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写真家・三吉ツカサ(2) バンドの今が撮りたい

2009年11月25日

写真メキシコ時代の写真仲間ヘラルド(右)と僕。彼の子供の誕生パーティーで=97年

 15歳からロックバンドのライブ写真を撮り始めた僕は、受験の苦労も知らず高校(中高一貫の自由の森学園)に入ってからも、相変わらずライブハウス通いを続けていた。

 高校2年になる頃には学校に行くのがだんだん面倒になってきた。初めて学校以外の世界とのつながりができて、そっちの方が楽しく思えたからかな。でも学校を辞めるつもりもなかったので、1年間留学することにした。行き先はメキシコ。あんまり深く考えなかったけど、アメリカじゃない国のほうが楽しそうだと思って、その隣のメキシコにしたという感じ。

 でも行ってみたらスペイン語は分からないし、それまでロクに授業に出なかったせいで英語も全然しゃべれない。最初はとにかく聞いて覚えるだけ。初めて真剣に勉強したんだと思う。3カ月くらいたって英語もスペイン語も少しずつしゃべれるようになってきた頃、現地の写真家に声を掛けられて友達になった。彼の所有する暗室を使わせてもらい、弟子たちと一緒に現像やプリント技術を教わった。毎日毎日写真を撮った。だから結局、メキシコでも学校には全然行かなかったんだけど。

 現地で撮っていたのは主に人物や風景で、東京の頃のようにライブハウスに通うことはなくなっていた。でもある日、日本の雑誌社から連絡が来た。「今度AIR JAMという大きなイベントがあるので撮影してほしい」と。それは僕が15歳の頃から撮っていたスーパー・ステューピッド、ハイ・スタンダードなどいくつものバンドが自主的に始めた、日本初のパンクフェスティバルだった。留学中に戻ることはできないルールだったから、行けないことがものすごく悔しかった。彼らの今を見たいと切実に思った。

 メキシコで大きな音楽祭が開かれた時には、なんとか取材申請を書いてもらって、海外からのカメラマンたちと一緒にライブを撮った。彼らが撮っている姿を横で見られたことが勉強になったし、僕は何より音楽が、生のライブが撮りたいんだと、強く思ったことを覚えている。

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