堀英治撮影
公開中の映画「スカイ・クロラ」の脚本を手がけ、押井守監督に「大きな収穫だった」と言わしめた。
「世界の中心で、愛をさけぶ」をはじめ、一連の行定勲監督作品の脚本にかかわってきたが、他流試合は初めて。「春の雪」を見た押井から「新作の世界観に通じるものがある」と口説かれ、主人公の女性をはじめとする若者の複雑な心情を、丁寧にすくい取った。
「初めての経験で不安でした。でも、恋愛観で監督と一致するものがあり、助けられました。相手を破滅させるような愛を描いた作品を2人とも好きだった」
高校生のころ、小説を書いていた。それを知った行定から誘われて、執筆の道へ。でも、もともと映画の現場へは小道具担当として入った。いまなお「陰日向(かげひなた)に咲く」などの作品に年1本ペースで参加している。
「映画は監督のものなので、脚本は手放した段階で終わり。一方、小道具の仕事は脚本を読み込むところから始まります。飲み物としか書いていない脚本から登場人物の性格や場面の状況を考えて、コーヒーなのかジュースなのかを決めていく。脚本より映画を作っている実感があります」
執筆中は人と接しなくなるからと現場へ。「でも、現場に行くと人間関係が悩ましい。そんなストレスが脚本の役に立つんです」
当分は二足のわらじで人間観察。いずれは再び、小説に取り組もうと思っている。(野波健祐)
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いとう・ちひろ 82年生まれ。高校の時、ボランティアで映画の現場へ。03年、「セブンス・アニバーサリー」で脚本家デビュー。「春の雪」「クローズド・ノート」など、行定勲監督作品にかかわり続けている。