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未来への危機感、軽妙に 映画「ぼくの大切なともだち」

2008年6月6日

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写真ルコント監督=東川哲也撮影

 君が死んでも、葬式には誰も来ないだろう――。誰もが恐れおののく一言を突きつけられた男が、友達作りに奔走する「ぼくの大切なともだち」が14日、東京・渋谷のル・シネマで公開される。「コミュニケーション手段が多様になる半面、希薄になる人間関係の恐ろしさを示した」と、パトリス・ルコント監督は語った。

 これまで、死の香り漂う倒錯した男女関係をエロチックに描いてきた監督が、友情を正面から描いたバディ(相棒)ムービーだ。

 「メールのやりとりだけで友情が作れると、現代人は錯覚している。このままだと、恐ろしい未来になる」。その危機感を映した物語は、軽妙な展開の中に毒味たっぷり。

 ダニエル・オートゥイユ演じる美術商フランソワは、友人たちから「君には友達がいない」「葬式に誰も来ない」と侮辱される。

 あり得ない! フランソワは、もし親友を連れて来られなかったら、不滅の友情を絵柄にした古代ギリシャ時代の高価な壺(つぼ)を差し出す、と豪語する。だが、実は天涯孤独。「旧友」を訪ねて「友達だよな」と問えば、「幼児退行したのか」とあざけられる。人付き合いのコツを、快活なタクシー運転手ブリュノ(ダニー・ブーン)に教わる。物知りのブリュノは、「クイズ・ミリオネア」に出て、友達に知恵を借りる助け舟「テレフォン」を使い、ただ一人の親友として意外な人物を指名する。

 「最も辛辣(しんらつ)な言葉で、希薄になった人間関係を揺さぶりたかった。『友達がいないだろ』という言葉は、君などに誰も興味はないという冷酷な無関心、君は自分のことしか考えていないという独善を突きつける」

 「バディムービーは、観客の共感を得やすいのが魅力だが、演技を作り込み過ぎると不自然になる」。自身の作品に3度目の出演となる名優オートゥイユについては「共犯関係といえるほど親密。優れた俳優に、演技指導は不要だった」。ブーンには「喜劇出身ならではの、彼の豊かな感情表現にひかれた」と語る。

 次回作以降、長編劇映画は、あと3作しか撮らないという。「消耗するまで撮りたくない。映画に去られる前に、自分から去る」(宮崎陽介)

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