現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 映画・音楽・芸能
  4. マンガ+
  5. 記事

マリオ・ドラクエ…ゲームはリメイク人気 定番感が売り

2008年11月6日

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真スーパーファミコン版「ドラゴンクエスト5」の画面 (c)1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/CHUNSOFT/SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.写真DS版「ドラゴンクエスト5」の画面 (c)2008 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/ARTEPIAZZA/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

 「ドラゴンクエスト」など名作と言われるゲームソフトが、新型機向けに作り直されるたびに大売れしている。「リメークブーム」だ。子供時代に遊んだ往年のソフトの親しみやすさが、最新技術を駆使した新作よりも大人たちをひきつけている。メーカーは低リスク・高リターンを見込めるが、新作の開発がおろそかになる心配もある。

 「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」の2大看板シリーズを抱えるスクウェア・エニックス・ホールディングス(スクエニ)は4日、08年9月中間期の連結利益予想を大幅に上方修正した。純利益は60億円で、5月時点での予想の2.4倍に上る。中間決算で過去最高益の任天堂と並び「不景気に強いゲーム業界」を印象づけた。

 スクエニが「貢献度が大きかった」というのが、その任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」向けに作り直して7月に発売した「ドラクエ5」だ。

 主人公になりきって冒険するドラクエ。「5」は92年、任天堂の据え置き型「スーパーファミコン」で発売された。最初の「リメーク」は04年。ソニー・コンピュータエンタテインメントの据え置き型「プレイステーション(PS)2」向けだった。まさに定番ともいえる人気作品だが、今回のDS版も約3カ月だけで116万本も売れた。 飽きさせない工夫も施してある。大手通信会社に勤める東京都内の男性(32)は、主人公が女性2人から結婚相手を選ぶ山場で「第3の女性」が加わるDS版だけのシナリオ変更にひかれたという。「最近のゲームは複雑だけど、ドラクエなら安心」。定番の安心感とほどほどの新味。これが強みだ。

 ゲーム関連出版大手のエンターブレインによると、DS向けソフトの累計販売本数の上位20本のうち3本がリメークで、いずれもミリオンセラー。上位は「任天堂かリメークか」という状況だ。

 ブームのきっかけは、任天堂の初代機「ファミリーコンピュータ」のソフトなど30本を作り直した「ファミコンミニ」。04年のことだ。85年に社会現象になった「スーパーマリオブラザーズ」が20年近くを経てよみがえった。約130万本も売れ、「良いものは年月を経ても受け入れられると確信できた」(任天堂)。

 04年末には、DSと「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の2大携帯型ゲーム機が相次ぎ登場。一昔前の据え置き型並みの性能を持つため、旧作を復活させる商機が広がった。任天堂は、最新の据え置き型「Wii」でも歴代ソフトをダウンロードできる機能を設け、約400タイトルを売っている。

■ソフト開発「先細り」

 ゲーム業界に詳しい岡三証券の森田正司シニアアナリストは、リメークが(1)シリーズを全部そろえたいマニア層(2)子供のころ遊んだゲームをもう一度やりたい層(3)初めて遊ぶ若年層――に受け入れられていると分析する。特に、80〜90年代にゲームで育った世代は、大人になって仕事などでゲームに割ける時間は減っているだけに、すぐに入り込める安心感が魅力になっている、と見る。最新技術を駆使した新しいソフトには「消費者のニーズを超えてしまった部分がある」からだ。

 メーカーにとって、リメークは低リスク・高リターン。ソニーの最新の据え置き型ゲーム機「PS3」などは、実写並みの映像や音響を楽しめる。とはいえ、こうした主力ソフトの開発費は、30億円以上に膨らむことが多い。一方、シナリオ制作などの費用を削れるリメークなら、主戦場の携帯型向けの開発費は1億円未満ですむ。

 ただ、うまい話ばかりではない。名作の復刻に力を注げば、新作に取り組む制作者がその分、減る。ゲーム大手社員は「リメークが売れるなら、大型ソフト開発は先細る」と言う。さらに、往年の名作は有限だ。エンターブレインの浜村弘一社長は「マリオやドラクエほどの大ヒットになるリメーク候補は、もう少ない」と話す。新たに名作を生まないことには、いつか行き詰まる。

 スクウェア・エニックスの和田洋一社長は「ゲームは単価が高いので中身の分からない作品の購入に消費者が慎重になる傾向があったが、今後はネットなどを通じて、新作でも内容を消費者に十分に伝える手段を充実できる」。目指すは「脱リメーク」だ。(斎藤徳彦)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内