博さんがいらっしゃって、それがきっかけで山下達郎さんのオーディションに行くことに。でも、実際にはオーディションとは聞かされておらず、ただ「セッションしよう!」的な感じでした。高校の時に達郎さんのCD「COZY」などを聴いていた僕にとっては夢のようでした。

 何度かスタジオに通っていると、ライブの話がちらほら出てきて、気がつくとツアーの話に発展。正直、あまりの事の大きさに現実のこととは思えなかったです。それから始まった達郎さんのリハーサルで色々なことを教わりましたが、基本やテクニックより、いかに音楽的な表現をするか(していくか)ということがほとんどでした。

 先輩方は、演奏中の音には厳しいですが言葉は優しいですし、何より愛情を感じました。それに対し120%の努力で応えるのに必死でした。ほぼ1カ月のリハーサル後、50本という物凄いツアー。色々なことを試し、体感し、良くなっていく……、日々勉強でした。

 プロとして仕事をし始めた日からの方が、楽しいし、夢中で上手(うま)くなろうとしている感じで、気持ち的には仕事っぽくないのです。それは山下洋輔さんや達郎さん、そして札幌時代の師匠(ドラムの新村泰文氏)、大学の恩師(ギターの梶原順氏)から学びました。彼らは本当に楽しんでいますからね。

 責任や重圧は当然ありますが、いつも楽しんでいたいと思います! それが聴いているお客さんに伝わり、大きなものが生まれていく気がしますから。

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