現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 映画・音楽・芸能
  4. マンガ+
  5. 記事

映画「マイマイ新子と千年の魔法」 片渕須直監督にきく

2009年11月20日

写真「マイマイ新子と千年の魔法」の新子(左)と貴伊子写真片渕須直監督=東京都内

■死の影重ねて輝く生 昭和30年代の子供 生き生きと

 高樹のぶ子の自伝的小説をアニメ化した映画「マイマイ新子と千年の魔法」が、21日から公開される。昭和30年代の山口・防府を舞台に、2人の少女の健やかな成長をまっすぐに描く。片渕須直監督は「子供と世の中の接点に『死』を置く原作の構成にひかれた」と話す。

 快活な小学3年生の新子は引っ込み思案の転校生・貴伊子に興味を抱き、半ば強引に友だちになる。幼い頃の母の死をひきずる貴伊子は、新子や悪ガキたちと野山をかけるうちに明るくなっていくが、みんなで可愛がっていた金魚が死に、ショックを受ける。

 「原作『マイマイ新子』は26のエピソードすべてに死のイメージが入っている。昭和30年代にはまだ、死は病院に隔離されたものではなく、身近な暮らしの中にあった。一生懸命に遊ぶ子供たちの隣に死の影を置くと、キラキラした生が輝いてくる。映画では子供たちのホッペをうんと赤くし、その輝きを強調した」と片渕監督。

 生活用品、風俗、町並みなど昭和30年代の防府周辺を入念に調べ上げた。原作者の高樹は映画を見て、「子供時代の家の周囲360度の風景が、記憶通りに再現されている」と感嘆した。

 「アニメは想像力で何でも描ける。でも史料を調べると我々が想像もできない面白い事実が見つかる」と片渕。「例えば当時、あの辺りの畑には養殖場から逃げた食用ガエルがたくさんいたらしい。こんなこと思いつかない。映画のクライマックスには、カエルの大合唱を入れました」

 手厚い生活描写に温かみのあるキャラクターは、名作アニメを思わせる。新子は、ハイジのような朗らかさで貴伊子の元気を取り戻し、赤毛のアンのような想像力で、千年前にこの地の国府にやってきたお姫様に思いをはせる。

 「映画のラストで全力疾走する女の子たちを描いたのは、『アルプスの少女ハイジ』のクララが走れるようになった姿が見たい、という僕の長年の思いの表れ。よく走り、よく遊べ。それが子供たちにとって、何より大事なことだと思うんです」(小原篤)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内