廣木隆一監督=林正樹撮影
友だちって何だろう――。だれしもが一度は悩む問いにこたえた重松清のベストセラー小説を、「ヴァイブレータ」などで知られる廣木隆一が監督した同名映画「きみの友だち」が26日、全国公開される。「原作につづられた、思春期の心の柔らかい部分を映し撮りたかった」と廣木監督はいう。
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「群像劇、それも一本筋が通った青春群像を描きたいと思っていたとき、原作を読んだ」と話す通り、物語の主軸は一人の少女だ。
小さいころの事故のため松葉づえ生活を送ることになった恵美は、幼い頃から病気がちな由香といつも2人きり。級友たちとは壁を築くかのように中学生活を送っている。映画は恵美の10歳から20歳までの時間を行きつ戻りつしながら、彼女の同級生や弟、その友人といった少年少女たちの挿話を積み重ねていく。
「子供って悩み始めると、いっぱいいっぱい。子供たちが日々の悩みから何を見つけていくのだろう、と探るような撮影でした」
カレができた親友と疎遠になった少女、だれにも認められず後輩に先輩風を吹かすサッカー部員、幼なじみに勉強でも運動でも差をつけられた少年……。ほんの少しの疎外感に悩む子供たちのなか、周囲から疎外されているかのような恵美と由香は2人きりでも楽しそうにみえる。2人を含めた人のかかわりを、広角を生かして映し撮ったカメラワークが印象的だ。
「原作の持つ柔らかい部分は表情だけでは追えない。10代の感性を腫れ物に触るように切り取るため、あえて多用しました」
加えて、10代の役者の今までみせたことのない芝居をすくおうとの気持ちもあった。中学時代から20歳までを演じた恵美役の石橋杏奈は当時14歳。大人の役に戸惑っていた彼女が、「髪を切ってメークしたとたん、松葉づえのつき方までが変わった」という。
これまで寺島しのぶ主演の「ヴァイブレータ」「やわらかい生活」など、現代文学を積極的に映画化してきた。
「時代とズレたくない気持ちは強い。でも今回は昔とはそんなに変わらないところを見せたかった。友だちって、出会いと別れを繰り返した後になって分かるもの。必死に友だちを作ろうとするより、ゆっくりでいい。そういう意味で、時代への問いかけになっているかもしれません」
とらえどころのないふわふわした人間関係が実は、どこかでつながっている。広い画面は、小さい頃には気づかない人のつながりを、大人たちにも見せてくれる。(野波健祐)