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「小池さん」も食べた? トキワ荘ゆかりラーメン店健在

2009年6月14日

写真「松葉」のラーメンを差し出す山本麗華さん=東京都豊島区南長崎3丁目

 1950年代に手塚治虫氏や赤塚不二夫氏ら著名な漫画家らが住んでいた東京都豊島区のアパート「トキワ荘」。若き漫画家らがよく通った近くの中華料理店「松葉」は、今も全国の漫画ファンが訪れる店として知られる。脳梗塞(こうそく)で倒れた2代目店主に代わって中国出身の妻が、ラーメンの味を守り続ける。

 「松葉」は創業約60年。トキワ荘に住んでいた藤子不二雄(A)さんの自伝的漫画「まんが道」では、主人公の2人が「ンマーイ!」と声を上げてラーメンを食べるシーンなどにたびたび実名で登場する。

 客席は22ほど。27年前に解体されたトキワ荘にゆかりの深い店では、現存する唯一の店だ。人気メニューは、さっぱりしたしょうゆ味の定番「ラーメン」(480円)。来店者の9割が注文する。

 つくるのは山本麗華さん(45)。中国・福建省の出身で、2代目店主の一廣さん(57)と91年に結婚した。本格的な料理をしたこともなく日本語もわからないまま、見よう見まねで、一廣さんの手伝いを始め、作り方を覚えていった。

 危機が訪れたのは、2年前の7月。一廣さんが脳梗塞で倒れた。麗華さんは、夫の身の回りの世話をしながら、店を切り盛りするようになった。長女の桃子さん(15)や親類、近所の人たちも店を手伝ってくれて、「なんとかなってるよー」という。

 「本当によく働いてくれている。頭が上がらない」という夫にも、「言葉がわからないのは大変だけど、働くのは大変とは思わなかったよ。一生懸命働こうと思ってたしねー」と屈託がない。

 商店の数が20年前の3分の1になったという地元商店街では、長年の要望活動が実り、4月に近くの南長崎花咲公園にトキワ荘の記念碑ができた。「漫画家の聖地巡礼」として地元の商店街を訪れる人が増えるなか、「松葉」は、「まんが道」を読んだ全国のファンが足を運ぶ店として期待も大きい。

 麗華さんは「忙しくなった。つらいねー」と笑いながら、長年続く伝統の味を守り続けている。(中野真也)

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