2010年8月16日
アニメ作品で使われる楽曲であるアニメソング、略して「アニソン」が熱い。キャラクターをイメージしてつくられた「キャラソン」がヒットチャートをにぎわし、アニソンのクリエーター、歌手の活躍も目覚ましい。音楽のジャンルの一つとして存在感を増している。
5月10日付オリコンの週間ランキングで1位を獲得したシングルCD「GO! GO! MANIAC」と2位の「Listen!!」。アニメ「けいおん!!」の主人公たちが組むバンド「放課後ティータイム」名義で声優5人が歌った曲だ。アニメキャラクター名義としてはオリコンのシングルランキング史上初の1位。8月4日発売の新曲2曲も16日付で、SMAPに次ぐ2位と3位にランクインした。
■主人公ら歌う「キャラソン」
「けいおん」シリーズは第1期が2009年春にアニメ化。女子高の軽音部が舞台とあって、「女子高生バンドが作詞、作曲、アレンジ、演奏していると想定して制作している」とポニーキャニオンの磯山敦プロデューサー。バンドサウンドにのせてキャラクターが歌うポップな楽曲が満載で、関連CDは17タイトル、売り上げ枚数は計100万枚を超えた。第2期(10年4月〜)は現在8タイトルで、売り上げ枚数は計81万枚。
布袋寅泰、GLAYなどのサポートミュージシャンとして知られる小森茂生・音楽プロデューサーは、第1期で初めてアニメ音楽を手がけた。「アニメ音楽の面白さは間口が広いところ。音楽性がバラエティーに富んでいて、自分の中にある様々なジャンルの音楽を駆使して表現できる。より面白い楽曲、サウンドにトライしていけるのが魅力」と語る。
オリコンによると、アニメ関連CDのヒットはこの数年で急増し、トップ10入り(シングル)は今年上半期で約40曲にのぼる。アニソンがポップス感覚で受け入れられるようになり、タワーレコード新宿店はアニメ専門売り場を4月末に新設。作品とのタイアップグッズの販売も好調だ。
アニメの枠を超えて活躍するケースも増えた。「機動戦士ガンダムSEED」のヒット曲などを手がけた梶浦由記は、コーラスを多用した深みのある「梶浦サウンド」で知られる。「映像と結びつくことで音楽のイメージが広がった」と語る。「梶浦語」と称する造語による歌詞が誕生したきっかけもアニメ。異世界が舞台の作品で、監督から「言葉に意味を持たせたくないから歌詞は造語に」と依頼された。「意味がないゆえに響きの美しさを追求すると、聴く人のイマジネーションがかきたてられることを発見した」
「マクロスF」の音楽を担当した菅野よう子、昨年の紅白歌合戦に声優初の出場を果たした水樹奈々など、アニメファン以外にもアニソンのクリエーター、歌手の知名度が上がり、作品とは離れた個人の音楽活動を広げている。
アニソンを足がかりにデビューするアーティストも出てきた。新作の主題歌に抜擢(ばってき)するオーディションの出場者は年々増加。漫画やゲームの影響を受け、サークル仲間で自主制作した楽曲を即売会で公開する「同人音楽」は、新たな才能発掘の場としてレコード会社から注目されている。
■雑誌も続々、海外にも商機
アニソン雑誌も続々と発刊されている。4月に創刊された「リスアニ!」(ソニー・マガジンズ)の西原史顕副編集長は音楽誌「ワッツイン」(同)の編集スタッフでもある。「2000年ごろからアニメ関連ビジネスがプラモデルや玩具に加え、DVDやCDといった商品に力を入れるようになった」と指摘する。「若い世代はアニメに抵抗感がない。映像技術が向上し、オープニング曲とともに流れる映像をセンスのいいミュージックビデオととらえているのでは。勢いのあるところに才能は集まるので、今後J―POPとの垣根は薄れ、ますますおもしろくなってくる」
ヒット現象の分析を手がけるオリコン・コミュニケーションズの西久保秀文シニア・アナリストは「アニメ人気は海外にも広がっている。言葉の壁を越え、日本の音楽が世界市場に受け入れられる可能性がある」と期待している。(青山祥子)