もうすぐ夏休み。今年も映画界はアニメや特撮の力作が目白押しだ。話題作を追ってみた。
日本のアニメーション界を引っ張ってきた大物2人が、共に「子供」を主人公とした新作アニメを4年ぶりに公開する。宮崎駿監督の「崖(がけ)の上のポニョ」(19日公開)と押井守監督の「スカイ・クロラ」(8月2日公開)だ。
「ポニョ」は5歳の少年と、「人間になりたい」と願う魚の子ポニョとの交流を描く。かつて海洋生物が繁茂した古生代の海を理想とする勢力により育てられたポニョは、果たして「敵」である人間になれるのか……。「人魚姫」を下敷きにした物語が、すべて手描きによる美しくなめらかな動画で表現される。画面の隅々で細かく動きまくる海洋生物の描写も注目に値する。
「スカイ・クロラ」は思春期から永遠に年をとらない子供「キルドレ」たちの物語。彼らは戦争以外では死なず、大人たちが平和を実感したいがゆえに必要としている「ショーとしての戦争」にパイロットとして出陣していく。原作は森博嗣の小説。空中戦を精密な立体アニメで、地上生活を淡い平面アニメで描き分けた映像が、主人公たちの心象を表している。
「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」(12日公開)もまた、人間と妖怪、二つの世界で板挟みになる少年(鬼太郎=ウエンツ瑛士)の物語といえようか。昨年、好評を博した実写版の第2弾で、猫娘(田中麗奈)やねずみ男(大泉洋)といった前作の主要メンバーが再結集。こちらも寺島しのぶ演じる「人魚」が、対立する世界の象徴として登場する。敵役「ぬらりひょん」の緒形拳が重厚な演技を見せている。
米国アニメは動物たちが大活躍。「カンフー・パンダ」(26日公開)は、カンフーマニアなのに体はぶよぶよ、心はぐうたらなパンダが、ひょんなことからカンフーの「最強戦士」に指名されたことから起こる大騒動。虎、猿、カマキリ、鶴、蛇らがそれぞれ自らの体を生かした技を繰り出し、往年の香港カンフー映画を思わせるスピード感あふれる動きを見せている。
「ホートン ふしぎな世界のダレダーレ」(12日公開)は「ファインディング・ニモ」などを手がけたスタッフによるファンタジー。ジャングルに生きる象のホートンが、ほこりのように小さな国「ダレダーレ」の住民を救うべく奮闘する。原作は人気絵本作家ドクター・スース。
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現実の催しと微妙にからむ異色作を二つ。
41年前、松竹唯一の怪獣映画としてつくられた「宇宙大怪獣ギララ」がなんと、洞爺湖サミット開催中の北海道に来襲した。河崎実監督「ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発」(26日公開)は歴史に埋もれかけた不遇の怪獣をよみがえらせた意欲作。ギララの来襲に各国首脳は怪しげな秘策を繰り出すのだが、ことごとく失敗。万策尽きたかに思われた状況を救ったのは某有名コメディアンを思わせる神様だった!? 先日亡くなった映画評論家、水野晴郎も一瞬、姿を見せている。
「東京オンリーピック」は日本発の架空スポーツ競技の一大祭典。架空競技ドキュメンタリー「スキージャンプ・ペア」の真島理一郎が総監督となり、12競技の模様を「実況」する。母親をハンマー投げよろしく遠投する「男子親離れ」(真島監督)、重さ10キロの鉄球をカゴに入れる数を競う「男子鉄球玉入れ」(中野裕之監督)、土俵のなかで「サムライ」と叫ぶ際の発声や美しさを競う「サムライコール」(古屋雄作監督)など、とんでも競技が続出。くしくも北京五輪と同じ8月8日から東京・新宿のバルト9で「開幕」する。(野波健祐)