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萌えアイドル「逆輸入」 分からなさ、妄想を刺激

2010年1月9日

写真拡大東京・秋葉原のイベントで踊るベッキー・クルーエル=2009年10月25日写真拡大イベントで歌うHIMEKA=09年12月、川崎市

 世界に発信されるアキバ発の萌(も)え文化が「逆輸入」され、日本で風を起こしている。外国人が動画サイトで話題になったり、アニメソング(アニソン)を歌ったり。彼女ら新種のアイドルたちが、ご本家で異彩を放っている。

 アニソンやJポップに合わせて踊る一人の少女の映像が、日本のネットユーザーをくぎ付けにしている。「ユーチューブ」などの動画サイトで一連の動画の再生回数は600万回超という。英領マン島在住のベッキー・クルーエル、14歳。小さな顔に大きな目、長くて細い手足は美少女然。だが色気やオーラは少ない。

 昨秋、来日直前の彼女を英ヒースロー空港で捕まえた。

 「8万人の島に住む私が数百万回も見られて、地球の裏側でデビューするなんて」と驚く。父は警察官、母は元ダンス講師。スペイン語とフランス語の授業が好きな女の子だった。2月、日本でCDデビューする。

 3年前、島の書店で日本の少女漫画「フルーツバスケット」英訳版を手に。「ページをめくる方向が、英語の本と逆で珍しかった」。日本の漫画を読みあさり、ネットでアニメも見始め、高じて、屋根裏部屋で撮った動画をネットに流した。昨年末、「可愛いにもほどがある」を売り文句にDVDを日本で発売。ITジャーナリストの井上トシユキさんは「バーチャルで無国籍的な分からなさは、妄想をかき立てる触媒だ」とみる。

 フリーライター桜井香さんは、ベッキー人気を読み解く。オタクたちは自分たちを「キモイ」呼ばわりする象徴として、かわいい子を敬遠したが、アニソン、アニメが好きなら「こっち側」と見る。はるかマン島の子が日本アニメを愛していることに誇りを感じるとも。

 もう一つの要素は「14歳」。「ちぐはぐな自意識に悩むのが“中2病”。体の成長に心が追いつかない、知識に行動が伴わない彼らがアニメの中に自己投射する。14歳はアニメ文化のアイコンだ」

 こうした逆輸入アイドルはほかにもいる。アニメ「テガミバチ」のエンディング曲を歌ったカナダ出身の女性歌手HIMEKA。「美少女戦士セーラームーン」など日本アニメに魅せられ、来日してアニソン歌手になった。「バンコク発アキバ行き」と銘打ち、昨年末にアニメ「あにゃまる探偵キルミンずぅ」のテーマ曲で日本デビューしたタイの20歳の双子女性「Neko Jump(ネコジャンプ)」、といった具合だ。

 ネコジャンプの発売元キングレコードの宿利剛さんは「日本の萌え文化がデフォルメされている部分と、日本人とは違った目線でとらえられている両面があり、そのズレに新たな萌えるポイントが見つけられる」と話した。(ロンドン=土佐茂生、宮本茂頼)

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