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「怪人」の目、日本人を風刺 「TOKYO!」カラックス監督

2008年8月8日

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写真レオス・カラックス監督=堀英治撮影

 フランスと韓国の異才3監督によるオムニバス映画「TOKYO!」が16日、東京・渋谷のシネマライズなどで公開される。それぞれ、東京の街を個性的な視点で切り取っている。その1編「メルド」のレオス・カラックス監督は「下水道の怪人」の目を通し、日本人の奇異を暴いている。(宮崎陽介)

 銀座のマンホールから「下水道の怪人」メルド(ドゥニ・ラバン)が現れる。髪は乱れて片目がつぶれ、意味不明な言葉を発して通行人を驚かせる。

 アルカイダの軍事キャンプなど、世界各地で目撃された正体不明の男。その出現に世界はパニックに陥る。戦争の名残で地下に散在していた手投げ弾を使い、渋谷の街を次々爆破。死刑判決が下りる。

 「新興宗教からウイルスまで、人々は、理解の及ばないものを、けがらわしいとして退けたがる傾向がある。そういう恐怖や病的な過剰反応を映したかった」。メルドはフランス語で糞(ふん)の意味だ。

 奇抜な物語の中に、時代や社会への痛烈な風刺を織り込む。華やぐ銀座の地表を一枚はがした地下には、手投げ弾や戦車の残骸(ざんがい)が転がる。まるで、日本人の記憶の中をのぞくように。メルドの裁判を傍聴する人々の多くがマスクや眼帯をつけているのは負の過去に目をつぶり、口をふさぐ姿を暗喩(あんゆ)しているという。

 「風刺的な笑劇が許されるかどうかで、日本社会の健全度を測りたかった」と語る通り、日本人の容姿や外国人アレルギーをあざ笑い、毒を突きつける。

 「この映画は、あくまで茶番劇。世界は他者への寛容を失っている。他者を怪物扱いし、愚かな理由を見つけては短絡的に攻撃する。幼児化した現代は一度、転覆させないといけない。最近の映画は快適に過ぎる」

 91年の前々作「ポンヌフの恋人」でカラックス監督は、愛し愛され、生きる資格を問うた。今回は、社会から排除されたメルドを通し、時代を超えた悲しみを描いている。

 「TOKYO!」は、今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に参加した。

 他の2編のうち、ミシェル・ゴンドリー監督の「インテリア・デザイン」は知人の家に転がり込み、男(加瀬亮)と家探しをする女(藤谷文子)の体が木のいすになる話。ポン・ジュノ監督「シェイキング東京」は、引きこもりの男性(香川照之)がピザの配達員(蒼井優)と出会い、外へ踏み出す物語だ。

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